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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

「脱北者から見る拉致問題」特別集会報告1(2009/06/19)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2009.06.19)

救う会と自由北朝鮮放送は、6月6日午後、東京・港区の友愛会館で特別集会
「脱北者から見る拉致問題」を開催した。来日したのは、自由北朝鮮放送の金聖●
代表、金大成局長、李主日情報センター長、金春愛記者、鄭家林記者の脱北者5
名とソウル出身の劉周容記者。東京で活動を続けている洪●早稲田大学研究員も
登壇して報告を行った。家族会からは飯塚繁雄代表、増元照明事務局長、本間勝
さん、斉藤文代さん、平野フミ子さん、松本孟さんの6名が参加した。同集会は
金代表が司会、西岡力救う会会長の通訳で以下のように進められた。報告者は以
下の通り。

◆報告者(発言順)
金聖● KIM SEONG MIN(●=王ヘンに文、以下同じ)
自由北朝鮮放送 代表

金春愛 KIM CHUN AE
自由北朝鮮放送 記者 1955.7.31生 平壌市出身 高等中学卒業(軍隊服務9年)
人民班長 2000. 10.11 (3度目の脱北) 2003.6.19韓国入国

李主日 LEE JU IL
自由北朝鮮放送 情報センター長 1965.7.4生 平安南道徳川市出身
平城獣医畜産大学獣医畜産科卒 平安南道新陽郡党 5号管理部研究員
1997.7. 27脱北 2000.7.27韓国入国

鄭家林 JEONG GA RIM
自由北朝鮮放送 記者 1980.11.05生 咸鏡北道富寧郡富寧邑出身
高卒 デザイナー チョンガク障害者学校指導教員(教養員)
2006.02.23脱北 2007.09.10韓国入国

金大成 KIM DAE SUNG
自由北朝鮮放送局長 1975.11.20生 咸鏡南道咸興市出身
咸興コンピューター技術大学卒 966軍部隊 外貨稼ぎ指導員
1999.2.15脱北 2002.10.11韓国入国

■特別集会「脱北者から見る拉致問題」報告

◆金聖●
私たちは、自由北朝鮮放送として、北朝鮮情報センターなど韓国で北朝鮮民主
化運動をしている立場から、今日は皆様方と一緒に拉致問題を解決するために何
が必要なのかということを考えてみたくてやって来ました。拉致問題は北朝鮮当
局がずーっと隠してきた、そして嘘をついてきた秘密の問題です。それは如何に
秘密であって接近することが難しいかということを、北朝鮮で実際に暮らしてい
た脱北者から直に聞くことができると思います。究極的にこの問題の解決は、金
正日政権の打倒を通じてしかないということを分かっていただけると思います。
それ以外に北朝鮮の住民が今どんな生活をしているのか、また北朝鮮の核問題、
そして最近話題の後継者問題についてもお話ししたいと思っています。

まずは一緒に来た同志たちを紹介します。

私自身は自由北朝鮮放送の責任を持っている金聖●と申します。(拍手)

一番右側の女性は、北朝鮮人らしくなく美貌の持ち主で、咸鏡北道出身で清津
のチョンガク障害者学校の先生をしていました。2006年に脱北して7年に韓
国に入り、今自由北朝鮮放送のアナウンサー兼記者をしている鄭家林さんです。
(拍手)

次は北朝鮮情報センターの所長をしている李主日さんです。北朝鮮で大学を出
て、その後脱北して、中国で日本のNGOの助けを得て隠れた生活をし、200
0年に韓国に入りました。現在、北朝鮮から隠し撮りテープとかビデオとか、あ
るいは資料などを入手して公開している北朝鮮情報センター長です。(拍手)

次は自由北朝鮮放送の局長の金大成さんです。1日6時間、対北放送をしてい
ます。また、私たちのホームページには、一番目立つところに日本政府の拉致問
題に関する韓国語のホームページと日本政府の対北ラジオ「ふるさとのかぜ」の
広告が貼り付けてあります。自由北朝鮮放送では、1週間に5時間程度、拉致問
題についての情報を北に流しており、また1週間に1回15分、西岡先生の対談
番組を北に流している。その責任者です。(拍手)

一番端は自由北朝鮮放送の記者でありアナウンサーで、ワシントンに本部があ
る米国の対北ラジオ・自由アジア放送のソウル通信員を兼ねている金春愛さんで
す。彼女は特別な経歴を持っていて、女性将校として軍勤務をして80年に除隊
しました。彼女は、黄海北道新渓郡にあるミサイル部隊に勤務していました。除
隊後は平壌で人民班長をしていましたが、家族で脱北して2003年に韓国に来
ました。2004年にはアメリカ上院で北朝鮮人権問題について証言しました。
(拍手)

