救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

「脱北者から見る拉致問題」特別集会報告3(2009/06/26)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2009.06.26-3)

6月6日に開催された特別集会の報告3です。

◆解説 西岡力
この中で、彼らはミサイルを原発に撃てば原爆と同じような爆発が起きると宣
伝していますが、それは嘘です。放射能の被害は出る可能性はありますが爆発は
しないのです。核ミサイルをミサイルで迎撃しても核爆発しないのと同じで、核
爆発させるには起爆装置が必要であって、核物質を火薬で爆発させようとしても
核爆発は起こりません。核物質を爆発させるのはそう簡単ではないから核実験が
必要なのです。ただ核物質があるところにミサイルを撃てば火がついて爆発する
ということではないのです。ところが彼らはそう言って、核爆発させることがで
きるから日本は困って、アメリカが北を孤立させようとしたら逆にアメリカが孤
立したという嘘の宣伝をしているということです。

もう一つ、日本を飛び越えるミサイルが2発あったと言っていますけれども、
2006年のミサイル実験では、40秒でテポドン?は爆破して墜落しちゃった
のです。日本を飛び越えなかったのです。日本はわからなくて、アメリカに教え
てもらったと言っているのも嘘で、日本もアメリカも見ていたら40秒で爆発し
ちゃった。だから、2006年の時は発射した映像を北朝鮮は出さなかった。今
回は爆発しなかったから発射映像を出せたのです。ただ、2006年にもノドンミサ
イルの発射実験は成功しましたから軽く見てはいけないのですが、とにかく洪先
生が言われたように、内部でこういうことをうそばかりを言って、いるわけです。

この講演の一番の眼目は、経済的に苦しいけれど我慢しろということです。核
を持たなければアメリカが攻めてくる。核を持てば、最終的にはベルトの穴がな
くなるくらい痩せると統一ができると言っているわけです。

自由北朝鮮放送の協力者が講演会場で秘密録音したものです。外部に公開され
る新聞やテレビで報道する内容と、内部で講演する内容は別なのです。一部文書
で出たことはありますが、テープを聴くのは、私は初めてです。その点でたいへ
ん貴重です。

金聖(●=王ヘンに文、以下同じ)
今日お集まりになった皆さんは、講演の内容を聴きながらお笑いになったわけ
ですけれども、どうしようもないなあというお笑いだったのだろうと思います。
テープを聴きますと、北朝鮮の人たちもこの講演を聴きながら笑っているのです。
あるいは拍手をしているのです。その笑いや拍手は、その通りだ、我々は強いの
だという笑いであり拍手なのです。

この講演の内容を我々が分析したところ、金正日の偉大さを住民に伝えること
が目的です。アメリカも怖くない。日本も怖くない。南朝鮮はもちろんだ、と。
我々はいくらお腹が減っていても将軍様について行けば絶対に負けない、と。今
外部では、金正日も倒れて痩せた姿を見せているし、脱北者も増えているし、北
では経済も苦しいのだから、もう潰れそうだという観測も多いのですが、実は我
々の敵はこのように言っているわけです。ある面では彼らはミサイルを撃つのだ
と言っているし、ミサイルは迎撃されないんだと本当に信じている怖い集団だと
いうことをわからなければなりません。

いろいろな分析がありますけれども、日本まで届く、そしてそれよりも距離が
長いミサイルを開発して生産している時期が2005年から2007年です。こ
の時期に盧武鉉政権は北朝鮮に無条件で支援をしていました。それがミサイル開
発に使われた。その面で日本からも盧武鉉政権に対して強い糾弾の声を上げるべ
きではないでしょうか。そして北朝鮮に支援もしていた金大中が拉致犯人を北朝
鮮に送り返したというのに、日本のある大学が金大中に名誉博士号を与えたとい
うことを私は信じることができませんでした。このような金大中を国際裁判所に
立たせるためにも我々は努力しなければならないのではないでしょうか。(拍手)

