救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

家族会・救う会の新運動方針について−東京連続集会58(2011/06/15)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2011.06.15)

下記は、5月26日に開催された「東京連続集会58」の記録です。増元照明
・家族会事務局長の訪米報告、西岡力・救う会会長による新運動方針の説明等で
す。飯塚繁雄代表、横田早紀江さん、本間 勝さん、島田洋一副会長も参加。


■家族会・救う会の新運動方針について−東京連続集会58

◆一刻でも早く救出する方法はないのか
飯塚繁雄(田口八重子さん兄、家族会代表)

 皆さんこんばんは。いつもありがとうございます。

 今、日本国中で、東日本大震災に関する色々な報道がなされている中で、私た
ち拉致被害者家族としても、大震災で多くの被害者がたくさんおられることにつ
いて、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 拉致問題については、当然、我々の家族の命がかかっている問題ですが、東日
本大震災では亡くなられた方々もおられますし、行方不明の方もおられます。命
の大切さということを今回、ひしひしと感じたわけです。

 我々は長い間、家族を助けるために戦ってきました。もう、10年以上にもなり
ますが、被害者たちはもう30年以上も向こうで助けを待っている状態が全く変わっ
ていません。

 我々は、この救出運動の初心に帰って、純粋な気持ちで家族を早く返してほし
いという願いを皆様に、そして政府、関係の方々にお願いしてきました。

 そして、被害者全員を返すまでという大きな目標があります。決して、自分の
家族だけが帰ってくればいいというようなことは、我々家族会としては全く考え
ておりません。

 認定被害者、認定されていない特定失踪者の方々を含め、想像するのも残忍な、
あの過酷な北朝鮮に閉じ込められています。北朝鮮という非情な国のがれきの下
から、早く返してくれという声が聞こえます。

 しかも、私たちは家族はみんな生きているということをはっきりと言っており
ます。これは我々家族だけではなく、政府も生きているとはっきり言っています。
そういう背景から、早いうちに助けなければならないと、これも何百回も言って
おりますが、今の状況を見ると、なかなかそういう動きが見られないのが残念で
す。確かに大震災の課題がたくさんありますが、一方では日本の国民が国際的な
犯罪によって北朝鮮に連れて行かれているということは明らかです。

 従って、私たちは、国内国外を問わず、この問題について、一刻でも早く救出
する方法はないのかという訴えをしています。当然のことですが、これには日本
政府が主体的な動きをしていかなければならない問題ですが、先日の日中韓の首
脳会談の中でも、日本の拉致問題にはっきりと言及し、各国の中でもこの問題を
解決するべく、北朝鮮を追求してほしいという話がありました。

 さらには、アメリカでも今、議会が変わりつつある。この時期に我々としては
さらに北朝鮮をテロ支援国家の再指定をしてほしいとの願いを込めて活動を続け
ていきたいと考えています。

 6月5日には、チラシをお配りしていますが、東京で大々的なデモ行進をやり、
さらなる国民への訴え、政府の尻押しも含めて、この問題が絶対に風化しないと
いうことが活動の大前提ですので、大行進の中でさらなる訴えを行っていきたい
と考えています。

 そして6月は毎年、全国一斉行動の月ですので、署名活動、街宣活動、集会な
どを企画されていると思います。是非、6月前半の土日を中心に拉致問題の盛り
上げをはかる活動を計画し、皆様のご協力もいただいています。

 北朝鮮の内情については、後ほど西岡会長から話がありますが、色々な情報を
見ても、取り巻く情報ばかりで、直接、日本のあるいは各国の被害者をどう返す
のかという具体的な方向がなかなか見えないのが残念です。それでも関連した課
題については、私たちも、いわゆる搦め手という考え方で、できることは何でも
やろうというつもりで今後も活動をしていきたいと思います。

 私たち家族もだんだん歳をとって苦しい状況ですが、皆様と共に今後、強い、
しかも具体的な活動になるように考えたいと思いますので、宜しくご協力をお願
いいたします。ありがとうございました。

◆交渉は絶対に解決するぞという思いのある方でないと

横田早紀江(横田めぐみさん母)

 みなさんこんばんは。この拉致問題というのは、どうしたら解決するのか分か
らなくて、私たちも一生懸命あらゆることを頑張ってきましたし、まだ講演会も
続けています。

 この間は小山というところに行ってきました。グリーンシャワーという色々な
講師をよんでいる会ですが、800名くらいの方が来られて、一生懸命聞いてくだ
さいました。

 地震とか色々な問題がありますが、これは日本が何とかしなければならない問
題だとみんなおっしゃっていました。会場の皆様が、絶対忘れないからいつでも
呼んでください、と温かく送り出していただきました。

 私たちは、拉致された子どもたちを返してください、早くここに連れてきてく
ださいとお願いしているだけなんです。しかし、あまりにも複雑な北朝鮮の問題、
そしてそこと交渉しなければならないという問題、色々な国々が絡んでいる国益
の問題、そういうことを私たちは知らなかったのですが、時が過ぎるごとに段々
分かってきて、難しいなということをひしひしと感じます。

 これまで制裁を強めてきましたが、この前主人が国民大集会の時に、田中均さ
んのことを持ち出して、(小泉訪朝前に)25回も交渉していたことを言いました。
本当に交渉しなければだめということで、表現が少しあれっと思ったのですが、
そういう感じで思っていることは確かで、話をしなければ絶対動かないという思
いは持っているようですし、私もそれは思います。

 話をしようとしている人たちが本当に私利私欲のない、本当に真剣に考える人
で、絶対に解決するぞという思いのある方でないと、この前のように調印してし
まったりとか、まがった方向に行ってしまう難しさがあります。それは政府の方
々でないと、私たちにはあまりに難しくて分からないんですね。

 しかし、前に進むためには、いい交渉をする話合いがどこかでできれば有意義
じゃないかなと思います。これからも宜しく応援ください。

◆交渉は期限を切って、応じなければ制裁を

本間 勝(田口八重子兄)

 みなさんこんばんは。いつもありがとうございます。

 この問題が膠着している中で、漏れ聞こえてくるところによると、水面下では
色々動いているとのことです。私たち家族会も、平沼拉致議連会長が北朝鮮との
窓口になって、何か言ってきたらお任せして動いてほしいと言っています。そう
いう窓口を通じて、何がしかの動きがあることを期待しています。

 先般北朝鮮が東日本大震災で寄付金を出したのに経済制裁を解除しないのはお
かしいと批判しています。とんでもないことです。私たちは、拉致被害者を返せ
ばいいんです。金額じゃないですよ。それによって日朝交渉が動くだろうし、経
済支援も出すだろうし、もちろん制裁も解除されると私たちは言っています。寄
付金がどうのこうのという問題よりも、基本的に拉致問題があることを分かって
いない。本当におかしな国だと思います。

 寄付金をもらうということは、大震災で非難されている方、困っている方には
助かることですが、ピントのはずれたことを言っているなと思います。

 最近政府は、イランに、北朝鮮に働きかけてくれとお願いしている。イランと
いう国は、ミサイル・核で北朝鮮と密接に軍事情報を交換し合って開発を行って
いる国です。その国にお願いするというのは、本来の問題を考えればおかしなこ
とです。これは世界的に考えれば、12か国以上から拉致被害者が出ているわけで
すから、中国も拉致被害者を出しているので、拉致の包囲網を作ってやらないと
取り組まないです。

 あの国は、目の前の食糧問題、経済体制・政治体制の安定化等の問題にふりま
わされて、拉致問題どころではない。そういうことが目に見えてくる中で、制裁
をかけ、北朝鮮が困るようなことをやっていかないと目が覚めないと思います。
私たちはこのことをアピールして、世界を動かしてやっていかないと、この問題
を動かせない。

 ただ単に交渉するだけでなく、期限を切ってやらないと、今回も9月までに調
査のやり直しに何らかの動きがなければ、北朝鮮から提案されて丸3年になる節
目をもって、私たちは運動を起こしていく。3年が過ぎるようだと、お金を1円も
北に送らせないように制裁をかけようと。

 そうすればかなり北朝鮮は困るわけです。朝鮮総連からお金がいかないと困る。
そういうことをやっていくしかない。そういう思いでこの運動を続けていきます
ので、皆様のご支持をお願いいたします。

◆北の大震災への寄付金10万ドル寄付は総連が出した?

