救う会全国協議会

〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
TEL:03-3946-5780 FAX:03-3946-5784 info@sukuukai.jp

北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

ストックホルム合意から1年半‐被害者救出のために今必要なこと 東京連続集会報告4(2015/11/27)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2015.11.27)

■ストックホルム合意から1年半‐被害者救出のために今必要なこと

◆安保法制の改正でも、国家が拉致した被害者救出の同意は得られない

島田 自衛隊に関して、先の支援法の議論の時に、安倍首相が、「現行憲法下で
は、相手国の同意がなければ、自衛隊が北朝鮮に救出に入ることはできない」と
おっしゃった。それに対して、次世代の党だけが、「そういう解釈はおかしい」
ということを国会で追及されて、非常によかったと思います。今、西岡さんが言
われたポイントも含めて、今後国会でどのようなことを追及していかれるか、お
願いします。

中山 西岡先生がおっしゃった総連関係は、今調査中ということもあると思いま
すし、現行法でどこまでやれるのかということもあろうと思いますが、この点に
ついては、この後、救う会の皆様と一緒に、色々詰めて、足りないのであれば新
しい動きをすることになろうと思います。

 外から見ていても、何とも言えず腑に落ちない動きであるということは、皆様
共通の思いだろうと思いますので、そこはしっかりやっていかないといけないと
思っています。

 もう一つ、安保法制の中で、自衛隊法の改正が今回出されました。これは何が
改正されたかと言いますと、外国にいる人々が外国で何らかの混乱が起きた時、
そういう緊急事態に際して、生命または身体に危害が加えられる恐れがある邦人
の保護措置を、自衛隊の部隊が実施できるようにするというのが、今回の安保法
制の一つに入っています。

 ただ、この法案を読みますと、これまで自衛隊ができたことというのは、「安
全が確保されている時に輸送することができる」というところまででした。それ
に加えて今回は、警護とか救出とかその他の当該法人の生命または身体の保護の
ための措置がとられる、となっています。輸送も含めてですが。

 但し、実施要件というのが3つ付いていまして、「保護措置を行う場所におい
て、当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており、か
つ戦争行為が行われることがないと認められること」。2つ目が、「自衛隊が当
該保護措置を行うことについて、当該外国等の同意があること」。3つ目が、
「当該外国の権限ある当局との間の連携及び協力が確保されると見込まれること」
です。特に2番目の「当該外国等の同意があること」はずいぶん古い時代の法律
です。

 国際社会で枢要な動きがあったから今回安保法制の改正を行いますといいなが
ら、ここには現状の国際社会の動きがほとんど取り込まれていない。なぜかとい
うと、これでしたら当該外国とそれぞれのしっかりした国家が存在している。そ
の国家が、その中で起きた人質事件や拉致事件はその国家が救出する場合だけが
想定されています。

 ところが、IS(イスラム国)にしても、イスラム原理主義の国にしても、彼
ら自体が被害者が被害者を人質にとって殺害しようとする。北朝鮮も同じだと言っ
ていいと思います。人質を連れてきて、生きるも死ぬも手に握っている。それが
その地域を支配している。国家として認めていませんが、そこの支配者である。
犯人が支配者である国等の同意があること。同意なんかするはずがない。それが
条件で、自衛隊が警護や救出や身体保護のための措置をとることができるという
のが今回の法律でした。

 いくら何でも、これでは北朝鮮に救出に入ることすらできません。「もしあそ
こで混乱が起きた場合であっても、自衛隊は入れないではないですか」という質
問を国会の中で何度も続けてきました。

 それに対して政府側の回答は、「今の状態ではこれが精一杯で、いざという時
はアメリカに頼む」でした。でも拉致被害者の救出は、日本人の被害者です。そ
れはあまりにむなしく、残念なことだと思いますとずっと主張し続けているとこ
ろです。

◆韓米軍が北進する時、被害者がいる金正日政治軍事大学が爆撃されないか

西岡 その点については、針の穴にラクダを通すようなことかもしれませんが、
1つだけ方法があります。韓米合同司令部というのがあります。司令官はアメリ
カ人で、駐韓米軍の司令官です。(北朝鮮が)大混乱になった時に、韓米軍は北
進する作戦計画を持っています。その地域の治安を維持するに至った場合は、当
局が韓米合同司令官になります。司令官の同意のもとに、残留ゲリラが働いてい
るような時に行くということ。