今日はこのようなメンバーで参りました。今日は3時間、皆様方と一緒に話を
していきたいと思います。私たち自由北朝鮮放送は大変困難なときに助けて下さっ
た家族会、救う会、そして北朝鮮問題について真剣に考えて下さっている皆様に
感謝の言葉を述べたいと思います。

ではこれから、我々のメンバーが順番に拉致問題に関係する自分の見解あるい
は持っている情報について話し、その後いつくかの討論をし、最後に我々が入手
した北朝鮮の幹部たちのための内部講演会の録音テープの一部をお聞かせして、
核問題に関する彼らの内部での話を紹介したいと思います。


◆韓国に来て初めて知った北朝鮮による拉致?金春愛
私は韓国で暮らして6年が経ちます。北朝鮮にいた時は井の中の蛙のような生
活をしており、そして中国に逃げ、ベトナム、カンボジア、タイを通じて韓国に
入ることができました。今、自由北朝鮮放送のアナウンサーをしながら、西岡先
生や家族会、救う会の皆さんから情報をいただいて日本人拉致問題について知る
ことができました。私は北朝鮮で子供たちに食べさせるものもなく苦しい生活を
してきましたけれども、自分の国は世界で一番いい国だと信じていた。けれども、
韓国に来て、拉致のことを知って、戦時でもないのに民間人をさらって行ってい
るというひどいことを自分の国がしているということがわかりました。

私は2002年9月17日に金正日が日朝首脳会談で拉致を認めたということ、
あるいは日本政府が認定している拉致被害者17人のうち5人が帰国したという
ことは韓国に入って初めて知りました。また2004年の小泉第二次訪朝の時、
5人の家族を帰すということには同意したけれども、それ以外の被害者の情報を
出すという約束を守らず、未だに正しい情報がきていないということも韓国に入っ
て初めて知りました。

私は子どもを育ててきた母であり、そして女性の立場からしても、人間として
も、家族をばらばらにして会わせないという金正日の悪辣な犯罪について許せな
いと思っています。私は自分の両親と別れて暮らしているし、6年間、自分の子
どもとも会えないという状況の中で、家族と離れて暮らしている拉致被害者家族
の気持ちの一部が分かるような気がします。言葉の通じない異国の地で、人身売
買ブローカーたちに自分の子どもが売られていくというような体験を何回かした
ことがあるので、家族と別れて暮らしている拉致被害者家族の皆様の気持ちがわ
かるような気がします。

私は、北朝鮮にいる時、狼は羊に変身することはできない。従って狼がいる限
りこの地上に平和は来ないという洗脳教育を受けてきましたが、実は金正日こそ
が自分も父親でありながら家族を引き裂いている残忍な狼のような人間ではない
かということがわかりました。幼い少女が学校から帰ってくる道でさらわれて、
家族に会えない監禁生活をしていて、家族に会いたい、会いたいと言って泣いて
いるということを考えてみて下さい。

私の息子は12歳の時に親と別れ、いつになったら両親に会えるのだろうかと
夜に月や星を観ながらずーっと考え続けていたと言っています。12歳で家族と
別れた息子は、その後雪が降り、大きな雪だるまを作って、大きな雪だるまはお
父さん、もう一つはお母さん、あとの二つはお姉さんたちだと思って、それを見
ながら、いつになったら家族に会えるのだろうかと言って暮らしていたといいま
す。家族に会いたいという気持ちで暮らしているその心は想像するに余りあるも
のがあると思います。

私は、幼い横田めぐみさんが家族に会いたいという気持ちで暮らしている場面
を、映画の一場面、あるいは一幅の絵のように思い浮かべることができます。幼
い時に家族と離されて、過去のことを考えながら会いたい、会いたいと言って暮
らしている被害者のことを考えると私も眠ることができません。皆様方と言葉は
通じませんけれども顔を合わせるだけで通じる部分があると思います。ところが
金正日は自分の子どもがいるにもかかわらず家族を離れ離れにして、自分の目的
達成のためにひどいことをしているわけです。北の人たち、そしてここにいる人
たちの平和のために、被害者が一日も早く家族のもとに帰ってくるために私は全
力で皆様方と一緒に闘っていきたいと思います。(拍手)