増元照明(増元るみ子弟、家族会事務局長)

 5月8日の国民大集会には、ここにおいでの大半の皆さんがきていただいたと思
います。私は、震災の後の集会ということで、どのくらいの方たちが来てくれる
のかと非常に心配していましたが、1300人という多くの皆さんが集会に参加して
いただいたことに、2万人が集まってくれた2003年の集会と同様に感激しました。

 それだけ皆さんが、拉致被害者の救出に強い思いを持っていただいていること
を実感し、感謝申し上げます。ありがとうございました。

 本間さんが、北朝鮮が寄付金10万ドル(約800万円)を出したのに制裁を解除
しないのはおかしいと言っているとの話をされました。実は、あの話を聞く前日
に、蓮池透さんが、どこかの講演で同じようなことをおっしゃっていました。
「北朝鮮は10万ドルの支援をしたのに、日本がやったのは制裁の継続であった」
と、批判的に言っていました。

 その話と連動しているので、もしかしたら蓮池さんの講演に総連関係の人がい
て本国に連絡し、本国がそれを受けて同じように言ったのか、それとも本国と蓮
池透氏が同じような考えをもっていたのか。非常に不思議というか、連動してい
たので懸念を抱いています。

 日本に対する10万ドルの寄付の発表があった時、西岡さんに、「あの金はどこ
から来るのでしょう」と聞いたのですが、「おそらく総連が出すのでしょう」と
いうことです。本国から金を送ってくることはありえないし、朝鮮総連がお金を
工面するしかないですね。確か赤十字に総連の関係者が行きましたよね。日本の
在日の人たちがまたお金を拠出させられたという一面があるのでは、と思ってい
ます。

 在日に対する40万ドルの支援という発表もありましたが、あれは本当にいって
いるのかどうか分かりませんよね。もちろん総連関係者に対する40万ドルの寄付
ですから、もらったと言うだけのことで、後はどこにどうなっているのか分かり
ません。

 そういったことに日本が感謝をするのはもちろんですが、だからといって私た
ちの国が拉致問題を放棄することはありえないということを明確に言っていかな
ければならないと思います。

◆命のかかった問題をなぜ日中韓首脳会談の声明文に明記できなかったのか

 次に訪米報告をさせていただきます。大集会の翌々日、5月10日に日本を立ち、
13日金曜日の便で帰ってきました。13日の金曜日はあまりいい日ではなく、まし
てその1週間前にビン・ラディンが暗殺された報復がどうなるのかと恐怖を感じ
ていましたが無事に帰ってきました。

 10日に立つと10日の午前中に着きます。飛行機の中であまり眠れないまま、夜
は大使館の公使にごちそうになりました。公使は、現実的と言っていましたが、
アメリカとの関係を重視し、中国に懸念をもって、今の政府のやり方にも疑問を
持っているような雰囲気でした。日本は、厳しく拉致問題を追及しなければなら
ないという姿勢が見えました。

 これは外交辞令や私に対して言っているというのではなく、よく話を聞くと、
心底からそう思っているようです。だから、駐米日本大使館の人たちは、拉致問
題の解決について、一様にある種の気持ちを抱いていることがよく理解できまし
た。問題は、外務省本省だと思っています。

 今回の、日中韓の首脳会談の声明で北東アジア情勢について2つのコメントが
あります。北朝鮮のウラン濃縮計画に対する懸念、もう一つは、真摯な南北対話
を通して6者協議の再開を促進させることです。

 なぜわが国の国内で行われた日中韓の首脳会談の声明で、「拉致問題の解決」
を入れられないのか。これが外務省の問題だと私は考えます。「拉致問題はわが
国の最重要課題」と言っているにも関わらず、せっかくの日中韓首脳会談の声明
文の中に、これを入れられないというのは怠慢というより、恐らく中国に対する
遠慮だと思います。

 中国を刺激しないように、中国が反対すると声明文もまとまらないとか、そん
なことを懸念していて本当の話し合いなんかできるわけがないじゃないですか。
相手のいいように作る声明文なんか、私はいらないと思います。わが国の問題を
しっかりと話し合うために、日本で会議を行うのであれば、当然拉致の問題を声
明文の中に明記させなければならない。そのために外務省は、中国にも韓国にも
働きかけなければならないと思いますが、結局入れられなかった。

 外務省の言い訳としては、「日中、日韓のバイ(二国間協議)の中でこの問題
を提起しています。ちゃんと話しています」と言われたのですが、話すだけなら
誰でもできるんです。どうやって協力を求めていくか、どうやって言質をとるか
ということが外務省の仕事であって、総理の仕事じゃないでしょうか。

 総理が被災地に行って、被災者と膝を交えて話をした。「分かりました。検討
します」。アリバイでやられたら私たちは本当に困るんです。「やってます。話
をしてます」。それで13年、14年と過ぎてしまって、金正日が拉致を認めてもう
9年が過ぎてしまった。こんなことを続けられると身体が持たないです。本当に
そういう姿勢を、政府にはもう一度考えていただきたいと思っています。わが国
の、「最重要課題」というのであれば、当然拉致の問題がメインでもいいじゃな
いですか。

 経済情勢もあるでしょう。しかし、命のかかった問題をなぜ声明文に明記でき
なかったのか。これは猛省を促したいと私は思っています。そして本日、拉致問
題対策本部を通して、電話で抗議をしておきました。そして外務省本省の答えが
ありました。

◆米国の北朝鮮人権委員会が北朝鮮による拉致問題報告書を作成

 5月11日に、この「TAKEN」という本ですが、チャック・ダウンズという我々が
訪米する度にお会いする、島田さんと親交のある保守の論者で、元国防総省アジ
ア副局長で、北朝鮮問題に精通している方が書いたものです。北朝鮮人権委員会
というNGOがこの本を初めて刊行しました。

 この本は、韓国人の拉致問題と日本人拉致問題が3割と3割くらい書かれ、残り
4割で今後どう解決するかという提言が書かれています。英語でこのような本が
書かれたのは初めてで、米国の政府関係者、議会関係者に配布されるということ
です。詳しく理解していただければありがたいと思っています。

 彼が強調していたのはグーグルの衛星写真です。ここに拉致被害者が生活して
いた区域があったと。平壌市の北にあるここが金正日政治軍事大学の所在地で、
被害者は居住地と大学を行き来するだけ。居住地はすべて塀で囲まれているので、
彼らは今自分たちがどこにいるのかすら理解できていないであろうと言っていま
した。もうひとつ。ここに日本革命村というのがあります。よど号犯の居住地だ
と言っています。こういう衛星写真を分析し、詳しく説明されました。

 この本の出版に当り記者会見をするということが1週間前に決まったので、急
遽、拉致問題対策本部を通してアメリカの日本大使館に色々なアテンドをお願い
し、実質2日間ですが、こちらが望む方々に会うことができました。

