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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

横田めぐみさん拉致事件を検証 ?東京連続集会報告(2013/12/02)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.12.02)

 以下は、平成25年11月28日に開催された東京連続集会76 の模様を文
字化したものです。テーマは、「横田めぐみさん拉致事件検証」で、西岡力救う
会会長とジャーナリストの惠谷 治さんが報告し、横田ご夫妻にもコメントして
いただきました。
 概要以下の通り。何回かに分けて発信します。


■横田めぐみさん拉致事件を検証?東京連続集会報告

西岡 みなさん今晩は、お寒い中、皆さん集まってくださいまして感謝いたしま
す。

 9月の日比谷公会堂での国民大集会の時に、惠谷治さんと一緒に、「35年前
の夏に何が起きていたのか」という報告をさせていただきましたが、横田めぐみ
さんの事件は36年前になります。

 35年前、36年前、昭和52年、53年に認定(被害者の)拉致が集中して
起きています。その状況をどのように分析できるのかということで、今また現場
を廻っています。

 そういうことを今になってやる問題意識ですが、安倍政権になってほぼ1年経
ち、飯島さんの表向きの動きもありましたが、残念ながら目に見える進展はない
わけです。しかし、何らかの接触が持たれている可能性は排除できないと思って
います。

◆「おかしい」という声を瞬時にあげられたので

 2002年の小泉訪朝の時も、実はその1年前の秋から約1年間秘密交渉が持
たれていたんです。全く誰も知りませんでした。大きなことを動かすためには、
表の交渉だけでは難しいというのが経験則です。

 北朝鮮は本当にことを動かそうとする時は秘密交渉を好みます。我々は担当す
る部署ではありませんので、しっかり政権にしていただきたいと思っております
が、ことが動いた時に考えなければいけないこと、検証しなければいけないこと
がでてきます。

 11年前に大きくことが動いたわけですが、残念ながら北朝鮮は拉致を認めな
がらも全部は認めなかったわけかです。たった13人しか認めなくて、そのうち
8人は死んだと一方的に言ったわけです。

 その「8人死んだ」ということについて、「おかしい」という声を瞬時にあげ
られたので、何とか土俵を割らなくてすんだ。当時は拉致対策本部がなく、外務
省主導で、どちらかというと日朝国交正常化交渉を進めようという人たちが政府
の中に多かった中で、北朝鮮の言っていることはおかしいと瞬時に言うことがで
きましたが、かなり綱渡り的だったのです。

 この次何か動いた時に、北朝鮮がすなおに全員出してくるかどうかは分かりま
せん。

◆「全員を助ける」という課題

 安倍政権は今年1月に、「認定の有無にかかわらず全員を助ける」という方針
を決めました。認定の「無」の人も助ける。今の所証拠がなくて認定できていな
い被害者もいるということが前提で、そういう人も含めて助けるんだという方針
を決めたわけです。

 それを受けて、荒木さんが代表をしている特定失踪者問題調査会は、「認定を
求める運動は今後はしない」、「救出を第1にする」という方針を決めました。

 しかし、口で言うのは簡単ですが、じゃあ認定してない人をどうやって助ける
か。ことが動いた時に、「この人が入っていないではないか」と認定被害者につ
いては言えますが、認定していない人は800人全部出てくるのか。

 我々が想定していない被害者がいるかもしれない。860数人というのは、あ
くまで家族が、疑いがあると言って警察に届けた人数です。家族がいない人は届
け出ていないんです。

 原敕晁さんや久米裕さんは、もしも犯人が捕まっていなければ860何人に入っ
ていません。なりすましのための拉致は、家族付き合いをしていない人を意図的
に選ぶんです。そういう人は、(届け出る人がいないから)860何人に入って
ないんです。

 そういう人も含めて認定されてない人を全員助けるというのは、口で言うのは
簡単ですが、大変難しいことです。我々は、安倍政権や対策本部に対して、認定
されてない人を全員助けるというならその具体的な方策をどうするのかと。これ
は私も入っている有識者懇談会でも議論されていることです。大変困難な課題に
我々は直面しているということです。