金聖●
金春愛記者は、皆様方の前で話す原稿を書いてきたわけですけれども、この後
の質問の時間に聞いて下されば、また興味深い答えが出ると思います。彼女はミ
サイル部隊に勤務していたわけですし、平壌の人民班長として人民の生活を統制
する立場にいた人でもあります。

ここで一つ申し上げたいことがあります。今回の訪日メンバーに入っていた一
人、高明燮さんという人がいます。彼は拉致被害者で、北朝鮮から帰ってきた人
の一人です。高さんは1971年に江原道沿岸の海で漁業操業中に北朝鮮によっ
て拿捕され、そのまま帰れず苦しい地獄のような生活を送り、3年前に自力で脱
出して韓国に帰還した人です。

実は4月28日から5月3日までワシントンでの北朝鮮自由週間行事のために
高さんと一緒に訪米しましたが、彼は死んでしまうのではないかというほどクタ
クタに疲れていたので大変心配でした。高さんは北朝鮮にいた時に、精神的なス
トレス、そして監視の目、飢えと寒さなどにずーっと苦しんできたその後遺症が
残っていますが、今回もぜひ日本に行きたいと言っていたのですが、3日前に電
話がかかってきて、日本で倒れるかもしれないということで、来ることを諦めた
次第でした。

高さんは、私の代わりにこの一言を皆様に伝えて下さいと言っていました。
「このように、私の今の状況のように、日本人被害者も北朝鮮で衰弱し亡くなっ
ていくだろう。そのような拉致問題を解決するために私たちはより真剣に悩まな
ければならないのではないかと思っています」ということです。(拍手)


◆金正日政権は未だに拉致に犯罪意識を持っていない?李主日
日本の家族会、救う会が金正日の拉致犯罪を暴露するために私たちを呼んで下
さいまして、皆様と討論する席を用意して下さいましたことに感謝します。私は
拉致問題と関連して2回衝撃を受けたことがあります。1回目は、中国に逃げて
暮らしていた時に北朝鮮が日本人を拉致しているとこを知ったときです。2回目
は、北朝鮮に入って政治犯収容所などの映像を秘密撮影するような活動をしてい
る私の脱北者の友人が、彼は韓国に入り韓国民としてパスポートをもって中国に
行き活動していたにも関わらず、中国で北朝鮮保衛部に拉致されて北朝鮮に連れ
て行かれた時です。拉致問題についてより一生懸命自分の力を尽くして努力しな
ければならないと思ったきっかけはこの二つの衝撃のためでした。

私が脱北した契機は、北朝鮮に生活しながら多くの人たちが飢えて死んでいく
姿、そして子どもたちが食べるものがなくて道でさまよう“コッチェビ”という
姿になっていくのを見て、これは違う、これは人間の住む場所ではないと思って
脱北を決意したのです。当時は単純に考えていました。飢え死にする人たちに対
して国際社会が支援さえしてくれれば助かるのに、と。

その後私は中国で、日本のRENKというNGOと提携して様々な活動をしま
した。99年には“コッチェビ”の映像が公開されたと思いますが、それも私た
ちの活動の一環でしたし、また“コッチェビ”についていろいろな文章も書きま
した。99年には『文藝春秋』に、「このようなことを続けるのであれば、私は
労働党の党員として党に歯向かわざるを得ない。民主と独裁は両立できない」と
いう文章を書きもしました。

中国で私が活動していた3年間に実は私は拉致問題についても多くの事実を知
りました。そして私が思ったのは、北朝鮮の政権、また北朝鮮の住民たちが、拉
致が犯罪であるということについて認識をしていないということが大きな問題だ
ということでした。実は私は、北朝鮮にいた時に少しだけ拉致について知ってい
ました。それは大韓機爆破事件の犯人の「真由美」を教えたのは拉致された日本
人だという話にもならないことを外の世界が言っているという記事が労働新聞に
出ました。その時のことを考えてみると、私が北朝鮮から出てこないで中にいれ
ば未だに拉致は犯罪であるという認識を持たないでいただろうと思います。

これまでにいろいろな情報を入手しました。拉致は日本だけではなく、世界1
2カ国から起きている。韓国では朝鮮戦争後500人の拉致がある。日本政府は
今17人を認定しているけれども、日本の民間団体は100人以上だと主張して
いるなどのことを知りました。それらのことについては真実であり得るというよ
うに考えるようになりました。

その理由の一つは、曽我ひとみさんが帰ってきた時、日本政府は曽我さんを名
簿に入れていなかった。その人まで帰ってきたという事実を知る時、この12カ
国、500人、100人ということも十分にあり得るというふうに思うようにな
りました。