 11日午後に、記者会見の打合せをチャック・ダウンズ事務所でやったのですが、
韓国の拉致被害者家族の李美一さんが来ていました。

 またアメリカ人のご夫婦が来ておられて、チャック・ダウンズ氏が紹介してい
ましたが、彼らの息子さんが韓国好きで韓国通だった。そして韓国語がしゃべれ、
中国でキリスト教の布教をやっていた。その間に突然いなくなった。どういう事
情なのかよく分からないということですが、チャック・ダウンズ氏の感触として
は、韓国のキリスト教団体には脱北者支援をやっている団体もありますので、そ
こに関係している間に北朝鮮に拉致された可能性も排除できないとのことです。
つい最近のことらしいです。今後、二人の息子さんについてはチャック・ダウン
ズ氏らが調査をしてくと思いました。

 その後、5時半からキャンベル国務次官補とお会いしました。向こうから少人
数で会いたいということでしたので、私と、大使館の関係者と通訳で会いました。
はいるなりいきなりキャンベルさんが、「ナイス トゥー ミート ユウ アゲ
イン」とおっしゃいました。「アゲイン」って、前に会ったことがあったかなと
思って、名刺もついつい出せずにいたんですが、よく考えると私は会ったことが
ないんです。

 横田御夫妻と飯塚さんには会っていますので、多分私にも会っているんだろう
と思って、「アゲイン」と言ったのだろうと、後から理解しました。

 私が一番言いたかったのは、やはりテロ支援国(リストへの北朝鮮)の再指定
です。私たちが2007年、2008年とアメリカ政府に、テロ支援国指定を解除しない
ように働きかけてきたのですが、結局アメリカは指定を解除してしまいました。
「あの時私たちはアメリカの裏切りだと感じました」と申し上げました。

 キャンベル氏によると、今国務省はそんなに強く再指定しなければならないと
は考えていないようです。「2006年のアメリカの北朝鮮に対する金融制裁、あの
当時よりも北朝鮮に対してはもっと厳しい制裁を課しているんだ」と。「テロ支
援国リストに北朝鮮を入れることよりもさらに厳しい制裁を課しているから問題
ないんじゃないかな」という認識でした。

 私たちにとっては、実質的にはそうなのかもしれませんが、再指定することは
北朝鮮に対するメッセージとしての意味合いもありますので、そのことを強く言
いました。

 アーミテージさんが副長官の時、2004年ですが、テロ支援国指定に当たって、
日本人拉致の問題も指定の理由にあげてくれました。それを全く無視するような
形で指定を解除されました。指定の一番の圧力は中国に対するものだと私は思っ
ています。中国が、北朝鮮のテロ支援国指定解除で動けと言ったフシがある。中
国が北朝鮮に色々な投資をし、企業進出する際に、北朝鮮が世界銀行やアジア開
発銀行から融資を受けられる状況を作っておかなければならない。作れば担保が
できると考えたのではないかと私は思います。

 テロ支援国に指定されると、アメリカは、世界銀行やアジア開発銀行からの北
朝鮮への融資には反対しなければならないというアメリカの国内法がありました
から、それから外されると反対しなくてもすむようになってしまうのです。そう
すると、今中国が無尽蔵にアジア開発銀行から融資を受けているように、北朝鮮
も受ける可能性が出てくるんです。その金を担保として中国は北朝鮮に融資や開
発援助ができます。そのためにも、テロ支援国指定を解除してもらいたかったの
ではないかというのが私の考えです。

 北朝鮮が望んだテロ支援国指定解除を再指定することによって、もう一度北朝
鮮に強い圧力を感じさせなければならない、ということを伝えておきました。そ
れに対してはあまり反応はなかったのですが、今のアメリカ政府は再指定を考え
ていないようです。

 12日の9時半から、本の記者会見がありました。日本で言えば、外国人特派員
クラブのようなプレスセンターがあり、120人くらいの関係者が集まっていまし
た。

 まず、リチャード・アレン北朝鮮人権委員会の会長が演壇に立ち、そしてチャッ
ク・ダウンズ事務局長、そしてロバート・キング北韓人権特使。彼は今訪朝して
います。その隣に私と李美一会長が座りました。

「TAKEN」の趣旨、そして委員会として今後どうするのかということをアレン会
長がかなり長時間話しました。彼は世界の重鎮とも親しいと言っていました。前
日は、金大中とも親しい、非常に尊敬していると言っていましたので、私は北朝
鮮問題について本当に分かっていない部分があるのではないかと思いました。ま
た、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長とも親しいとのことで、彼にも
「TAKEN」を送ると言っていました。

 ロバート・コーエン副会長が、印象深いことを言っていました。「私はこの拉
致問題は既に終わった問題だと理解していた。この本を読んで、この問題は全然
終わっていないことを認識した」と。これが普通のアメリカ市民の考え方だろう
と思います。金正日が拉致を認めて5人を返したのだから終わった問題だと。北
朝鮮人権問題の団体の副会長が「TAKEN」を読んで、終わっていない問題だと強
く認識し、解決しなければならないとの思いを強くした、とおっしゃっていまし
た。その意味で、この英文で書かれた本が、政府・議会関係者に配られるという
のは、終わった問題ではないということを訴える力になると思っています。

 私の挨拶は、紙1枚に書いたものを、スーザン古森さんに訳していただきまし
た。これは読みやすいように字を大きくしてあります。拙い英語でも懸命にしゃ
べれば相手に訴える力があるそうです。「通じた」と言っていたので、多分大丈
夫だったのだろうと思っています。

◆記者会見での挨拶

 最初に、大震災に対してアメリカの支援、一般市民の皆様の支援に、一日本人
として感謝していることをまず申し上げて、姉の拉致のケースについて少し話を
しました。姉が拉致されて時、自分は何を考え、どのように感じていたか。さら
に皆さんにお渡しした紙にはさらに詳しく書いてあります。北朝鮮がなぜ日本人
を拉致したのか、世界12か国に及ぶ拉致被害が実際にあることです。

 私たちはマカオに行き、ソウルに行き、ルーマニアに行き、タイに行き、被害
者の家族と直接会って悲しみを共有し、共に被害者救出のために闘おうという思
いを強くしていることを申し上げました。

 チャック・ダウンズ氏がまとめたものでは、14か国18万人と大きな数になって
います。これは、韓国人の戦争中の拉致、帰還事業で日本から北朝鮮に渡った人
たちも大きな意味で拉致ととらえて公表しています。また、14か国としているの
は、まずアメリカが加わっています。イリノイ州の金東植(キム・ドンシク)さ
んというアメリカの市民権はグリーンカードを持っていて、奥さんは米国民とい
う方です。息子さんたちは当然アメリカ国籍を持っています。もう一つはギニア
の人で何年か抑留された後返された人です。14か国18万人という大きな数がイン
パクトがあることだとチャック・ダウンズ氏は言っていました。

 またダウンズ氏は、その後フォックステレビというアメリカの保守系の人によ
く見られているテレビから、この本についてインタビューを受けたそうです。

 記者会見後、ロバート・キング特使にお会いしました。記者会見では隣でした
が、その時は話ができず、改めて国務省で話をさせていただきました。私がお願
いしたのは情報の共有です。今拉致被害者がどこにいるのかです。それに対して、
「アメリカは今、探している」と言っていました。東拉致問題担当副大臣も、2
月か3月頃、訪米して面会し、「東さんもそう言っていた」ということです。

 キング特使は、カーター元大統領と親しかったそうで、「カーターさんの訪朝
について何か聞いていることはありませんか」と聞いたのですが、「訪朝の前も
後も話をしたが、カーターさんの訪朝は全く個人的なもので、オフィシャルなも
のではない」と強調されていました。食糧支援の話などをカーターさんとしたの
だろうと思います。

 食糧支援については、アメリカはWFPのモニタリングに非常に不信感を持って
おり、信用していない。だからアメリカが食糧支援をする場合は、アメリカ独自
の調査した結果を元にやることになっているそうで、2月頃アメリカのグラハム
財団のフランクリン・グラハム氏が訪朝し、5月13日、私がワシントンを発った
日にステートメントを出し、北朝鮮に対する食糧支援は必要と言っていたようで
す。