先ほどの講演テープの最後のほうの部分で、アメリカは北朝鮮を孤立させよう
として北が核開発をしているということを広めようとしたけれども、それに対し
て日本や韓国はミサイルが怖くてアメリカを孤立させたと言っていますけれども、
彼らは過去のことについてうまく宣伝をするかもしれませんが、未来の状況を正
確に判断する能力がないことがわかります。なぜなら今2回目の核実験をした後、
中国までも含めて北朝鮮非難に立ち上がっているからです。孤立しているのは北
朝鮮だからです。愚かな人間だからでしょうか、住民たちを飢えで苦しめながら
核をつくらなければならない、ミサイルをつくらなければならないと言っている
のが金正日なのです。

その金正日と我々は対しているのです。この金正日から拉致被害者を取り戻さ
なくてはならない。彼らが判断を間違えるから、突然帰ってくるということもあ
り得るかもしれませんが、やはり結論として言えることは、金正日を倒さない限
り被害者救出の方法はないということであります。(拍手)

<質疑応答>

問 盧武鉉前大統領自殺に対する国民葬、韓国国民の反応について

西岡力 この質問には、脱北者の人たちでなく、盧武鉉前大統領の葬儀の時ソウ
ルに行っていた洪先生に答えていただきます。

洪 ◆(=榮の木を火に) 私は国民葬が終わるまでソウルにいました。メディ
アの報道とどれぐらい乖離があったのかということを申し上げます。メディアで
は500万人が弔問に駆けつけたというふうになっていますが、これは全くの誇
張です。例えばメディアでは、盧武鉉が最後に住んでいた小さな村(烽下集落)
に1日20万人が弔問に駆けつけたと報道しています。それは本当に小さな村で
す。20万という数字は、例えば大型の観光バスで5000台位が必要になりま
す。これは物理的に不可能な話です。

これは金大中、盧武鉉の10年間に徹底して左傾化されたメディアが、去年の
狂牛病問題のときのローソクデモのときと同じように世論を誘導しました。刑事
事件の被疑者が自殺したわけですから、常識的にはどのメディアも「逝去された」
とは書けないはずなのに、いっせいに「逝去」という言葉を使ったのです。金正
日に従う勢力が国民を扇動しました。韓国の新聞はほとんどそれについて行きま
した。

新聞も最初はそこまで書きたくなかったのですが、物理的な暴力の前で無力だっ
た。李明博政権がその暴力からメディアを守ってくれなかった。例えば110番
をかけたのに警察が来ないと普通の人はテロリストに抵抗できません。一種のそ
ういう現象が起きました。

韓国の今の時代は声の大きいほうが勝つ時代です。皆が一斉に歪曲する時、こ
れに立ち向かう力、運動が必要になります。今度の一連の問題は、例えば拉致さ
れている人を救うべきだという国家的な意思、価値観によって行動する人がいる
かどうかということと全く同じ次元の問題でした。

李明博政権は臨時閣議で国民葬を決めたのです。遺族は家族葬を希望すると言っ
たのに、自分たちが後から非難されるのが怖くて、コウ衛兵、このコウは紅では
なくて黄色の黄ですが(盧武鉉支持勢力のシンボルカラーが黄色)、黄衛兵の暴
力が怖くて、政権が全国民に哀悼を強いたわけです。国民が哀悼する葬儀という
ことになったものですから、多くの人たちは実は仕方なく行ったのです。ハンナ
ラ党の国会議員が講演会で紹介した話ですが、一番大きな弔問所で観察していた
ら、同じ人が4回弔問していたということです。

これは拉致問題と同じですが、現代社会では黙っていると、間違った人が大き
な声で主張するのに沈黙すると相手のことを認めることになります。だからデモ
をかけるとかインターネットに自分の意見を載せるとかいろいろな発言を通じて、
特にメディアに対してそれを言い続ければ、記者という職業はプロですから事実
関係をきちんと説明するとそれを受け入れます。問題は多くの人がそういうこと
を、勇気を持ってやるのかどうかということです。いくら正しくても沈黙すれば
負けです。これが今度の盧武鉉自殺で我々が学ぶべき教訓ではないかと思います。