横田めぐみさんについて言うと、北朝鮮は死んだと主張していますが、めぐみ
さんが平壌で生きているというロシアの複数の報道があったことも知りました。
めぐみさんの偽の遺骨が出できた時、北朝鮮はこういうことしかできないのだな
と、脱北者としての考え方で見ることができました。それにプラスしてロシアの
報道もあるので、めぐみさんのご両親や家族たちが「めぐみさんたちは生きてい
る」と主張していることは、十分あり得る話だというふうに信じるようになりま
した。

そこで日本人拉致問題の解決とは何なのかということを考えるようになったの
ですが、加えて、最近も中国で脱北者が拉致されているという事実もわかるよう
になりました。先ほど私の友人が北朝鮮の保衛部によって拉致されたという話を
しましたが、2002年から7年にかけて6人の脱北者が保衛部によって再び北
朝鮮に拉致されています。その6人は、一度韓国まで来て、韓国籍を持ち、韓国
パスポートを持って、何らかの目的を持って中国に行った人たちです。これは金
正日政権が未だに拉致に犯罪意識を持っていないという証拠です。

金正日政権が未だに拉致を犯罪だと考えずに通常のこととして行っているとす
れば、この問題の解決はどうすればいいのかと考えます。金正日政権が崩壊して
初めて拉致問題が解決するということが確実だということです。最小限、改革開
放政権になって初めて拉致問題も解決できるという前提に立っていろいろと考え
てみました。そのためには北朝鮮の住民全体が拉致は人倫に背く犯罪であると認
識して立ち上がらなければならないのです。そうであれば、その方法、手段は何
なのか。そのためには民主主義体制を持っている日本や韓国、アメリカのNGO
が連帯して圧力を加えなければならないと思います。どのような方法であっても、
拉致問題を糾弾するというニュースが北の住民たちに伝えられなければなりませ
ん。そして国際社会の一致した声が出なければならないし、6者会談や5者会談
のような東アジアで行われている国際的な協議の席で拉致問題を取り上げ続なけ
ればならないと思います。

我々はより一層目覚めて、北朝鮮に対する放送をし、ビラを送る必要がありま
す。また日本では最近、北朝鮮に対してファックスを送る運動を始めたというこ
とですが、大変いいアイデアだと思います。目的を明確にして、それに合った適
切な方法を選べば必ず拉致問題は解決できるでしょうし、また、その結果、北朝
鮮をも人間が生活するにふさわしい社会に変えることができると信じます。(拍
手)


◆金正日が拉致を認めて謝ったことを北朝鮮住民は知らない?鄭家林
拉致問題は普通の問題ではないと思います。大変長い間、痛みを抱えている問
題であり、早く両方で持っている痛みが解決すればいいと思っています。

私が最初に拉致問題のことを知ったのは、2007年に韓国に入国するために
中国にある韓国大使館に入っていた時に観たテレビで大韓機爆破事件の金賢姫さ
んについての番組が放映されていて、それを観た時です。

私の父は軍人でした。母は昔、保衛部に勤務したことのある家庭に育ちました
が、拉致のことは全く知りませんでした。そして2007年に韓国大使館の中で、
2002年9月に金正日が拉致を認めて謝ったという話を聞き、また朝鮮戦争は
北朝鮮が仕掛けた戦争であるという話を聞いても、最初は信じることができませ
んでした。

ご承知の通り、北朝鮮は情報が大変統制されている社会で、外の情報が入らな
い社会です。私が平凡に育ってきた家庭の中で習ってきた金正日という人物像は、
拉致は強制的に人を連れてきて無理矢理抑留するということですが、そのような
ことをするような人物像として金正日について習ってこなかったので信じられな
かったのです。拉致という単語自体を知りませんでしたし、北朝鮮に日本人拉致
被害者がいるということも知りませんでした。金賢姫を教えた日本人教官は「恩
恵(ウネ)」ということは聞いていたのですが、その教官は通常のように採用さ
れた人で、まさか拉致された人だとは思いませんでした。

家族の個人的なことを少し申し上げますが、実は私の母は、日本人妻の人と知
り合いで、その女性が大変歳をとっていて、死ぬ前に日本にいる両親や兄弟の消
息を知りたいと言っていたので、母は中国に行った時、その日本人妻のために消
息を知る努力をしてあげたことがありました。皆様は友人のためにそういうこと
をするのは悪いことではないと思われるかもしれませんが、北朝鮮の中ではその
ようなことは政治的な犯罪だとみなされます。母がそれをしたことが発覚して、
保衛部に引っ張られ、留置所の中で靴で踏みつけられたり蹴られるという拷問を
受け、頭が血だらけになるような目にあいました。何とかいろいろなルートでお
金を使って、母を生きて助け出すことができたのですが、その後遺症は大変なも
のでした。