 必要ではあるでしょうが、今の体制の中で果たして食糧支援をやっていいのか
どうかということも考えなければならないと思いますが、今現在、キング特使が
訪朝し、北朝鮮政府と話し合いをしていると思います。ただ、金正日が不在の時
に行っても無意味なのではないかと思います。どのようなモニタリングの話をし
ても、決定権のない人と話をしても紙に書いた絵、約束なんかなきに等しいです
から、決定権のある人と話をして、それが実際に実行されるかどうかを言質をと
らなければいけないと思います。今、金正日は中国に行っていますから無理でしょ
うね。

 なお、今回の私の話はすべてアメリカ政府に伝えると言っていました。また大
震災における日本人の行動や、日本人の規律正しさに感銘を受けていると言って
おられました。

◆米下院に法案提出−日本人拉致問題の解決なしに米朝友好関係なし

 午後には、ロスレイティネン下院外交委員長のスタッフのデニス・ハルピンさ
んにお会いしました。もう何回も会っている方です。元は下院の外交スタッフだっ
た人です。下院の外交委員長というのは非常に権限があります。ロスレイティネ
ンには既に2回お会いして、「制裁の解除をしないように」とお願いしたのが
2007年までです。解除されてからはお会いしていませんが、それでもロスレイティ
ネンさんは拉致の問題、北朝鮮の問題について熱意を持って議会に議案をしてい
ます。

 今回、4月1日付けで、北朝鮮との関係を良好にする前に解決しなければならな
い問題として、下院に法案を提出されています。その中に、「日本人拉致被害者
の問題が解決されない限り北朝鮮との友好関係は築けない」とあります。これに
対しお礼を申し上げました。また平沼先生が5月8日の集会で、北朝鮮と交渉のた
め家族会の同意をえて訪朝してもいいといわれましたが、その平沼先生の所感を、
ハルピンさんを通してロスレイティネンにしていただけるようにしました。確実
にやっていただけると思います。

 ハルピンさんが提案されたのは、「ロスレイティネンを日本に招待してはどう
か」ということでした。ロスレイティネンさんは活動的な方ですが、まだ一度も
日本に来たことがないから、日本が1回呼んで話を聞かせることがあってもいい
のではということでした。

 外交委員長ですから私たちでは応じてくれないでしょうが、政府や議会ならで
きるかもしれないので、今後議連とも相談していこうと思っています。

 また、今月末に、下院の公聴会で、日本の様々な問題を話し合うそうです。そ
の中で、マイケル・グリーンさん(米戦略国際問題研究所日本部長)が証言者と
して話すそうです。その証言の中で、拉致問題も話し合われるように画策してい
るとのことでした。

 また、アジアの人権問題を話し合う公聴会が6月にあるそうです。一つは北朝
鮮の人権問題、そしてチベット、ミャンマーのことを話し合うそうです。その中
でも北朝鮮の人権問題の中に拉致問題を入れるようにしたらどうかということで
した。「証言者は誰がいいと思う」と聞かれましたので、私は韓国にいる脱北者
の方が一番いいのではと言いました。

 さらに、ロスレイティネンは、北朝鮮に食糧支援をする場合には、大きな予算
が必要で、その予算を通すかどうかは外交委員長の大きな権限なので、食糧援助
に関しては、正しいモニタリングだけでなく、実際に食糧がどこに行っているの
かが明確にされない限り、予算に反対する方にまわるだろうと言っていました。
それだけ強い意思と権限を持っているということを感じています。

 7月には平沼会長を初めとする国会議員の先生方と行って、ロスレイティネン
に挨拶したいと思います。先ほどの法案は通過できなかったので、今年中に再提
案して通過させる見込みだとのことです。下院と上院で通過すれば、拉致問題が
北朝鮮にとって手かせ足かせになると思いますし、拉致被害者の救出が明記され
ているのでいいメッセージになると思っています。この件に関しても平沼先生か
らお話していただき、議員同士の連携を強めていただければいいと思っています。

 訪中している金正日の映像を見ていると元気そうですね。しぶといというか。
本当は私は、金正日が生きている間に、彼に謝罪してもらいたいんです。彼がやっ
たことですから彼を断罪しなければならないと思っています。彼らが本当に謝罪
し、心から悔いた段階で、死んでいってもらいたいと思っていますので、安易に
死んでほしくないんです。こういうことを言ってはいけないんでしょうが、ベッ
ドの上で死んでほしくないと思っています。

◆FOXニュースが拉致問題について正確で要点を突いた説明

島田洋一(救う会副会長)

 増元さんの報告に、若干補足します。この英文レポート(「TAKEN」)は、ワ
シントンにある超党派の委員会が出したもので、潜在的にかなりの影響力を持つ
と思います。なお、発表記者会見の場にいた人の話では、増元さんの存在感が他
を圧していたそうです。日本の今の外務大臣など何の存在感もなく、名前を覚え
ている方がこの場に1割もいるとは思えませんが、増元さんは非常にしっかり情
報発信されたと聞いています。

 報告書を出した米国北朝鮮人権委員会の長であるリチャード・アレンは、かつ
てレーガン政権で国家安全保障担当補佐官、前任者のフレッド・イクレもレーガ
ン政権のNSC(国家安全保障会議)で軍備管理を担当し、ソ連崩壊に役割を果た
した人です。最近亡くなった民主党の元下院議員スティーブン・ソラーズという
人も、発信力ある理事でした。

 さらに、国務省の元人権担当局長ポーラ・ドブリャンスキー、ユダヤ系人権団
体の幹部エイブラハム・クーパー、ヘンリー・キッシンジャー(元大統領補佐官)
の最側近で駐中国大使を勤めたウィンストン・ロードといった人々が理事に名を
連ねています。議会や政権にとっておろそかにできないメンバーであり、この報
告書に一定の影響力を期待しうるゆえんです。

 増元さんの話に出た、イリアナ・ロスレイティネン下院外交委員長(共和党)
は、キューバのハバナに生まれ、カストロ全体主義政権の迫害を受けてアメリカ
に逃れた両親の下で育ちました。そのため、人権抑圧と戦う姿勢が強いと言われ
ます。

 以下、若干の訂正及び補足です。アメリカの議会では、下院にない条約の承認
権、閣僚・大使の承認権などを持つ上院の方が一般にステータスは上ですが、予
算に関する権限は上下院同等で、両院を通過しなければ成立しません。この点、
衆議院に優越的地位を与えた日本とは大きく異なります。

 4月1日に、日本人拉致問題の解決を米朝国交正常化の一条件とした法案をロス
レイティネン外交委員長が提出しました。仮に政権側がそれを無視して国交正常
化を進めた場合、下院は、大使館設置の予算を認めないといった形で、対抗措置
を取り得ます。

 なお、アメリカの議会は、日本のように数ヶ月で閉じる形ではなく、下院議員
の任期に当たる2年間を1会期とします。

 増元さんが、「今国会では通らなかった」と言われましたが、正確には、まだ
通っていないものの、あと1年半ほどの会期中、廃案にならずに生きています。
法案の成りゆきに日本でも注目が集まっている旨を伝え、米側の有志議員を後押
ししようというのが、7月に予定されている、平沼議連会長を団長とする訪米団
の大きな目的です。