客観的にソウルでいろいろ取材したところによると、韓国国民の95%は非常
に冷淡だった。李明博が政権を取って1年以上メディアを奪還できなかったので
メディアの驚異的な世論操作によって外にはあのように映ったのですが、そうで
はないということです。去年も狂牛病デモはすごいというように映ったのですが、
その中でも大学生一人が反対のデモをする勇気を出すとすぐそういう狂気から覚
めます。李明博政権が今のような怖気づいた姿勢をとり続けると政局の主導権を
完全に失うのではないか。それは彼の自業自得だと思います。

問 北朝鮮で新型インフルエンザは出ていないのか。

金大成 我々は、新型インフルエンザが北朝鮮で発生したという情報は持ってい
ません。ただご承知の通り、北朝鮮は衛生状態の大変悪い国ですが、たとえ流行
病が発生したとしても政府が大々的に対策を講じるということはないので、新型
インフルエンザが発生している可能性は十分あると思っています。実は鳥インフ
ルエンザが流行った時、北朝鮮でも感染が発見されて、咸鏡北道と平安南道では
飼育されていた鶏が大量に殺されて土に埋められたということがありました。と
ころが食べる物がない住民たちが夜中に埋められた鶏を掘り起こして持っていっ
て食べてしまったということを聞いています。最近の話ではありませんが、死ん
だ豚も食べてしまうという話を聞いたことがあります。確か2005年にドイツ
で狂牛病にかかった疑いがある牛肉を7千トン処分するという話があった時、北
朝鮮政府がそれを輸入したいと言って輸入して、それを人民軍や炭鉱に送って幹
部たちが食べたということを聞いています。北朝鮮では流行病が発生した場合、
マスコミには放送させず静かに隔離するということをします。

問 北朝鮮を後ろから支えている中国と北朝鮮がジョイントしないようにするた
めにできることは何か。

李主日 北朝鮮の命綱は実際、中国が握っていると言えると思います。北朝鮮の
貿易の75%は中国との貿易であり、北朝鮮はそこから利益を得ています。また
最近報道されている新しいミサイル基地がある東倉里は中国から80キロしか離
れていないので、そこをアメリカが攻撃した場合に中国にも影響が加わる。中国
は朝鮮半島で、北進であろうと南進であろうと戦争が起きることを望まない。そ
のことを知って金正日は朝鮮半島の中で戦争直前の雰囲気を作り出す。そうする
と、北朝鮮に言うことをきかせようとして支援をしてくるだろう、と。

そしてまた金正日は、核実験やミサイル実験をすることによって中国を助けて
いると思っています。なぜなら、核実験をすると国際社会は中国に仲介を頼むよ
うになる。従って中国の地位が上がる。中国の助けを受けている金正日からする
と、このことによって中国に借りを返しているという認識があるし、実際もそう
だろう。

しかし今回、第2回目の核実験をするに当たって金正日政権は将来の予測を間
違いました。最近あるところが中国の知識人に対する調査をしたところ、北朝鮮
が緊張を高めることによって仲介者としての中国の役割が高まっているかに見え
るが、しかし彼らのやっていることによって瞬間的に中国がこれまで建設してき
たものが失われてしまう危険性がある、だから「血の同盟関係」を絶つべきだと
いう意見が過半数を占めたと聞いています。

ですから、中国と金正日政権との関係を絶たせなければならない。その手段と
しては金正日政権との関係を続ければ中国の利益にならないのだということと、
仲介者としての地位が上がるといっても結局北朝鮮は言うことを聞かず失敗して
しまうから中国にとってマイナスであるということを中国の知識人、国民に多く
知らせていくということではないかと思います。

