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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

日朝合意「再調査」?こんな問題が起きないか緊急国民集会報告4(2014/06/27)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2014.06.27)

櫻井よしこ

 どうもありがとうございました。北朝鮮側が交渉に応じた動機というのは、背
に腹は代えられないという文字通り追いつめられた結果であり、それは日本側の
厳格な法執行によってもたらされた面は大きいと思います。

 せっかくと言っては変ですが、ここまで北朝鮮を追いつめた今、このタイミン
グで日朝の交渉に入った。おそらく6か国協議の後では埒が明かないわけです。
他国に頼っていてはほとんど解決の可能性が見えてこない。日本政府が、とにか
く扉をこじあけなければならないという認識が政府にはあると思います。

 それでも荒木さん、この時期にこの文言での再調査、その時点で制裁をいくつ
か解除するという合意に踏み切ったのはなぜだと思われますか。

◆実は外務省が前のめりか

荒木和博

 しばらく前から、北朝鮮側が交渉に前のめりだという話が色々出ていました。
しかし、私は必ずしもそうではなかったのではないか、交渉に前のめりだったの
は外務省ではないかという感じがしています。

 自分たちが前のめりであることをごまかすために、北朝鮮側が前のめりだとリー
クしたのではないかという気がしていて、この合意文書自体はかなり拙速という
か、勇み足の部分が多いのではないかという感じがします。

 先ほど話が出ていましたように、「これでおしまい。後はもうないよ」と言わ
れる懸念はあるんですが、考えようによっては、「これでおしまいにする。心配
するな」と言って出させて、出してきたら「何だこの野郎」と言ってやる手も一
つあるし、12年前にはそれに近いことをやったわけですから、相手側が交渉事
で約束を守る気がないという相手ですから、こちら側も向こう側をだますという
くらいのことはあってもいいんじゃないかと思います。

 そういうことで使うという覚悟があれば、これがまじめな文章で、これを日本
側が本気で北朝鮮側に約束したことを全部守らなければいけないと思う必要自体
がないと私は思っています(拍手)。

櫻井よしこ

 どうもありがとうございます。いったん出てきたらこれだは不十分と言って突
き返せ、もっと要求しなさいという気持ちはよく分かるんですが、この合意文書
を改めて読んでみますと、さっき「故意にぼかした面があるのでは」と言いまし
たが、西岡さん、この合意文書の中でどの文言が日本にとって必ずしも解決につ
ながらないのではないか、北朝鮮が日本をだます手段となり得るのではないかと
いう箇所がありましたら、皆様にも合意文書が配布されていると思いますので、
それを見ながら解説をしていただければと思います。

◆合意文書の問題点、危険な点

西岡 力

 救う会会長としては先ほど申し上げた評価ですが、これからは北朝鮮問題専門
家として厳しいことを申し上げたいと思います。そういうことも頭に入れて北に
臨んだ方がいいということですが、そういう点で見ると穴だらけだと私は思って
います。

 まず、前文の「双方は日朝平壌宣言にのっとって」はまあいいとして、「19
45年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地」がはいっている。
「残留日本人」も「いわゆる日本人配偶者」も入っているということです。拉致
問題だけではない。こういうことからして甘い。

 それ以外の問題は人道問題です。このこと日本政府は制裁をかけていません。
赤十字ですべきことだと思いますし、人道問題としてやるのは賛成です。しかし
それと、特別調査委員会にこれを入れるというのは全然違うことです。

 北朝鮮は、何か別のことを出してこようとしているのではないか、遺骨ビジネ
スをしようとしているのではないかというおそれが出てきます。

 次に、これは家族会の増元さんも伊原局長を追求していましたが、「過去北朝
鮮側が拉致問題に関して傾けてきた努力を日本側が認めたことを評価」とあり、
日本側が認めた。彼らが「傾けてきた努力」って何ですか。偽の遺骨を出してき
たり、偽の死亡診断書を出してきたことじゃないですか。そして、「これは外交
だからしょうがないんだ」と。

 しかし、次に、「従来の立場はあるものの」という言葉を取ったんだと。従来
の立場は「解決済み」だったが、「従来の立場はあるものの」再調査をするとい
う言葉を取ったんだということですが、そういう文言のやり取り自体が外交交渉
になっちゃっている。犯人と被害者側の交渉なのかと思うわけです。