 さて、国際拉致報告書の企画から完成、さらにはその後の広報活動まで中心的
役割を果たしているチャック・ダウンズ事務局長は、家族会・救う会にとっては
旧知の人物です。時々、来日もします。彼が出たテレビ・インタビューとは、
FOXニュースの番組です。FOXは保守的色彩の濃いニュース中心のケーブル放送局
で、CNNを視聴率で抜いて久しく、三大ネットワークであるABC、NBC、CBSおよび
CNNのリベラル偏向を嫌う保守派に支持されています。ブッシュ前大統領は、テ
レビ・ニュースはFOX、新聞はやはり保守系のワシントン・タイムズおよび地元
テキサスのスポーツ新聞しか見なかったと言われます。

 ダウンズから聞いて、FOXのサイトにあるインタビュー・ビデオを見ましたが、
米市民権を持った拉致被害者の例にも触れつつ、非常に正確で要点を突いた説明
をしていました。彼は北朝鮮外交の研究者としても著名であり、落ち着いた口調
で信頼感を与えます。今後も、米議会での公聴会など、さらに関心を喚起するた
め、色々動いてくれています。

 なお、オバマ政権で北朝鮮人権問題特使を務めるロバート・キング氏は、発想
がややジミー・カーターに近い面があり、安易な食糧支援などに走らないか、日
本からもしっかり釘を刺していく必要があると思います。

 このところ、またWFP(世界食糧計画)が北朝鮮への食糧支援を呼びかけてい
ます。WFPについては、委員会の理事でもあるニコラス・エバースタットから聞
いた象徴的なエピソードがあります。彼は大手シンクタンクAEIの研究員で、WFP
の活動を集中的に調べたことがあるそうです。

 エバースタットによれば、WFPの人間が次のように言った。「北朝鮮への支援
は本当にやりやすい。普通、飢餓発生地域に援助物資を届けると、人々が一斉に
寄ってきて我勝ちに手を出すなど、身の危険を感じるほどだが、北朝鮮では行儀
のよい子どもたちが整然と待っている。物資を手渡すと『ありがとうございます』
と静かに礼を言う。後は私たちが、と政府の人間が引き取り、活動は終わる。き
わめて楽です」と。要するに、北朝鮮政府のヤラセなわけですが、何ら問題視す
ることなく合わせてしまっているわけです。WFPによる「モニター」などその延
長線上のものに過ぎないとエバースタットは嘆いていました。

◆政府ホームページに中国人拉致問題が追加

 最後に、いつも言うことですが、北朝鮮問題のガンは中国です。中国をどう動
かすかがポイントになります。中国政府に、日本人拉致問題で協力をお願いして
もまじめに動くはずがない。中共が怖いのは、自国民にも被害者がいる事実が中
国人一般に知られ、「政府は何をしているんだ」「胡錦濤は何を嬉しそうに金正
日と抱き合っているんだ」といった声が内部から湧きてくることです。中国を動
かすには、中国が嫌がることをせねばならない。

 そこで以前から、政府拉致問題対策本部に対し、中国人拉致被害者の存在をホー
ムページに書き込むよう要望してきました。最近ようやく前進があり、対策本部
が外務省の抵抗を排し、そういう趣旨を書くに至りました。ただし、中国語版サ
イトにはまだなので、早く載せてもらいたい。中国人が見ることが肝腎ですから。

 もう一つ、先ほど増元さんが日中韓首脳会談の声明文になぜ拉致を書き込まな
かったのかと指摘しましたが、確かに政府がやる気を見せたのか大いに疑問があ
ります。ただ、仮に政府が努力しても、中国側が拒否すれば、共同声明ですから
どうしようもない面もあります。

 ある政府高官によれば、「中国政府自身が認定していないのに、日本側が中国
人拉致を指摘すると、外交問題になりかねない」との危惧が外務省にはあるとい
う。この程度で「外交問題」は大げさでしょう。

 菅首相に伝えるよう対策本部に頼んでいたのは、テレビカメラが入る頭取りや
記者会見の場で、「温家宝さん。中国人の拉致被害者もいますね。一緒に助けま
しょう」と一言言って欲しいと。NHKニュースは国際放送で中国にも流れますか
ら、中国人が自国民の拉致を知ることになる。

 中国政府は都合の悪いニュースになると画面を真っ黒にし、情報隠ししますが、
胡錦濤や温家宝が大きく映っている場面でいきなり電源を落とすのは、下の人間
にとって勇気がいりますから、そのまま流れる可能性も大きい。ところが今回も
また、菅首相は中国人拉致に一切触れず、ただ中韓首脳と並んできゅうりを食べ
るパフォーマンスに興じていました。あんなことに何の意味があるのか。なぜきゅ
うりをかじる間に、「中国人拉致被害者もいますね」の一言が言えないのか。実
に意識の低い男です。



■家族会・救う会の新運動方針について−東京連続集会58

西岡力(救う会会長)

 中国人拉致について、拉致問題対策本部のホームページに掲載されました。実
は今年の3月から、専門家の話を参考にしたということで、拉致問題専門家懇談
会を対策本部がやっています。専門家として参加しているのは座長として私、メ
ンバーとして島田さん、調査会の荒木さん、弁護士の会の川人さん、そして家族
会の増元さんの5人です。2週間に1回くらい、対策本部の事務方のトップの方々
と懇談しています。これまで1人ずつ報告をしてきましたが、島田さんが報告し
た中で、詳しくそのことを言いまして、掲載すべきと言いました。

 中国人拉致については、日本政府が昨年、訪日を招請した金賢姫さんが、私が
マカオで拉致されたホン(孔)さんの写真を見せた時、「この人は私の中国語の
先生です。私はこの人のことをよく知っています」と、当時の中井大臣や対策本
部の人がいるところで言ったのです。

 実はそれ以前に既にホンさんについては、崔銀姫(チェ・ウニ)さんという韓
国人で拉致された映画俳優が親しく会っていたということがあって、家族会・救
う会・拉致議連で年末にやっている国際シンポジウムで、崔銀姫さんのインタビュー
をビデオにとって話をし、産経新聞から出した本にも書いてあるんです。二人目
の証言が出たので間違いないんだからホームページに載せてくださいと言って中
井大臣の時に私も言って、「分かった」と返事があったのですが、なかなか進ま
なかったのです。

 今回、専門家懇談会の中で島田さんが、かなり厳しい要求をしたところ、「や
ります」と言って、文案が出てきて、ホームページに掲載されたということです。
懇談会ですから、何か決める場所ではないのですが、一部意見が生かされたこと
もあり、それについては率直に評価したいと思っています。しかし、まだ中国語
になっていないのであれば早くしてほしいと思います。

 次に、家族会・救う会の運動方針のペーパー(23.05.07メールニュース参照)
をお配りしましたが、その報告をいたします。

◆圧力をかけて交渉へ−家族会・救う会の新運動方針

 3月に予定されていた家族会・救う会合同会議を地震のため延期し、この間、
この東京集会も延期しました。この会場自体が節電で夜使えなかったのです。日
比谷公会堂での国民大集会(23.05.08)も、少し迷いましたが実施し、その1日
前に合同会議を実施し、運動方針を決めました。だいたい年2回くらい、家族会
と全国の救う会が集まって情勢分析をし、運動方針を決めています。

 それほど状況が変わっていませんので、大きく変わってはいません。運動の目
標について確認しました。「認定未認定にかかわらず、すべての拉致被害者の救
出が我々の目的である。当面の目標は、平成14年9月に金正日政権が発表した
『拉致したのは13人だけ。8人は死亡』というウソのシナリオをくつがえさせる
こと」です。

 そして救出方法として、2つ考えています。第1に、「交渉による救出」です。
そのために我が国政府が、(1)「全被害者が帰らない限り、制裁を強め支援は
しない」という姿勢を堅持し、(2) 制裁と国際連携の圧力などにより北朝鮮
がわが国との交渉に出てこざるを得なくなる状況を作り、そして交渉が始まった
時に、全被害者を助けることを目的にして、(3)主体的交渉を行うこと、です。