◆分からない人も助ける方法

 この間、国連の人権調査委員会の人が来て、繰り返し質問していたことの一つ
が、「被害者は合計何人なんですか」という質問でした。それに対して我々は、
「分かりません」と。率直なところ分からないんです。

 では、分からない人を助けるというのは無理な主張だと、当初オーストラリア
の判事をされた委員長なんかもされていましたので色々説明しました。

 私が考えている具体的な方策は2つあります。

 1つは、北朝鮮が日本に対し、これが全部だという申告をすることです。それ
に対し我々が検証する枠組みを作ることです。「申告・検証」の枠組みです。

 共同調査委員会なんか絶対作ってはいけない。我々は北朝鮮に主権がないんで
すから、捜査権もないのに一緒に調査をしたら、時間稼ぎされ、責任転嫁させら
れるだけです。

 彼らに、「これが全員だ」というものを出させて、それに対して、「こういう
証拠を出しなさい」と言って検証して、足りなければ「これじゃだめだ」と言っ
て、新たなものを出させる枠組みを作る。

 こういうことを北朝鮮に要求している前例があります。6者協議の中で、北朝
鮮に対し、「すべての核爆発物質を申告しなさい」と。そして「海外に出しなさ
い」と要求しているんです。

 核爆発物質というのは、濃縮ウラニウムとプルトニウムです。北朝鮮は200
6年に6者が合意した時、1回申告しました。北朝鮮は、「濃縮ウラニウムはま
だやっていません」とし、プルトニウムを大変少ない数字で申告しました。 こ
れに対し、アメリカや日本、韓国、中国、ロシアも、これは少なすぎると話しま
した。

 私のところに国連の人権委員会の人が来た時もそういう話をしましたし、外国
の記者が来た時も言うんですが、「一人でも日本人が北朝鮮に残っていたら解決
じゃない」、「主権国家としてそれは当り前でしょう」と。「不法にさらわれた
人が一人でも残っているのに、日本政府は解決だと言えないでしょう」と。

 じゃあ一人も残っていないことをどう証明するのか。北側が、これで終わりだ
という証明をすべきです。それは、不法に核開発をした北朝鮮に対して、これで
全部だという証明を国際社会が求めたのと同じ論理です。何も無理なことは言っ
ていない、と継続して言ってきました。

 まずそういう枠組みを作らなければいけない。これは今外務次官の斎木さんが
アジア大洋州局長の時議論をしたことがあります。「自分もだいたい同じ考え」
と言っていました。

◆情報を取って備える

 次に、その枠組みができたとしても、検証する段階で我々の役割があります。
検証をするためには材料を持っていなければならない。もちろん不審な失踪者8
60何人いる、そのリストを持っていることも大切な材料です。

 また、新たに帰ってきた人から色々なことを聞くことです。芋づる式に新たな
情報が出てくる可能性があります。例えば曽我さんが帰ってきたことによって、
タイ人、ルーマニア人、レバノン人の拉致が明らかになりました。そしてタイ人
拉致が明らかになったことによって同じ日にいなくなった中国人の拉致が明らか
になりました。

 また、帰ってくる前にこちらがやっておくべきことがあります。それは情報を
取るということです。北朝鮮の内部と何らかの関係を作って、今現在、どこに誰
が何人いるのか、何をさせられているのかという情報を取るという作業です。

 そのことについて対策本部は、「情報活動については一切コメントしません」
と言っています。これは「やってない」という意味ではないと思っています。実
務の責任者である事務局長は、内閣情報官をやっていた人です。日本政府の中で
情報を一番知っている人がそこの席にいるということは、政府は意味は分かって
いるんだなと思います。

◆手口の研究も必要

 もう一つできることがあります。例えば犯罪で犯人を捕まえます。空き巣を捕
まえたとします。指紋などでその犯人が何件かやっていることは分かっています。
まだ余罪があるはずだと、それを追求する時に使う手法は手口の分析です。