 特に、金正日政治軍事大学等の武装解除をする時に、私はそれが一番心配なん
ですが、そこにいるのはテロリストですから爆撃して、焼け野原にしてから行っ
た方が安全なんです。しかし、そこに被害者がいる可能性が高い。そういう作戦
をする時に、米軍司令官の同意のもとに、「危ないことを自衛隊にさせてくださ
い。日本人がいるかもしれないから」と。

 特殊部隊の人たちの中には、「行ってもいい」と言っている人たちがいるわけ
です。訓練も積んでいます。そういうことも含めてアメリカと話をしているので
あれば、韓国の同意もいるし、色々なことがあります。簡単ではありませんが、
現行法規でできうる解釈上の余地は残っているし、もう少しできるように法律を
変えていただきたいと思いますが、今法律が通ってしまった以上、そのことにつ
いては、ありうるんだということで是非努力をしてほしいと思っています。

 もう一つ。北朝鮮はまだ交渉を切っていない。「欲しいものがある」と言いま
した。こちらは被害者の一括全員帰国しかないわけです。北朝鮮に明白に我々の
スタンスを伝えなければいけない時期です。

 拉致問題の解決の定義は、3つあります。第1は認定の有無に関わらず全被害
者の安全確保と帰国。第2は拉致問題に関する真相究明。第3は実行犯の引き渡
しです。国際法上は補償が入ると思います。

 それで解決だと思いますが、私は、1と2、3については時差があってもいい
と考えています。今優先すべきは1です。生存者の帰国です。それも一括全員で
す。そのことをするならば、こちらは何をするのかということに関する条件の交
渉を、密使同士が始めるステージに早くなってほしいと思います。

◆帰国の条件について話すべき時

 官邸主導で、総理が自由に動けるようにしたという中に、こういうことが含ま
れていなければならない。その時に、北朝鮮側にも伝えたんですが、帰ってきた
人たちがどういう行動をとるのか。蓮池さんや地村さんたち、帰ってきた人たち
は、帰って来て日本に残ると言った直後に、「横田めぐみさんは、北朝鮮の発表
では93年死亡と言っていますが、94年まで私たちと一緒の地域に住んでいま
した。元気でした」と教えてくれました。家族がまだ北にいるのに、一定の危険
を冒して教えてくれました。

 しかし、それ以上のこと、例えば金正日氏の私生活とか、北朝鮮の体制矛盾に
関わることは、今になっても本に書いたりしていません。我々はちょっと不満だっ
たのですが、日比谷公会堂の国民大集会にも、曽我ひとみさんはお母さんの救出
がありますので出てくれますが、4人は出てきていません。

 めぐみさんや八重子さん、るみ子さんたちが帰ってきた時に絶対聞かなければ
いけないことは、他の被害者に関することです。北朝鮮が死んだと言った人は本
当にそうなのかとか、これで全員なのか、他の被害者について聞いていませんか
ということについては、お話を聞かせていただければならないし、それを公開し
なければならないと思います。

 しかし、その後どういう行動をとるのかということについては、蓮池さんたち
は次の人たちが帰ってこれるように慎重に行動したいと言って、反北朝鮮運動の
先頭に立つとか、北から見えるような行動はしなかった。当事者がそれでいいと
いうなら、日本社会はそれでいいんです。静かに家族の元に帰ってきてほしいと
我々は運動をしてきたんですから。

 そういうことも含めて、返したくないのは秘密が漏れるからということであれ
ば、本当に返す決断をするならば、様々な条件に付いて話し合う準備がある、と。
北朝鮮はけしからんと言っている西岡でもそう言っている、ということを今日はっ
きりと言っておきたいんです。

 そして欲しいものがあるんでしょう、と。交渉は止めないんでしょう、と。安
倍政権から何か取りたいというのなら、安倍政権はあと3年は続くので、取りた
いなら全員返す決断をするしかないですよ、と。あなたのお父さんは一部認める
といって決断したじゃないか。それで失敗したのは全員じゃなかったからだ。全
員返すという決断をしなさい、と。その中で安倍総理が迎えに行くことはできま
す、と。

 迎えに行ったことを、北朝鮮の中で、「安倍が白旗を持ってきた」と宣伝する
ことは勝手にやることであって、我々が関与することではありませんから、色ん
なことができ得るはずだ。そのためには、外交交渉ではできないので、官邸の中
にチームがあって、そして対策本部が持っている情報も使う。

 そういう意味では官邸にいた側近中の側近が対策本部の大臣になっている時に、
今まで秘密交渉をしていた人をはずしたというのは一つのメッセージで、本気に
なって話をしましょうと日本は言っているんだ、と。

