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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮は今どうなっているのか?東京連続集会79報告4(2014/05/29)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2014.05.29)

以下は、5月23日に、東京・文京区民センターで実施した東京連続集会79
のご報告です。

■北朝鮮は今どうなっているのか?東京連続集会79報告4

◆安保法制懇の報告書?4つのポイント

西岡 冒頭でも言いましたが、まず安保法制懇が報告書を出した。それを受けた
安倍総理が記者会見した。そして今与党協議が始まっている。潮さんに聞いたと
ころ、報告書の内容と今与党で協議している内容にちょっとずれがあるようです
が、まず報告書の内容から、特に拉致の観点から注目すべきことはどういうこと
なのかということをご説明ください。

潮 配布資料の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)報
告書のポイント」は、私が作成したものではなく、安保法制懇が自らポイントは
これだと、紙一枚で分かりやすく理解していただこうという趣旨で作成したもの
です。

 現在も総理官邸のホームページに掲載されていますのでダウンロードすること
も可能です。

 また「概要」と題されたもの、そして報告書の本文もホームページにあります。

 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/anzenhosyou2/

 本文はあまりにも膨大な文字量であり、中味を限られた時間でお話しするのは
非常に難しいんですが、本日はこの「ポイント」をお借りしてお話しし、ご理解
いただければと思います。

 4つの項目があります。「集団的自衛権」、「軍事的措置を伴う国連の集団安
全保障措置」、「PKO在外自国民の保護・救出・国際治安協力」、「武力攻撃
に至らない侵害への対応」です。

 ところが日本のマスコミは集団的自衛権だけに焦点を当てて報道をしていると
思います。NHKの方もおられますが、NHKのニュースでも「集団的自衛権報告書」
あるいは「集団的自衛権会見」というテロップが流れていました。他の放送局や
新聞社もすべて「集団的自衛権」で見出しを立てていたわけです。

 もちろん注目されている論点ですのでそこを強調するのは一つの見識なのかも
しれませんが、しかし、配布資料は、報告書を書いた人たちが自らこれがポイン
トだと言っているもので、「集団的自衛権」は4つある内の一つに過ぎないので
す。

 しかも3番目の「PKO、在外自国民の保護・救出、国際治安協力」を3つの
ポイントと読むのであれば、6つあるポイントの1つに過ぎないということが報
道によって正しく伝わっていないと思います。

 現在の与党協議では、是非はさておき、事実として4番目の「武力攻撃に至ら
ない侵害への対応」、いわゆるグレーゾーン事態について、この報告書では太字
で強調されていますが、「侵害を排除する自衛隊の必要最小限度の国際法上合法
な行動は、憲法上容認されるべき」という立場に立って、法制のすきまを埋める
ような検討がなされています。

 実はこの報告書は、一番下に書いてありますが、結論として「政府が本報告書
を真剣に検討し、しかるべき立法措置に進むことを強く期待」する形で総理に報
告がなされています。

 実はこの報告書を受けて、総理がその日のうちに会見をされました。ご覧にな
られた方も、報道で一部をご覧になった方も多数いらっしゃると思いますが、こ
こも多く誤解をされているところで、この報告書は単なる報告書に過ぎないわけ
です。

 これを受けた安倍内閣がこの報告書の通り頑張るのか、頑張らないのかという
選択肢がありえるわけです。そして、この報告書の通り頑張るというプランAを
選んだ場合にも、実際にそれを受けた、例えばグレーゾーン事態に対応するため
に必要な自衛隊法の改正が必要です。

 現実に法律が制定されない限り、問題は解決されないことになるわけです。

◆拉致被害者救出活動に憲法上の制約はない?報告書

西岡 総理の会見に行く前に、報告書そのものについてですが、私も全文読みま
したが、3番目の「細かく分けると3つになる」と言われた「PKO、在外自国
民の保護・救出、国際治安協力」の中の、「在外自国民の保護・救出」を拉致問
題の観点から関心深く読んだのですが、全体として拉致にどう関わるのでしょう
か。

潮 この報告書は拉致問題に関しては全く言及していません。そこが私の最大の
不満です。それ以外のところは、この報告書が述べている立場を完璧に支持しま
す。

 しかしながら今西岡会長からご紹介があったように、「在外自国民の保護・救
出」について述べられたくだりを読むと、この報告書の立場に立てば、拉致被害
者を救出するための活動に憲法上の制約はないと解釈できるのではないかと強く
類推されると思います。