 そして一番心配なのは、「最終的に」と書いてあるところです。北朝鮮側は、
最終的にこれで終わりにするというようにも読める。私も荒木さんも先ほど言い
ましたが、申告→検証を続けることになっていないんじゃないかということです。

 その次に、「日本側は、これに応じ、最終的に現在日本が独自に取っている北
朝鮮に対する措置(国連安保理決議に関連して取っている措置は含まれない)を
解除する意思を表明した」ということですが、これも本来なら北朝鮮の調査結果
が出てから解除すべきなのに、そうなっていないということです。

 それから、(国連安保理決議に関連して取っている措置は含まれない)とあり
ますが、5月30日、「朝鮮中央通信」が報道した内容では、( )内の文章が
削られています。その翌日、北朝鮮はこれを入れたものを発表しましたが、北の
テレビでは( )内の文章が削られています。彼らがもっと要求してくることが
十分ありえるということです。

 どうして( )書きにしたのか、もっとちゃんと書き込んだ方がよかったと思
います。削られないように、ですね。

 日本側がやるところの第2に、「北朝鮮側が包括的調査のために特別委員会を
立ち上げ、調査を開始する時点で、人的往来の規制措置、送金報告及び携帯輸出
届出の金額に関して北朝鮮に対して講じている特別な規制措置、及び人道目的の
北朝鮮籍の船舶の日本への入港禁止措置を解除することとした」とあります。

 「これに万景峰号は入っていない」と政府は説明していますが、私の聞いてい
るところでは、万景峰号は北朝鮮で観光のために使われていて、修理をした、と。
日本の安全基準に違反する部分を修理するためドックに入り修理をしている。つ
まり彼らは日本に入れようとして準備をしている。どこを治しなさいという情報
を非公式に日本側が提供したのではないかという疑惑さえ私は聞いています。つ
まり、時間を彼らに与えただけであるということです。

 そして「人道目的での北朝鮮の船の入港って何ですか」と聞いたら、朝鮮総連
が日本から米や医薬品を北に送る時はいいと言うんです。じゃあ、物を送ること
を許してしまうんじゃないですか。お金は送れないけど、人道物資だったらモニ
タリングをしなければならないんです。

 国際機関に渡して、本当に困っている人にいくかどうかまで見なければいけな
い。北が積んでいったら人民軍に行くかもしれないんです。それなのに、人道と
いう名目で許していること自体大変甘いということです。

 そして、先ほどもいいましたが、第3になぜ遺骨のことが入っているのか。ア
メリカは米軍の兵士の遺骨を北朝鮮から収集する作業をしています。実費と称し
て1柱2万ドル払っているそうです。アメリカも払っているんだとすると、日本
にも1柱2万ドルを要求してくるのではないか。あるいは水面下で要求している
のではないかという情報がたくさん私の所に入っています。2万柱あるんです。
1柱2万ドルだと、4億ドル、400万円になります。

 第5の「在日朝鮮人の地位に関する問題」は、先ほどもいいましたが、総連に
対する取り締まりを緩めよということをこれでやろうとしているんではないかと
いうことです。

 そしてもう一つ、第6の、「包括的かつ全面的な調査の過程において提起され
る問題を確認するため、北朝鮮側の提起に対して、日本側関係者との面談や関連
資料の共有等について、適切な措置を取ること」となっています。

 北朝鮮側にも同じ文章がありますが、今平壌に駐在事務所を作って、北が出し
てきた報告内容を検証すると言っています。危ないです。日本人が行ったって捜
査権がないんですからちゃんとした捜査はできないです。

 それより、持ってきてこちらで検証する方がいいんです。向こうに行って事務
所を作って、色々見せられる。「この木が首を吊った木です」とか「ここの海岸
で海水浴をしていて死にました」とか、いくら見たってしょうがないんです。そ
れなのに、それをやってしまうと日本にも見せたじゃないかと言われてしまう。
事実上の合同調査になってしまう危険があるのではないかと思っています。

