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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際セミナー「日朝拉致協議をどう打開するか」報告6(2015/12/17)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2015.12.17)

■12/11(金)国際セミナー「日朝拉致協議をどう打開するか」報告6

島田 大変明解なお話、ありがとうございました。総連中央からまだ返答がない
ということですが、返答してもらいたいと思いますし、朝鮮総連に迎合してきた
福島瑞穂さんを筆頭とする政治家にも、是非メディアの方々から取材してほしい
と思います。

 続いて、「北朝鮮の独裁と核・ミサイル開発を支える総連」というテーマで、
西岡力・救う会会長にお願いします。

■北朝鮮の独裁と核・ミサイル開発を支える総連

西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授)

 高先生の提言書を見ました。皆様にお配りしたものには住所と電話番号が書い
てないんですが、元は住所と電話番号が書いてありました。世の中は少し変わっ
たなあと思いました。

 1991年に、私が最初に拉致問題について論文を書いた時、周りから言われ
たのは、「身の危険はないですか」でした。実際に、匿名の「殺してやる」とい
う脅迫状を貰ったりしました。

 しかし、朝鮮総連に、商工会会員として加盟していて、過去には専従の活動家
だった人が、名前や電話番号を書いて提言書を出した。これは私が朝鮮問題を勉
強した中で初めて経験したことです。

 大変勇気のある方だなと思い、また提言書に「拉致被害者を全員返せ」という
ことも入っていましたので、「是非出てください」とお願いしたわけです。

 私は、拉致問題を解決するためにも、そしてそれを超えて、朝鮮総連という存
在ものものが日本に大変害毒を行っているので、朝鮮総連を解散させる新法を作
れということを言っているものでありますが、もしも朝鮮総連が高先生の提言を
受け入れて、朝鮮労働党の党員を全部幹部から外して、施設から肖像画を全部外
して、同胞のための組織に生まれ変わって、本国に対し拉致被害者を全員返せと
いうことを認めるのであれば、解散する必要はないと思います。

 朝鮮総連の罪悪を止めさせるという点で同じだなと思っています。

 それでは今日準備したレジュメに沿ってお話します。

◆国際テロ組織支援阻止特別措置法の検討を

 私の提案は、拉致、テロ、核ミサイル開発、脱税など北朝鮮の不法行為を支え
る海外基地となっている朝鮮総連の活動を不法とする新法制定「仮称・国際テロ
組織支援阻止特別措置法」を検討すべきだということです。

 第1に、金正恩政権が拉致再調査に応じた理由の一つが総連保護でした。

 昨年初め金正恩が「首領さまが作り、将軍様が育てた総連を自分の代で潰すわ
けにはいかない」、「拉致問題を含む日朝協議をせよ」と指示したことを複数の
情報筋から聞いています。

 昨年は、2006年から始まった厳格な法執行の結果、朝鮮総連中央本部が競
売にかかり、彼らはそこを立ち退く直前までいきました。金正恩が強い危機感を
持ったということです。宋日昊大使は昨年の4月、5月、局長級協議の度に、日
本のマスコミの前で、拉致のことを議論するなら総連本部立ち退きをやめるべき
だということを繰り返し言っていました。

 また、中央本部問題が一段落した後、もう一度北朝鮮が日朝協議を止めると言っ
たのが今年の4月です。その時は、「政府間対話が出来なくなっている」と言っ
たのですが、その理由も、朝鮮総連議長、副議長の自宅を警察が家宅捜索したこ
とでした。

 私はよく分からなかったのです。なぜこんなに朝鮮総連にこだわるのか。金聖
●さんに聞きました。そしたら彼はこう言いました。「今でも北朝鮮人民のほと
んどが、現在も総連は敵地日本で60万同胞を団結させて共和国を支持している
と思っている。それこそが主体思想が偉大である証明だと信じている。実態が知
らされると北朝鮮の住民には大変なショックになる」ということでした。●=王
へんに文

 そういうものかな、と思いました。70年代、韓徳銖(ハン・ドクス)議長が
平壌に行った時、金日成に対して、「総連中央本部は皇居を見下ろす丘の上に建っ
ています。その屋上で、わが共和国の誇らしい旗が今日も翻っています」と言っ
たそうです。その中央本部を追い出すことができる直前までいっていたのです。
それで北が動いた。

◆自民党が認めた核・ミサイル技術の流出と総連本部建物の資金疑惑

 自民党拉致問題対策本部は、今年北朝鮮が被害者を返さない状況の中で、追加
制裁をすべきだというメニュー13項目を作りました。

 第2項目には、「北朝鮮を渡航先とした再入国禁止の対象を、朝鮮総連の中央
常任委員会委員及び中央委員会委員、並びに核やミサイルの技術者に拡大するこ
と」とあります。つまり自民党は、今も、総連の核・ミサイル技術者が日本と北
朝鮮との間を自由に往来しており、流出を止めていないことを認めたのです。