 交渉をしなければ交渉による救出はできませんが、そのためには彼らが出てこ
ざるを得ないような状況を作らなければならない。過去にチャンスが2度ありま
した。

 1回目は1990年金丸訪朝の時です。ソ連も東欧も中国も全部韓国を承認すると
いう危機になった時、日本に接近しようとしたわけです。そして交渉が始まった。
しかし、日本側は拉致問題を出さなかった。拉致について進展が起こりようがな
かった。

 2度目は2002年の小泉訪朝です。あの時も、ブッシュ政権が、核問題で北朝鮮
をイランとイラクと一緒の「悪の枢軸」として、テロとの戦争の目標にしました。
2002年1月に、ブッシュ大統領の有名な「悪の枢軸」演説があり、あの演説はた
だ世界のどの国が悪いかということを言った演説ではなく、テロとの戦争の目標
を明言する演説だったのです。

 あの時ブッシュ大統領は、テロとの戦争の目標は2つある、と言いました。第
1は、テロリストを攻撃して正義の審判を下し、その基地をたたくこと。これが
今回、ビン・ラディンに対してやられたことです。あるいはアフガニスタンのビ
ン・ラディンの基地を攻撃したことがこれに当ります。

 それだけでなく、2つ目の目標があるとブッシュ大統領は言いました。それは、
テロ支援国家が大量破壊兵器を持ってアメリカやアメリカの同盟国を脅かしたり、
その大量破壊兵器をテロリストに渡したりすることを防ぐことです。そのテロ支
援国家の内容として、「悪の枢軸」と言って、北朝鮮、イラン、イラクを挙げた
のです。

 つまり、北朝鮮、イラン、イラクの大量破壊兵器の開発を止めさせることを戦
争の目標としたのです。戦争をしてでも大量破壊兵器の開発を止めさせる、と明
言したのです。そしてイラクに対して戦争をしました。イラクに対する戦争は、
イラクがアルカイダを支援したからという理由ではなく、イラクのフセイン政権
が大量破壊兵器を持っているから、という理由でした。

 後で、持っていなかったではないかという議論になりましたが、とにかく、大
量破壊兵器をテロ支援国家が持ってそれをアメリカやアメリカの同盟国に対する
脅迫に使ったり、テロリストに渡すかもしれないと、それについては戦争をして
も止めさせるとブッシュ大統領は明言したのです。

 それを聞いていた金正日は大量破壊兵器を持っていないんだったら、誤解だと
言って話し合えばよかったのです。だが、持っていた。その後核実験をしました
から証明されたわけです。その後ミサイル実験もしました。実際核開発をしてい
たんです。秘密に核開発をしていて、「していない」と公然と言っている人間に
対して、「お前は核開発をしているだろう。戦争をしてもやめさせるぞ」と脅し
たのがブッシュ大統領の演説だったのです。

 その強い圧力があったので、日本との交渉に出ざるを得なくなった。それが
2002年9月に起きたことです。強い圧力がなければ北朝鮮は交渉に出てこないん
です。過去あったことがそれを証明しています。日本が米支援をした時は実質的
な交渉になっていないんです。取られて終わりだった。95年に加藤紘一さんが50
万トンの米を出したが、それで終わりだった。2000年に河野外務大臣が60万トン
出した時も、取られて終わりだった。

 しかし、2002年の小泉訪朝の時は米を出していない。国際社会、特にアメリカ
から強い軍事的圧力がかかった。そしてアメリカが北朝鮮を攻撃する時には極東
にあるアメリカの同盟国である日本と韓国が協力しなければできないんです。そ
れで北朝鮮は、アメリカから日本を引き離す必要から日本との交渉に出てきたの
です。構図は単純です。つまり、「制裁と国際連携の圧力などにより北朝鮮がわ
が国との交渉に出てこざるを得なくなる状況を作(る)」、と運動方針に書いて
ありますが、当時は日本一国の力ではなく、アメリカの強い圧力があったから、
北朝鮮が日本との交渉に出てこざるをえない状況ができたのです。

 しかし今度は、日本が主体的に拉致問題で制裁をかけ、そしてこのままでは支
援をしないということをきちんと言って、北朝鮮が交渉に出てこざるを得ない、
そういう状況を作る努力をしなければならない。他人任せではだめということを
我々はずっと言ってきています。交渉による解決を否定しているわけではなく、
真の交渉をするためには、北朝鮮が日本に近づかなければならないという必要を
作らなければならない。過去2回あったのにそれを生かしきれなかった。日本側
が被害者を絶対助け出すという姿勢が政府になかったからです。

◆3度目のチャンスが来る

 しかし、3度目のチャンスが来るとずっと言ってきたわけです。北朝鮮は今経
済的に大変苦しくなってきています。「最近の北朝鮮情勢」の所にも書いてあり
ますが、北朝鮮の経済は90年代半ばで破綻したのです。人口の15%が餓死しまし
た。人口の80%に当たる一般住民は、90年代半ば以降、配給をもらっていません。

 しかし、餓死は止まりました。どうしてかというと、闇市でみんな食べている。
本来、社会主義国家は、主食は配給制であり、そして職業は党が決める。計画経
済です。闇市は党が決める職業に入っていない。誰がやっているかというと、家
庭の主婦、おばさんたちがやっています。お父さんは工場など職場に出勤しなけ
ればならない。最近は、賄賂を払うと出勤しなくていい。そして闇市で商売をす
る。主婦はもともと出勤する場所がない。山の奥に入って、斜面でトウモロコシ
を作ったり、売ったりする。党や軍の幹部の親戚から援助物資をもらって横流し
する。日本から送られてきたお金で、中国から食糧を買ったり、中国から送られ
てきた食糧を売って食べている。あるいは泥棒、売春、そういうことでしか食べ
られないんです。

 人口の15%が死んだ後、残りの85%の内、20%の権力層を除く残りの人たちは、
こうやって食べています。一方、上の20%の人たちは未だに配給がある。金正日
はどうかというと、(元金正日の)料理人の本を読めば分かりますが、人口の15
%、300万人が死んでいた時に、トロやメロンを食べていたのです。三越の草餅
がいいというと、三越まで買いに来て食べていました。水上スキーで遊んでいた。
写真が残っています。20%と80%は全然別の世界です。

 我々が今かけるべきだと言っている制裁は、20%の人たちの配給、彼らの用語
では供給ですが、供給ができなくなるようにすべきだということです。その供給
の財源は、80年代から90年代は、朝鮮総連からの送金でした。最高時で年間1800〜
2000億円が北朝鮮に送金されていました。これは内閣調査室が調査した金額です。
バブル崩壊後はそれが少なくなった。そして朝銀信用組合が破綻して、公的資金
が入るということがありました。

 そして90年代半ば以降、日本からの送金がなくなって苦しくなったのですが、
今度は韓国に金大中政権、盧武鉉政権という親北政権が1998年から2007年まで10
年間続いた。李明博政権の調べでは、10年間に70億ドル送金された。それ以外に
非公式のものもありますので、合計100億ドルと推計されている。年10億ドルく
らいであった。日本からの最高年20億ドルはなくなったけれども、年間10億ドル
くらいの物と金が98年から10年間送られた。

 それ以外の財源は、麻薬です。警察白書にも書いてありますが、2000年代半ば
まで、日本で流通していた覚醒剤の半分以上は北朝鮮製だった。質がいいのだそ
うです。山小屋みたいなところでつくるのではなく、国家が工場で作っているか
らです。