 この男はいつも入る時にガラスを切って入る。彼がある時期いた場所でガラス
を切って入った空き巣がもう何件かあった。これはお前がやった可能性が高いん
だぞと言って追求できます。

 今は確実に分かっている拉致について、どういうパターンがあるのかというこ
とを分析しておくことは、記録として残すということではなく、もちろん記録と
しての価値はありますが、次に安倍政権と北朝鮮との間で交渉が進んで、北朝鮮
が何かカードを出してきた時に、それを検証する重大な材料になります。

 そういう問題意識を持って2006年から、調査会の理事でもあるジャーナリ
ストの惠谷治さんにも入ってもらって、拉致の全貌を解明する調査プロジェクト
をやってきました。

 まず海外の拉致がどんどん明らかになったものですから、海外での拉致がどの
くらいあったのか、あるいは過去にどこまで遡れるのか、アメリカ人の拉致が出
てきたがこれはどうなのかというようなことをやってきました。

 去年ぐらいから、今分かっている日本国内の拉致についてもう少し綿密に分析
してみたらどうか、特に手口という観点から。そういう問題意識で今現場を廻っ
ています。何回か行ったところも、今の時点で分かっている知識を全部持って、
現場に行ってみました。

 その一端が、9月の国民大集会で報告した「35年前の夏何が起きていたのか」
という報告だったわけです。それは皆さんの所に、12月のセミナーの案内とと
もにお送りした、私が書いた簡単な報告にもまとめられています。

◆拉致の3類型

 そういう枠組みの中で36年前にあっためぐみさんの事件をもう一度見てみよ
うと思いました。配布資料に「拉致の3類型」とあります。遭遇拉致、人定拉致、
条件拉致という3つがあります。


拉致を目的としないで日本に入ってきた工作員が、隠さなければいけない秘密を
見られてしまい、緊急避難的に拉致するのが遭遇拉致です。寺越事件が典型だと
思います。

 日本の中にある組織が最初からこの人を拉致しようとして選んで、北朝鮮と連
絡して、「これでいいでしょうか」、「これでいこう」ということになって、そ
の人をだまして海岸まで連れていく。工作員が迎えに来ていて連れていくという
のが人定拉致です。

 日本政府認定の第1号、久米裕さんは人定拉致です。田口八重子さん、原敕晁
さんも間違いなく人定拉致だと思います。

 それに対し、前から言っていましたが条件拉致というのがあるんじゃないか。
というのは、35年前の夏に起きていた未遂事件を含め5件の拉致事件を分析す
ると共通項が多い。 5件とも人定拉致とは思えない。たまたまその現場にいた。

 曽我ひとみさんにはここに来てもらいましたが、「あの日お母さんと一緒に買
い物に行くのは妹だったかもしれなかった」と。姉妹でけんかした。だから曽我
さんを人定していたら、あの道で襲うことはありえないのです。曽我さんが絶対
に来るであろう場所で襲わなければいけない。

 地村保志さんに8月に会って直接聞きましたが、「あの日展望台に行くという
のは事前には決まっていなかった」と。デートをしていて、富貴恵さんを自宅に
送る時に、まだ時間が早かったから、「星を見にいこうかと車の中で言って、ウィ
ンカーも出さないでピッと曲がって展望台に行った」と。

 「展望台に行ったらアベックがもう一組いた。そのどちらが選ばれたのかは分
からなかった」。4人の男は二組いる時に来ていたんです。

 蓮池薫さんはある所で、こう話しています。「北朝鮮に行ったら、お前たちの
前に狙おうとしたやつがいたんだ」と。「だけど、酔っ払いのおじさんが一升瓶
をかついで来たので中止して、お前たちになったんだ」と。