 そして追加制裁のメニューに入れ、これから止めるべきだとしています。アメ
リカでは、アメリカ共産党の科学者が1940年代後半、ソ連に核爆弾の技術を
流したことで、そのスパイを死刑にしました。戦場でアメリカの兵士がどれだけ
被害を受けるか分からない、というのが理由でした。

 日本では、今でも核・ミサイル技術者が自由に往来していると自民党は言って
います。核・ミサイル技術のために日本は莫大な予算をつけて今、MD、迎撃ミサ
イルを配備しています。一方で技術者が自由に出入りしている。北朝鮮から見た
ら、日本は核・ミサイル開発の基地だということです。

 また、第6項目では、「朝鮮総連に対し厳格な法執行を行うとともに、総連本
部建物の継続使用に係る資金の流れを把握し、整理回収機構による債権回収に万
全の対策を講じること」とあります。

 自民党の13項目の画期的なことは、今まで「厳格な法執行」という言葉は使
われていましたが、誰に対して厳格な法執行をするかということは、敢えて政府
の文書には書かれていませんでした。

 しかしここで、「朝鮮総連に対し」と対象が明記されました。これは、これま
での朝鮮総連に対する法執行がでたらめだったことを事実上、与党が認めたのだ
と私は理解しています。

 また、「総連本部建物の継続使用に係る資金の流れ」と書かれています。そも
そも朝鮮総連中央本部は、日本政府に対して600億円の借金があるんです。そ
れを返していない。朝鮮総連は、「自分たちは治外法権だ。外交特権がある」と
言っていますが、中央本部は大使館でも何でもありません。またアメリカ大使館
であって、借金があったら返さなければならないのです。

 600億円の借金があることは最高裁判所も認めたことです。返さないなら中
央本部を差押えすべきなのに、返さない人たちが未だに居座っている。昔「住専」
という信用組合があって、それがつぶれる時に、理事長の自宅まで行って、「理
事長が会社に乗っているのはけしからん。何でこんないい家に住んでいるんだ。
法的資金が入るのなら財産を全部売って返せ」とマスコミは騒ぎました。

 なぜ許宗萬議長の家にマスコミのカメラは行かないのか。議長に「金を返せ」
となぜ言わないのか。なぜ中央本部に居座りを続けさせているのか。あまりにも
不明瞭だと思っています。

 朝鮮出版会館という事実上朝鮮総連の建物を売ったお金を使って彼らは中央会
館を買い戻したわけです。許宗萬議長は総連の幹部たちを集めて、「継続して自
分たちはここにいる」と堂々と言ったそうです。「出版会館の金を使った」と言っ
た、と日本の情報機関が私に教えてくれました。なめられているんです。

◆北朝鮮の核・ミサイル開発資金・技術が日本から

 ではなぜ朝鮮総連に借金があるのかですが、多額なお金を北朝鮮に送っていた
のです。第1次核危機が起きた1993年、94年に、内閣調査室が日銀などを
使って調査しました。私は内閣調査室から直接聞きました。「先生たちは年間6
00億円が流れると言っていたが、すれは少なすぎますよ。内閣調査室の調査で
は、年間1800?2000億円の現金とモノが行っています」と聞きました。

 これは日本経済新聞などにも書かれています。当時の羽田外務大臣が日本記者
クラブの会見で認めています。これが核ミサイル開発資金となる。

 ではなぜこんな多額のお金が出るのか。それが先ほど言ったでたらめな法執行
の結果です。1976年、朝鮮総連が国税庁長官を訪問します。高沢寅男という
国会議員が間に入っていました。そして高沢議員の衆議院の議員会館の部屋で、
国税庁の幹部と商工会の幹部が話し合って、その結果朝鮮総連は、「国税庁と5
項目の合意を結んだ」と言いまくっていました。

 朝鮮総連系の商工人の税務関係の書類を商工会が代行して作る。それを持って
いくと特別扱いになって、経費がたくさん認められて税金が安くなると言われま
した。これは当時日本の情報機関が作ったペーパーなどにも書いてあります。

 しかし、脱税を使った資金作りはバブルが崩壊して企業の利益がなくなった時
にできなくなりました。その頃使われたのが、朝銀信用組合を使った錬金術です。
全国で朝銀信用組合が破綻し1兆4千億円の公的資金が投入されました。

 「AERA」という朝日新聞系の週刊誌が取材したところによると、数億円借りて
いた朝鮮総連のある個人が、6畳一間で、裸電球が点いているところに住んでい
た。担保は先ほどの朝鮮出版会館だった。

 朝鮮総連系の金融機関が、朝鮮総連系の土地建物を担保に、朝鮮総連系の個人
やペーパーカンパニーに金を貸す。返さないと破綻する。破綻すると公的資金が
入る。こういう仕組みで1兆4千億円も入った。

 債権回収機構がそれを調べて、600億円は実際は朝鮮総連中央本部が借りた
お金だと調査した。それで民事訴訟を起して、朝鮮総連に金を返せと言った。つ
まり、総連が信用組合から600億円借りていたというのは、日本の裁判所も認
めた事実なんです。