 しかし、日本に運ぶためには船で来なければならない。今、工作船の監視を厳
しくしています。アメリカの人工衛星の情報が日本に来るようになった。奄美沖
で覚醒剤を積んできた船が沈没させられたのが2001年です。急速に日本国内で北
朝鮮製の覚醒剤の流通が減りました。そして今、北朝鮮の中で、覚醒剤がたくさ
ん流通しています。売るところが段々なくなってきて、国内で売っているんです。
その分外貨が減ってきていることは間違いない。中国も、北が覚醒剤を国内で売
ることは厳しく取り締まっている。死刑になっている人もいます。

 もう一つは武器輸出です。特に核兵器やミサイル。シリアに核技術を売ったの
で、イスラエルがそれを攻撃しました。今、イランとミャンマーに核技術を売っ
ているという疑惑が出ています。ミサイルについては、イランに売っていること
が証明されています。それらについても、船で運ぶ場合には、今、大量破壊兵器
の拡散を防ぐという国際行動計画があって、北朝鮮の貨物船はアメリカに臨検さ
れて、ミサイルの部品があったら没収されるということが続いています。PSIと
言います。

 もちろん(密売が)ゼロにはなっていません。特に中国が、空輸によるミサイ
ルの輸出を黙認していることもあって、ゼロにはなっていませんが、武器輸出も
減っています。その上、韓国からの支援も、李明博政権になってからかなり止まっ
た。大変苦しいんです。

 そして日本に接近すれば過去の清算資金がもらえる。あるいは朝鮮総連に対す
る制裁が解ければ、日本から部品や送金が来る。目の前に餌がぶらさがっている
わけです。

 しかし、そのことに対して我々は、条件を絶対に降ろさない。それは全被害者
の救出です。日本からの物や金がほしいのであれば、全被害者の帰国が条件です
よということを彼らに分からせることができるか。だから、先ほども言いました
が、「全被害者が帰らない限り、制裁を強め支援はしない」という姿勢を日本政
府が堅持することが前提です。

 2002年9月の時のように、「北朝鮮が拉致した人は13人だけ、8人は死んだ」と
いうシナリオでも日本からお金が来る可能性があると彼らが思っている間は、真
の交渉はできません。これは我慢比べのようですが、しかし彼らがほしいものを
我々が持っているという条件がある以上、こちらが交渉のための交渉で、「2、3
人返してくれればいいですよ」と言ってはならないのです。

 もちろん2、3人返してくれたことがスターとならいいんです。全員いっぺんに
とは言いませんが、2、3人返してくればそれで終わりということは絶対に認めら
れないということを強調しておきます。「全被害者が帰らない限り、制裁を強め
支援はしない」という姿勢、今はそういう姿勢ですが、その姿勢を堅持すること
ができるかどうか。それを堅持する条件のもとで北朝鮮側から話合いがしたいと
いう申し出がくれば真の交渉になると思います。

 そういう点で私は、平沼先生が交渉に立ってくださるというのは大変ありがた
いことだと思います。それはどういう意味かというと、北朝鮮が家族会、救う会
や拉致議連等の一番厳しい人と交渉しない限り日本国民は納得しないんだという
ことが分かるということです。平沼さんを北側が窓口に選ぶということは、そう
いうことです。

 田中均さん(元アジア大洋州局長)のように、北朝鮮が拉致被害者の消息さえ
出してくれればいい、被害者は一時帰国で北朝鮮に戻してもいい、死亡の根拠を
出さなくてもいいとか、事前に家族の調査もしないで助けようという意思がない
人と交渉するのは、彼らには楽なんですが、それで北朝鮮から見てもお金を取る
ことに失敗したわけです。世論は納得しなかったのです。

 彼らは拉致を認めたのに身代金はもらえなかった人質犯なわけです。もらえな
かった理由は何か。日本は民主国家で、国民が怒っている間はだめなんだという
こと、この問題に対する国民の怒りを代表する政治家と交渉しない限り、いくら
時の総理大臣がサインしてもだめなんだということです。

 そういう点で私たちは平沼先生に100%信頼を置いています。平沼先生はやみ
くもに、私が行くから会ってくれということを言っているわけではありません。
私は交渉の窓口になる用意はある。しかし、その交渉の窓口というのは、全被害
者を返すという交渉だと。それを向こうが呑むかどうか。そのためにも、「全被
害者が帰らない限り、制裁を強め支援はしない」という姿勢が堅持されて、国際
連携と制裁の圧力で北朝鮮を交渉の場に出すという今の政策が続くことが必要だ
ということです。

◆交渉相手がいなくなるかもしれない混乱事態の想定を

 もう一つ、ここでも言いましたが、交渉による救出の方が、安全に取戻せるか
らいいんですが、交渉相手がいなくなるかもしれない。金正日が突然死んでも、
次の政権が安定的に継承すればいいわけですし、その可能性もゼロではないと思
いますが、しかしそうではなく混乱が起きる可能性もあります。その可能性の方
が高いのではないかと私は思っていますが、どちらにしても未来のことで100%
断定はできませんが、混乱が起きる可能性があり、交渉相手がいなくなってしま
う。その場合には、被害者に危険が及ぶ可能性がある。

 混乱時には、韓国軍と米軍が北進し、北朝鮮を吸収統一する作戦計画があるわ
けで、その中で被害者をどう助けるのかということを、自衛隊の使用も含めて準
備しておかなければならない。

 そういう点で、今回、韓国と中国の首脳が日本に来た時に、拉致問題での協力
を求めたというのは大変不十分で、「混乱事態において被害者を救出することは
日本として絶対譲歩できないことだ。そのことについて協力してほしい」という
具体的な言及がなされるべきです。もちろんオープンにしなくていいですが、そ
ういう言及があったのかどうか。

 菅総理は12月に、「自衛隊を使って助けなければならないことが起きるかもし
れない。しかし韓国を通って自衛隊を送るにはまだ取り決めができていない。韓
国とそのことを話し合わなければならない」と言ったんです。韓国と話し合う機
会が今回あったんです。そのことに言及されたのかどうか、きちんと聞きたいと
思っています。

 つまり、今の厳しい状況の中で、交渉による解決にもっていくということを主
としながら、いつ混乱が起きるか分からないのでその準備も日本としてしておく
ということが、運動方針の救出方法です。

 北朝鮮では、上の20%の人たちに今物資を与えることができないくらい苦しく
なってきています。上の20%の中の下層の人、2%か5%か分かりませんが、ある
程度飢えてきています。平壌市民は上の20%に入っていたんですが、平壌市を狭
めました。南側を平壌市から外したのです。配給できなくなったからです。

 それから今年2月、軍隊が動員されてウランを掘っていたのですが、ウラン鉱
山の兵士たちの食糧が来なくて、栄養失調になって倒れて作業ができなくなった。
最近の話では、軍の部隊から脱走が続いている。これは政治的な理由ではなく、
お腹がすいているからです。軍隊の兵士たちには優先的に食糧が来るのですが、
その優先的に来たものを、中隊長とか大隊長が家族のために横流しする。全体と
して量が足りなくなって軍人の飢えが深刻化し始めているということです。

 次に私が注目しているのは政治警察、すなわち国家安全保衛部の動向です。保
衛部が機能しなくなったら独裁体制は倒れます。実は96年、97年くらいは、保衛
部の幹部の亡命がありました。中朝国境で脱北者狩りをしていた人が逃げてきた。
あるいは保衛部の密偵といいますが、保衛部の手先になって監視をしていた人間
がかなり逃げてきています。密偵だった人の手記が読めるようになったのも90年
代後半です。

 ところが国際社会の援助が入ったために、保衛部の動揺が止まってしまった。
保衛部を維持するためには、上の20%の人たちのためのお金が必要です。それが
維持できなくなる時が独裁体制の終わりです。金正日政権としては、絶対それを
防がなければならない。しかし、各保衛部から上がってくる反体制の動きは、金
正日のところにだけ入ってきます。それを24時間見ることができない健康状態に
なった。軍の幹部、保衛部の幹部、一般警察の幹部、党の幹部の動静も全部彼の
ところだけに入ってきます。他の人間に見せないようになっているのですが、で
はそれを金正恩に見せるのか、20代の若者に国中の監視をして、怪しい人間を収
容所に入れたり、処刑したりさせるのか、それができるのか。大変不安定になっ
てきていると思います。