 実は、注が付いており、過去の国会答弁では、「こうした立場が確認されてい
る」と報告書の中にあるわけですが、当時その答弁をしたのが外務省条約局の法
規課長で、今月15日まで内閣法制局長官を勤めていた方です。

 どこかの新聞社が自作自演だと批判するのではないかと思っていましたが、な
ぜ報道でもスルーされていました。その前後のくだりを読めば、拉致被害者の救
出に当たって、例えば自衛隊を活用した作戦行動も憲法上の制約はないという解
釈になるんだろうと、自衛権行使として許されると読める報告書になっていると
思いますが、事実の問題として拉致問題に直接は触れられていないということで
す。

西岡 その意場合、「在外自国民の保護・救出」に関して、2つ考えられると思
うんですが、金正恩政権が健在な場合に被害者がここにいるという確実な情報を
入手して、特殊部隊を送って助け出してくるというのがAで、Bは混乱事態が起き
た時に、米韓軍が北進し治安を維持する状況になった時に、証拠隠滅のために殺
されてしまうという危険性も高まるわけですね。

 その時に、米韓軍と一定の協力関係の中で助けに行く、あるいは米韓軍に助け
てもらった人を運搬する、迎えに行くというのがあります。その両方が可能だと
報告書は読めるのですか。

潮 Bはもちろんのこと、Aでも可能であろうと。さらに言えば、現時点でも、今
すぐにでも可能です。憲法上の制約はないというのはそういうことです。そのよ
うに読めると思います。

 だからこそ、そこまで書くのだったら、当然普通の日本人が読めば、このこと
は拉致問題のことを言っているのかなあと思って読まれるでしょうから、そのこ
とについて、そうだとか、いやそこまで言っているつもりはないとか、何らかの
言及をすべきだったと思います。

 また総理の会見でもそのことについて触れられなかったことについても私は不
満に感じています。

◆集団的自衛権で日米関係強化は北朝鮮には望ましくない事態

西岡 「国連の集団安全保障措置」とありますが、実は今朝鮮戦争の休戦状態で
す。北朝鮮が戦争を起こした時(1950年)に、国連の安保理事会は北朝鮮の
行動を侵略と位置付けて、国連軍という名称で、国連の旗を使って、北朝鮮の侵
略を武力を持って排撃すべきだという決議をしました。

 その決議は、ある面で休戦中ですから今も生きている。そこに日本が加わると
いうことも、「我が国が当事国である国際紛争を解決する手段としての武力の行
使には当たら」ないから「憲法上の制約はない」とこの報告書は言っている。だ
から国連軍に加わることは可能と言えますか。

潮 はい。この報告書の立場は、まさに今言われた立場を継承しています。具体
例をあげれば、いわゆる正規の国連軍に自衛隊が参加することは憲法上の制約は
ないと解釈すべきだと報告書では明言しています。

 但し、総理の会見では、「具体的な事例としてはいわゆる湾岸戦争やイラク戦
争に自衛隊が参加することはございません」という形で触れられました。まさに
この2番目の枠は、安倍内閣としては報告書の提言を採用しないという立場を明
言されたということです。

西岡 このこときちんと整理したいと思いますが、1番目の「集団的自衛権」と
拉致問題について何らかの関係性がありますか。

潮 もちろん拉致問題を解決する際に、いわゆる日米同盟による抑止力が肯定的
に働くという脈絡において当然関係するということになると思います。日本が集
団的自衛権の行使に踏み出すことで、まず生まれる効果として帰隊されるのは、
いわゆる日米同盟がより強固になるということです。それは例えば軍事的、ある
いは国際政治学的、国際安全保障関係の上では、北朝鮮にとっては望ましくない
事態だということになりますので、当然そういう脈絡では関係していると思いま
す。

西岡 この集団的自衛権に関係しますが、北朝鮮は今弾道ミサイルを開発してい
ます。彼らの目標はアメリカ本土まで届く核弾道ミサイルの開発だと思いますが、
日本はアメリカと協力してミサイル防衛システムを持っています。

 今までの解釈では、アメリカに届くミサイルを日本が技術的に撃ち落とすこと
ができても、使用できないと言われてきました。そういうこともこの報告書には
書かれていますか。

潮 その点については、今回の報告書ではなく、第1次安倍内閣の時の報告書、
これは報告書が出た時には福田内閣に代わっていましたが、その中で議論された
いわゆる4類型の中の1類型が、まさに今言われたことです。