 そのお金は一体どこに行ったのか。これが北朝鮮の核・ミサイル開発資金になっ
たのです。核ミサイル技術の流出については時間がないのでレジュメを見てくだ
さい。

【レジュメ】

◆核ミサイル技術の流出

・朝鮮労働党九九号中央指導小組の責任指導員、金秀幸氏の証言(アエラ
1998.10.05)
金氏が日本企業から不正輸入したミサイル関係製品

慣性誘導関係製品、弾頭を運ぶロケットの推進装置ないしはその部品、ミサイル
に使う特殊燃料、ミサイルの機体の材料の特殊合金のためのレーザー溶接機、開
発用の各種のコンピューターや電子関係製品
1.日本メーカーと中国企業の合弁会社が親会社にあたる日本メーカーから輸入
し、2.それを合弁企業が中国の国営企業などに売り、3.そこから北朝鮮に輸
出される、という書類操作を行う。製品そのものは、1.日本からいったん上海、
天津港の保税倉庫(輸入手続きがなされていない貨物の倉庫)に納められ、その
後、仕向け地を中国から北朝鮮に変えるという書類上の処理
金氏は複数の日本人技術者も北朝鮮に送り込んだ

・在日本朝鮮人科学技術協会(科協)所属の在日朝鮮人技術者が核ミサイル開発
に協力。科協は大学や企業の研究者や医師ら約1200人で組織、朝鮮労働党の工作
機関「対外連絡部」の直轄下にある。2005年10月、警視庁が薬事法違反容疑で科
協の副会長2人(玄丞培、鄭明洙)を逮捕した際の家宅捜索で、陸上自衛隊の地
対空ミサイル(SAM)の資料が防衛庁から科協に流出していたことが判明

◆朝鮮籍と韓国籍は別々に統計数値を発表せよ

 最後に一つだけ。これは洪先生から前から言われていたことですが、「安倍政
権の厳格な法執行は信用できない。今すぐできる出入国管理統計の措置をとらな
いから」と。

 1970年までは、朝鮮籍と韓国籍は別々に統計数値を発表してきましたが、
71年から一緒にしてしまいました。ちょうどその時、朝鮮籍が韓国籍より少な
くなっていました。

 今は、戦前から日本にいる人はだいたい30万人。その内朝鮮籍は多分3万人
くらいではないか。しかし北朝鮮では、「60万同胞」を組織していると思って
いる。統計を発表するだけで、北朝鮮の嘘をあばくことができる。これを是非し
ていただきたいと思います。以上です

【レジュメ】

◆すぐできる法執行-「韓国」「朝鮮」別の在留統計を

・朝鮮総連組織員が在日朝鮮人社会の中で完全に少数者になっていることを統計
で公開すること。

・法務省入国管理局は毎年、国籍・地域別在留外国人統計(旧登録外国人統計)
統計を公表している。過去、1970年までは、「朝鮮」と「韓国」の統計を公表し
ていた。ところが、1971年以降、「韓国・朝鮮」の合計数しか公表しなくなった。
そのころから、韓国を支持する「韓国」籍が「朝鮮」籍を上回り、朝鮮総連が在
日社会の多数派を代表するという北朝鮮の主張が虚偽であることが明らかになっ
ていたが、日本当局が突然、「韓国」「朝鮮」別の統計を非公表としたため、総
連の勢力衰退が隠されてしまった。

・なお、外国人登録は南北が分断する以前から始まった関係で、当初は「朝鮮」
しかなかった。その後、「韓国」を支持する者らが書き換えを行なってきた。実
は、1965年に日韓修交に伴い、「朝鮮」から「韓国」に変更する人数が増え、最
後に「韓国」「朝鮮」別の統計が公表された70年では「韓国」54%、「朝鮮」46
%と逆転していた。

・現在は、戦前から日本に在留している者とその子孫である特別永住者の「韓国
・朝鮮」の合計は約35万と公表されているが、総連に加盟していたり、韓国を支
持しないなどの理由で「朝鮮」を維持している数は、5万を割って3万から4万に
なっていると推計される。しかし、現在でも北朝鮮は60万在日朝鮮人が北朝鮮を
支持する総連に結集していると宣伝している。

・したがって、1970年以前の統計公表方式に戻って、「韓国」と「朝鮮」を別々
にした統計を公表すれば、北朝鮮当局と総連に大きなダメージを与えることがで
きる。現行法規で十分できる北朝鮮に対する圧力手段である。

・法務省入国管理局は「韓国」「朝鮮」別の統計を公表しない理由といて、その
ような統計を取っていないと答えているが、1992年末現在の「韓国」「朝鮮」別
の統計を問い合わせに答える形で明らかにしている(別冊宝島221『朝鮮総連の
研究』51頁)。

・ちなみに、同じ統計において2011年までは「台湾」出身者は「中国」に含めら
れて公表されていたが、2012年から「中国」と「台湾」は別々にされて統計が公
表されている。在日韓国・朝鮮人統計でも同じことを行うことは政治の決断があ
れば可能なはずだ。

(7につづく)


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