 富山の未遂事件も今回、惠谷さんと一緒に現場に行ってきましたが、ホテルで
お見合いをしていたんです。親戚と一緒にいたんですが、「若い二人で海岸にいっ
たら」ということになった。その二人があまり気が合わなかったら二人でデート
しなかったかもしれないんです。それもデートする時、人気のない方にいくかど
うかも分からないですよね。

 市川修一さん・増元るみ子さんのケースも、初めてのドライブデートで、その
ことを知っていた人はほとんどいなかった。二人はまだ帰ってきていないので具
体的に誰に話したとかは聞けませんから状況が分からないんですが、偶然海岸近
くにいたともとれるものです。

 そして犯人がすべて3人の戦闘員と一人の工作員です。増元さんたちの場合は
まだ分かりませんが、他の人たちは、3人の屈強な男と、一人の日本語ができる
男です。

 こういうことから、日本国内の組織は関与していないで4人が上がってきて、
若いアベックがいそうな場所に隠れていて、来た人を拉致した。蓮池さんたちの
場合は3日前に上陸しています。肝試しにカレーライスを食べたと言っています。


 そういう観点からみてめぐみさんの場合はどうなのかというのが今日の課題で
す。惠谷さん、めぐみさんの拉致については、当初、遭遇説が多かったですよね。
当初言われていためぐみさん拉致についての話をしてください。

◆北朝鮮はめぐみさん拉致を第1号とし拉致を縮小化

惠谷 みなさんご存知と思いますが、めぐみさんに関して、朝鮮労働党作戦部の
安明進さんが、先輩の丁(チョン)教官から聞いた話があります。「無線操作し
ているところを目撃されて連れてきた」ということを安明進氏が手記に書きまし
た。手記からは、3つの類型から言うと遭遇拉致と読み取れます。

 しかし、めぐみさんがいなくなった当時から様々な情報があり、手記にはそう
書かれていましたが、私は人定拉致ではなく条件拉致だと思いました。後でお話
しますが、めぐみさんがどう拉致されたのか再検証したい、現場検証しようとい
うことになりました。

 実は、めぐみさんについては、金正日が(拉致を)自白しているわけです。そ
のため、どういう拉致だったかは、さほど細かいことをチェックしていませんで
した。私は、14、5年前、金正日が自白する前に仮説を書いたんですが、その
後の様々な情報を加えるとどうも違うというところもありました。そこで今回西
岡さんと再調査したわけです。

 9月の国民大集会で3つの類型について話をした時に、横田早紀江さんが、
「うちの子の場合は遭遇拉致だ」とおっしゃったのをよく覚えていまして、私は
条件拉致と思っていましたが、明確にこうだと言えない状況でした。「無線操作
をしていた時に目撃された」ということであれば、当時の現場が目撃できる状況
かどうかです。

 ちょうど11月15日、36年前の事件当日に合わせて行き、暗さがどうだっ
たのかを見てきました。

西岡 北朝鮮はめぐみさん拉致についてどう言っていますか。安明進が教官から
聞いたのとは別に、もう一つ遭遇説がありますね。日本に対する調査報告の中で、
「見られたから連れていった」と。

惠谷 外務省の聞き取りの際に、北は、「偶然に連れてきた。秘密が漏れるのを
防ぐために連れてきた。それが契機となって拉致が始まった」と発表しています
ね。

 めぐみさんは1977年11月に拉致されましたが、10月に松本京子さんが
拉致されています。9月に久米裕さんが拉致されています。この2件を否定する
ために、めぐみさん拉致が契機となったと主張しています。

西岡 北朝鮮はめぐみさん拉致が第1号で、それも偶然だった、見られたから連
れてきた、意図的ではなかった、と拉致を縮小しようとしました。当初安明進が
聞いていた話を巧妙に利用して、拉致を縮小しようとしているとも思えます。

 日本政府の認定でも1月前に米子で松本京子さん、その1月前に石川で久米裕
さん拉致があったわけです。しかし、その二人については、北朝鮮は未だに拉致
を認めていません。

(2につづく)




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