 第7に「人道支援」も、適切な時期とはいつなのか。全員帰ってきたらと書い
てないことも「適切」という言葉に大変危険があります。

 北朝鮮側がやるところでは、(拉致以外のことも)全部をやると言っているこ
とがおかしなことです。

 第2の「調査は一部の調査のみを優先するのではなく、全ての分野について、
同時並行的に行うこととした」とあります。これは外務省の説明では拉致が置き
去りにされないよう「同時並行的」を何とか入れたんだということでした。その
努力は多としたいと思いますが、本来なら「犯罪の解決を優先してそれ以外の人
道問題はその次にする」となぜ書き込めなかったのか。

 つまり外交交渉じゃないんです。犯罪の解決のために交渉しているのだという
意識が弱いのではないか。

 第3の、「特別権限(全ての機関を対象とした調査を行うことのできる権限)
が付与された特別調査委員会を立ち上げる」は、この( )の中も「朝鮮中央通
信」の報道ではなかったです。そもそもメンバーの名前を見たって分からないで
す。本当に権限があるかどうかが分かるのは、金正恩の決裁した書類が出てくる
ことだけです。

 それを取れるのかどうか。サインした書類を見せなさい、と。そうじゃない限
り形式になってしまいます。

 次に第5、「調査の過程において日本人の生存者が発見される場合には、その
状況を日本側に伝え、帰国させる方向で去就の問題に関して協議し、措置を講じ
る」とあります。これは中山恭子首元大臣が大変危惧していました。先ほど平沼
先生がおっしゃったことです。

 協議じゃだめなんです。「行きたくない」と言わされるに決まっているんです。
なぜ協議すると書かせたのか。「帰国させる」となぜ書けなかったのか。これも
危険です。

 そして第6、「北朝鮮滞在、関係者との面談、関係場所の訪問」が合同調査に
なってしまうんじゃないかということです。これだけの文章しかないのであれば、
危険があふれていると思います。

 しかし、これで動いたんですから、どうするのかとは思いますが、専門家とし
ては今申し上げた通りの危機感を持っています。

櫻井よしこ

 どうもありがとうございました。この調査開始の文章を1行1行見ながらの今
の西岡さんの専門家としての分析は、非常に問題点を明らかにしてくれたと思い
ます。そこで荒木さん、今回のこの文書ですが、さっき北朝鮮側が前のめりになっ
ているという情報が流れたけれども、実際に前のめりになっているのは日本側の
外務省ではないかとおっしゃいました。これは実は非常に重要なことなんですね。

 安倍政権が拉致問題の解決を政治的課題としていて、そのことに一生懸命になっ
ていることは家族会も救う会もみんな承知のことで、大変ありがたいことだと思っ
ているんですが、それとは別に、外務省が前のめりになったとしたら、これまで
外務省がどのような交渉をしてきたかということを私たち全員が知っているわけ
で、必ずしも高い評価ではないわけです。

 その意味で、外務省前のめりとおっしゃった点に立って、この文章をもう一回
見直していただけますか。

◆日本だけが合意文書にしばられてしまう

荒木和博

 最初に申しましたように、再調査と言うのはあくまで口実です。北朝鮮側の面
子を立てて逃げ道を作ってやるという以外の意味はないと思います。これを真面
目に外交交渉だと思ってそういう文書だと思うと、まさに今西岡さんが指摘した
通りの穴だらけというか、非常に危険な文書になってしまうと思います。

 しかし、今の外務省の優先順位は、他の国と同じような手続きに伴う外交交渉
をやるという以上の枠を越えられる人がいないんじゃないだろうかと正直言って
思います。そうではない相手に対して、外務省がどうしなければいけないのかと
いうことまでは、伊原局長もその上の方も考えが至っていないのではないだろう
か。

 もしこれが、とにかく拉致被害者を取り返すための文書を作るのであれば、もっ
と簡単にしてしまって、簡潔なものにしてしまう手があるわけですが、様々なこ
とを書きこんでしまったということは、北朝鮮は全くしばられるつもりはないで
しょうが、日本的に言えばこういうものを書いてしまえばしばられることになっ
てしまうので、そういう意味でも非常に危険なものではないだろうかという感じ
がします。

(5につづく)




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