 北朝鮮という特定の国名を挙げたわけではありませんが、普通の日本人が読め
ばそういうことだろうと思う脈絡で、北朝鮮から発射された弾道ミサイルが米国
に向かって飛んでいく。それを海上自衛隊が迎撃できるにもかかわらず、迎撃で
きないという現在の縛りを解く必要があるということをはっきりと明言された。

 今回の報告書でも、もちろんその立場は踏襲しているわけですが、実は正確に
言うと、?名ずしもすべてが採用されたわけではないということだと思います。

◆イージス艦のSM3は北の弾道ミサイルを撃ち落とせるが

西岡 惠谷さんに聞きたいんですが、第1次安倍内閣の時、4類型の中で、アメ
リカまで届くミサイルを撃ち落とすことができるよう憲法解釈を変えるべきと書
いてありましたが、日本が持っている迎撃ミサイルは、アメリカまで届くものは
高度が高いので届かない。従っていくらこんな議論をしても空理空論だと、20
07年当時言われていましたが、今日本が持っているイージス艦からSM3、陸
上からパトリオット、パック3を2段階で持っていますが、それはアメリカまで
届く弾道ミサイルを迎撃するのに有効な技術的水準を持っていますか。

惠谷 イージス艦のSM3に関しては有効です。パトリオット、パック3は射程
は25キロで役に立ちません。

西岡 ずっと上がってきて、一番高いところまできたところを撃つのがSM3で
すね。降りてくるところで打つのが陸上配備のパトリオット、パック3ですが、
それは日本を守るためのもので、アメリカを守るためにはアメリカに置かなけれ
ばならないわけで、それをわざわざアメリカに持っていくことはありえないです
ね。

 しかし、イージス艦のSM3は既にそういう能力を持っているわけですね。

惠谷 持っています。但し、北朝鮮にアメリカに向けて弾道ミサイルを発射する
場合、ニューヨークであれサンフランシスコであれ、日本の上空、日本海を通り
ません。ミサイルは最短距離を飛びますから日本の北方向に撃ちます。しかし、
仮に北朝鮮が、ハワイを狙って発射する場合は日本のイージス艦の出番になりま
す。

西岡 しかし、今の日本の憲法解釈では、能力はあるけれども撃つことはできな
いとなっていますね。
潮 そうです。

西岡 それはアメリカから見たら、日本に来るミサイルをアメリカは撃つのに、
アメリカに来るミサイルを日本は撃たないということになります。それでは日米
同盟が弱体化するから、それは抑止力として、あるいは北に対する圧力として弱
い、と。そういう観点で集団的自衛権が拉致に関係があるということですね。

潮 正確には、導入当時の官房長官が福田康夫さんでしたが、官房長官談話とし
て、「そうしたケースについては迎撃しない。従って集団的自衛権自衛権の問題
が生じるようなことはございません」と、わざわざご丁寧におっしゃった経緯が
あります。

 従って、従来のその解釈を変えないと、それを集団的自衛権の行使と呼ぶので
あれば、その行使ができるようにしないと迎撃できない。米側は水面下では、こ
の解釈について「ユー アー クレイジー」と日本をののしったと関係者の間で
は伝えられています。

西岡 つまり「同盟」と言いながら、また技術的に撃ち落とすことができるのに、
わざわざ「しません」と言ったということですね。

潮 しかも、このイージスシステムもパトリオットも、米国から供与された技術
であり、イージスシステムに関しては日本に対してだけ、とてもよいアップグレー
ドされたものを供与したという経緯があるにもかかわらず、それを日本は自分の
ためにしか使わない、アメリカのためには使わないと言ったわけで、それをなる
ほどと思うアメリカ人は一人もいないでしょう。

西岡 システム自体がアメリカの軍事衛星の情報が組み込まれているわけですね。

潮 基本的には事前の兆候を偵察衛星が把握するケースがあると思いますが、そ
れができない場合でも、静止軌道上に乗っている、赤外線、つまり熱源を探知す
るタイプのものがまず最初に、「発射」という情報を日本に伝えてきます。

西岡 アメリカの衛星の情報が日本を守るために使われ、イージス艦からミサイ
ルを撃つというシステムなのに、またアメリカに届くミサイルを撃ち落とすこと
ができるのに、「しない」と日本政府は言っている。

潮 そういうことだと思います。現在もそう言っています。この報告書の流れで、
今後何らかの法改正が行われない限り現状ではそうだと思います。

(5につづく)


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