問 北朝鮮の中距離ミサイルは本当に実用的なものなのか。

金春愛 私は1972年から80年にかけて軍ミサイル部隊に勤務しました。6
0年代はソ連製がわずかにあっただけですが、70年代になり、国産のミサイル
が配備されました。70年代、ミサイルは空軍司令部の中で80師団、81師団、
82師団がミサイル師団でありました。80師団は平壌に司令部があり、81師
団は平安南道、82師団は咸興に司令部がありました。自分がいた時、大隊に6
発のミサイルがあった。そして1年に1発だけ演習をしていました。それが70
年代のことですから、今もそのミサイルがあるとすれば不発の物が多いのではな
いかと私は思います。

問 南北の差の認識はどうか。国際的な北朝鮮包囲はできるのか。

洪 ◆ 南北の勝負は1948年につきました。1948年に韓国には自由民主
主義のインフラをつくったのです。北は逆の野蛮な共産独裁主義、個人独裁のイ
ンフラをつくりました。61年前に違った設計図を南北が別々に引いた。その結
果は我々が今見ていることです。結局この問題は、南や日本に共通しているよう
な自由のインフラを北にも敷くと解決できます。国際的にこのことに取り組んで
いくべきだと思います。

実は私が先週ソウルに行ったのは、核実験の後ですから核の取材のためでした。
なぜ北は核ミサイルにこだわるのか。北の経済、北のインフラでは、北が持って
いる人口の5%以上の現役の軍隊の活動は不可能です。そこで出たのが非対称戦
略です。軍隊は戦争を勝負づける役に立たない。それで核ミサイルと特殊部隊と
なった。人民の15%が餓死しても核ミサイルにこだわってきたわけです。ミサ
イルの性能の問題は、核もミサイルも北の自前の能力ではできません。電気部品、
電気機器、開発のための測定機器は主に日本とドイツ製です。最近までいろいろ
な迂回路を通じて入れていたという証言を得ました。大量の核ミサイルを持たな
い金正日は「裸の子ども」ですから、そこに最後の望みをかけて性能の改良にす
べてを賭けている。その証拠に、3年前の核実験と今度の核実験の威力が全然違
います。ミサイルもそれなりの相当な改良が行われていると言えます。

西岡力 今日わかったことは、北朝鮮の一般の住民は拉致のことを知らないとい
うことです。2006年まで北朝鮮にいた鄭家林さんも知らなかったわけです。
金正日が拉致を認めた後4年間も北朝鮮にいたのに知らなかったのです。

大韓機事件については、ちょっとは知っていたということを二人が言っていま
したけれども、それも拉致が犯罪で、田口さんを返さなくてはいけないというよ
うな認識ではなくて、日本人がテロに協力したらしいというような情報がちょっ
とあったというだけです。

しかしそれは、逆に言うと我々ができることがかなりあるということです。金
正日が拉致を認めて謝ったのだということは真実ですから、それを北朝鮮の住民
に知らせればよい。それが皆に知られてしまえば、彼らは被害者を隠しておく意
味がなくなるわけです。そのことを実は自由北朝鮮放送がやってくれている。嘘
と真実の戦いなのです。未だに北朝鮮では拉致はないと言っている。大韓機爆破
事件も金正日の命令ではないと言っている。そのような金正日政権に対して、大
韓機爆破を命令したのは金正日あなただ、めぐみさんたちを連れてこいと命令し
たのもあなたじゃないかという真実をどれくらい北朝鮮に入れることができるか
どうか。

そのために1日6時間の放送を自由北朝鮮放送はやっています。その中で、北
朝鮮の人たちに拉致問題も放送し、1週間に1回私の番組もつくってくれて、
「拉致被害者に絶対手を出すな」、「手を出したら日本は許さないぞ」と言わせ
てくれています。その自由北朝鮮放送とこれからも協力していきたいと思います
ので、引き続いて皆様の支援をお願いします。(拍手)

以上


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