 そういう中で日本は、お金を出すと可能性があると北朝鮮からは見えている。
民主党政権になって日本に様々な働きかけがあったようですが、鳩山政権から菅
政権になり、今菅政権もいつまで続くか、つまり誰と交渉したらいいのか向こう
が分からなくなってきているということはあると思います。

 だからこそ、世論を代表する人物と交渉しなさいというのが我々が出したメッ
セージです。向こうも日本に接近したいと思っているフシはありました。特に民
主党政権になってから。今にらみ合いが続いているけれども、向こうが苦しくなっ
てきていることは間違いない。ただ、もう一回韓国に接近するということはあり
ます。李明博政権に接近しようとして、南北首脳会談の準備を何回もしていたの
ですが、その一方で天安艦爆沈、延坪島砲撃ということがありつぶれてきたとい
うことです。

 ではなぜ、李明博政権に接近しながら軍事緊張を高めたのかということについ
ては、様々な説があります。北朝鮮の中が割れているんじゃないかという説、韓
国から取るものを吊り上げようとしているという2つの説です。まだ分かりませ
ん。そういう点でも、北朝鮮の内部が非常に微妙な段階です。

 こういう中で、家族会・救う会としては、まず第1に世論を高めるのが我々の
運動の戦略だということです。今日来てくださった皆さんや、地震の中でも日比
谷公会堂に1300人の方が来て下さったことに非常に感謝しています。

 今年は、「生きているのになぜ助けられない!」というスローガンを掲げてい
きたいと思います。飯塚さんがおっしゃったように、拉致被害者ががれきの下で
声を挙げているように見えると、同じことなんだと。

◆政府は北朝鮮に調査のやり直しを迫れ

 こちらのちらしは6月の全国一斉行動のために作ったのですが、北朝鮮は3年前
に一度拉致問題で譲歩してきました。福田政権の末期に、「拉致問題は解決済み」
という彼らの態度を改めて、「被害者を送り返すための調査のやり直しをする」
と言ったのです。その時彼らが要求したのは、米やお金ではなく制裁を緩めてく
れということでした。万景峰号を新潟に入れてくれ、朝鮮総連の幹部が北朝鮮に
自由にいけるようにしてくれ、チャーター便を許可してくれという要求でした。
万景峰号は絶対だめだと言って、だめになったのに、それでも調査のやり直しを
すると言ったのです。それが8月12日です。

 平成20年8月12日の日朝実務者協議について、対策本部から我々のところに来
た報告のペーパーをみなさんにお配りしました。8月13日付けのもので、「12日
に瀋陽で日朝実務者協議があった。最も大事な問題である再調査について合意し
た」と書いてある。

 そして、「北朝鮮が、拉致問題の解決に向けた具体的行動をとるため、すなわ
ち生存者を発見し帰国させるための、拉致被害者に関する全面的な調査を行うこ
とで合意し、すべての拉致被害者が対象」となっています。そして、「北朝鮮側
は、権限が与えられた調査委員会を立上げ、調査を迅速に行い、可能な限り今年
の秋までに調査を終了すること」とあります。秋までに調査すると言ったのです。

 さらに、「調査の進捗過程について日本側に随時通報」する。最後に、「日本
側が関係者との面談、関係資料の共有、関係場所への訪問などを通じて調査結果
を直接確認できるよう協力する」と。我々は、共同調査は絶対反対と言いました。
北朝鮮が調査し、それを我々が検証すると。

 一応その枠組みができている。かなりいいところにまでいった合意だったので
す。しかしその代わり、人的往来とチャーター便規制の緩和を行うと日本側も譲
歩した。この譲歩についても様々な議論があったことは事実ですが、また北朝鮮
が本当に全員を返そうとしていたのか、そこまで3年前苦しかったのかについて
はよく分かりません。何を彼らは狙っていたのか。もしかしたらもう1回偽の遺
骨でも出してくるのではないかと大変緊張していましたが、動きがあったことは
間違いない。

 ところが9月の初めに突然、「福田総理が辞任の公表を命じたので、この合意
は守ることができなくなった」と北朝鮮が発表しました。総理大臣と関係のない
ことです。金正日が倒れたために新たな戦略的なことがすべて中止になったのか。
特に、9月9日に大々的に建国記念日の準備をしており、その時朝鮮総連の幹部を
日本から飛行機に乗せて呼ぼうとしていたのです。だから朝鮮総連の自由往来と
チャーター便が必要だったのです。その必要性が金正日が倒れたためになくなっ
た。

 そこで、9月9日まで引っ張って、朝鮮総連の幹部だけ朝鮮に入れてからもう1
回調査のやり直しをやったという作戦だったのか分かりませんが、とにかく彼ら
が一度約束したんですから、日本政府はこれの実行を強く求める責任がある、す
べての手段を使って実行を求めるべきだ。菅政権も実行を求めると言っているわ
けです。

 私たちもこのちらしに書いてあるように、実行を求めるべきだと。そして「石
の上にも3年」という言葉があります。3年経っても実行しないなら、何らかの措
置をとってほしい。こちらから期限をつけて、北朝鮮に対して、「約束を守りな
さい。そうしないならば追加の制裁をしますよ」と言って、北朝鮮に対し、期限
を切って迫ってほしいと。これは国民大集会で、飯塚さんなどが「期限を切るべ
きだ」とおっしゃったことが運動方針となったものです。

◆9月の時点で北朝鮮が対応せず、政府が何もしなければ、より強い行動も

 我々にも我慢の限界がある。一度ここまで約束をしたのだから、日本政府は、
政府の責任でこの約束を守らせるべきです。守らないなら追加制裁。北朝鮮は在
日朝鮮人が自由に行けるようにしてくれと言ったのだから、幹部だけでなくもっ
と多くの在日朝鮮人が行けないようにすべきです。すべての在日朝鮮人の北朝鮮
を渡航目的とする再入国許可を不許可にすることはできるわけです。

 すべての送金を停止することも現行法規でできます。それをやってほしいとい
うことをアピールしようと思います。我々の方で期限を切って、世論を盛り上げ
ようということを運動方針として決めました。そのために6月5日にデモ行進をし
ますし、6月前半を全国一斉行動としてこのちらしを撒いて、北朝鮮はこんな約
束をしていたんだとアピールします。北朝鮮は制裁を緩めてくれとここまで譲歩
してきたんです。制裁は効くんです。もっと強くすればこの約束の時点に戻る可
能性はあります。

 とにかく政府は、この約束を守らせる責任がある。日本国民は怒っていると、
約束を守れと声をあげて、政府にアプローチをすることを9月までしていきたい
と思います。9月の時点でも北朝鮮が約束を守っていない、それなのに政府は何
もしないのであれば、集会やデモ行進以上の強い行動も考えざるをえないと家族
会・救う会の合同会議でも確認しました。

 以上が私の報告です。

以上

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■菅首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]https://www.kantei.go.jp/k/iken/im/goiken_ssl.html?guid=ON

葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 菅 直人殿

■救う会全国協議会ニュース

発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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2020/07/07
トランプ大統領のお悔やみ書簡の意味
2020/07/01
トランプ米国大統領からお悔やみの書簡
2020/06/30
北朝鮮権力中枢部に異変か-金正恩、与正対立説
2020/06/29
ポッテンジャー米国大統領副補佐官からお悔やみの書簡
2020/06/23
拉致被害者の即時一括帰国への道−西岡力

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