 北朝鮮から聞こえてくる内容からは、どうも年内は動きがないのではないかと
思われます。11月、12月も苦しい時期が続くと思いますが、しかし、まだ向
こうは欲しいのもがあって、止めていない中で、本当の勝負ができるようになっ
てほしい。

 我々から見ると、安倍政権のやり方は、根本は間違ってないと思いますが、す
ごく遅く、もうちょっとと色々思いますが、中にいるとまた色々な事情があるの
かもしれない。しかし、評論家ではないので、取り戻すことだけが目的なので、
条件の話し合いをしましょうよ、と。

 しかしその時に、絶対譲れないのは日本の拉致解決の定義の1番だ、と。認定、
未認定にかかわらず、すべての被害者の帰国です。今回金正恩氏が、「この人は
だめだ」としたら、もう金正恩氏が生きている間、「8人死亡」と同じようなこ
とが、今度は金正恩時代に続くことになる。それはだめだ、と。全員、1回で返
しなさい、と。そしたら、2と3については、時差があってもいいと、一番過激
な西岡も言っている、ということを是非伝えたいと思います。

◆ただ一人の人間の頭の中が変わるかどうかに集中を

中山 今、西岡先生から、流れについてのお話がありました。私自身も、この問
題は、ある意味では一気に解決させられる問題でもある。日本側がどれだけ真剣
に動くかにかかっているとも言えるかと思っています。

 日本のように、国会を通して賛否の数でという必要は全くないわけですから。
ただ一人の人間の頭の中を、返した方が自分にとって非常に有利になるんだとい
う結論が素直に出る。これだけでもう動きが変わってくるし、救出の可能性があ
る。そこに集中してほしい。

 私は金正日の時でしたが、念力をかけてあの頭を変えたい、そういう感じすら
ありました。そういう問題だということも、マイナスの面もありますがそれもプ
ラスととらえて、そこに集中してそこに考えを持っていく。

 その方が、韓国との関係、中国との関係を考えれば、日本を味方につけないと
北朝鮮が非常に危険なんだというようなことも含めて、そこはあの方の頭の中が
きちんと回転して結論を出す。

 そこに日本側が集中して、徹底して進めていくことが大事であろうと考えてい
ます。

島田 ありがとうございました。最後に、日本はアメリカと比べて議会の発信力
が非常に弱いんじゃないかと思います。アメリカ議会は、政府よりももっときつ
いことを言って、それが政府の交渉力を増している面もあると思います。

 先ほどの自衛隊が救出に入ることに関して、次世代の党以外主張していないの
も問題ですし、仮に安倍さんが言うように、「憲法を改正しないと自衛隊は入れ
ないんだ」。そして拉致被害者救出が最優先課題だと言うのであれば、憲法改正
をすぐやりましょうと主張しないといけませんね。それをぜんぜん言わない。

 各政党も、そのことを追及しない。

中山 これは改正しなくてもできるんですよね。

島田 改正しなくてもできるというのが我々の立場なんですが、改正しないとい
けないという立場に立つのであれば、改正するという主張をしないとおかしいで
すね。拉致被害者救出を言うならばですが。

 次に家族の方々にお願いします。

(5につづく)


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi

葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿

■救う会全国協議会ニュース

発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
  
■ サイト内検索 ■


■ メールニュース ■
2024/04/19
家族会・救う会が米国国連大使と面会
2024/04/15
日本維新の会が政府に「拉致問題に関する発出文書」提出
2024/04/12
国連総会が北朝鮮の人権侵害非難を決議
2024/03/18
家族会・救う会の新運動方針について4
2024/03/15
家族会・救う会の新運動方針について3

■過去のメールニュース■

  ■ 2024年
  ■ 2023年
  ■ 2022年
  ■ 2021年
  ■ 2020年
  ■ 2019年
  ■ 2018年
  ■ 2017年
  ■ 2016年
  ■ 2015年
  ■ 2014年
  ■ 2013年
  ■ 2012年
  ■ 2011年
  ■ 2010年
  ■ 2009年
  ■ 2008年
  ■ 2007年
  ■ 2006年
  ■ 2005年
  ■ 2004年
  ■ 2003年
  ■ 2002年
  ■ 2001年
  ■ 2000年
  ■ 1999年
■あなたにも出来る救出運動■
あなたにもできること

 ■ 映画「めぐみ」 ■ 

映画「めぐみ」

■ 書 籍 ■