北朝鮮のような社会では、日本人拉致被害者でも体制に逆らうようなことをす
ればそのような目にあうこともあると思います。私の母は友人にその家族の消息
を教えてやろうと努力した。それが罪だと言われました。外国の何にも関係のな
い人を無理矢理さらってくるように命令した金正日は、その基準で言うとどのよ
うな罪があると言えるのでしょうか。北朝鮮の中では、被害者もそうだと思いま
すが、金正日の悪い点は一切教えない。2002年9月に金正日が拉致を認めて
謝ったなどということは一切報道がなく、教えられないわけです。そのような制
度の中で、金正日が悪いことをしたということがわかってしまう結果になる拉致
被害者の人たちを北朝鮮が簡単に返すことはないのではないかというふうに、私
の足りない経験の中で考えるものであります。

北朝鮮の住民たちに拉致をしたのだという事実を伝える努力が、何にも増して
必要だと思います。そのような情報、通信を広めなければならない。最終的には
北朝鮮の民主化がなされなければ解決されないのではないかと思います。そのた
めに私たちは、新しい、そして現実的な努力をしていかなければならないと思っ
ています。(拍手)

◆北朝鮮では「金があれば何でもできる」が……金聖●
北朝鮮で「金があれば何でもできる」という言葉が流行しているということを
ご存知でしょうか。私は最近わかったのですが、できることもあれば、できない
こともあります。

鄭家林さんのお母さんは2カ月前に亡くなられました。実は鄭さんのお母さん
が思い病気で長くはないということがわかって、鄭さんが私のところに来て、
「それでも一度手術を受けさせたい、中国まで連れ出して手術を受けさせること
はできないか」と相談されて、私は「できる」と答えました。そして私が中国に
行き、お母さんが入院している病院に行きました。つまり、お金を使って、お母
さんを北から中国に出して手術を受けることができたのです。

私がお母さんの所に行ったところ、意識はありましたが、もう長くはないとい
うことがわかって、最後に娘に会いたいと言っている。ところが韓国にいる家林
さんにビザがでなかった。中国大使館がビザを出すことを拒否した。ベトナムか
ら入ることとかいろんなことを考えましたが、それもダメだった。しかし、お金
を使ったらできた。これはお金があればできたことです。しかし最後に家林さん
のお母さんは亡くなりました。それはお金があってもできなかったことです。

一月ぐらい前だったと思いますが、元労働党書記の黄長燁先生の親戚が家族と
一緒に韓国に来たいと言っているという情報を李主日情報センター長が入手して、
情報センターの通信員のネットワークを稼動させて、その親戚一家を今、韓国に
連れてきている最中です。それもお金でできることです。

我々は、日本人拉致被害者に関する確実な情報、あるいは髪の毛一本でも持っ
てきてくれれば多額のお金を出すということをラジオでも言っているしビラもま
いているのですが、それはまだできていません。お金があってもできていないこ
とです。私は日本にいる元工作員だった人にも会ったことがありますし、あるい
は韓国でも北の大変高い地位にいた人たち、今静かに暮らしている人たちが何人
かいるのですが、そういう人たち皆に会ってみて確認しているのですが、拉致被
害者に関する情報は出てきません。それくらい北朝鮮当局は徹底的に管理して秘
密を守っている。

北朝鮮は言ってみれば拉致共和国であって、多くの人たちをいろいろな国から
拉致していますが、特に日本人拉致被害者の情報を徹底的に管理している。です
から、何回も申し上げていることですが、拉致問題解決のためには金正日政権の
崩壊がなくてはならない。今韓国でも、揺れていますけれども金正日打倒を目指
す動きがあり、そしてアメリカでもそのような動きがあります。日本でも今こそ
明快に拉致問題解決のために金正日政権打倒をというスローガンを出す以外ない
と思います。(拍手)


◆毎日が食糧問題、住民たちには関心がない核・ミサイル宣伝?金大成
5月6日の日比谷での国民大集会でも短い挨拶をさせていただきましたけれど
も、皆様方と再び会えて嬉しいです。私たちは今拉致問題に関する放送をしてい
ますけれども、先ほど我々のメンバーが話したように私自身も北朝鮮にいた時は
拉致のことを知りませんでした。

私は99年に脱北して中国の延辺にいた時に延辺の新聞や南の新聞を見ること
ができました。その時点では拉致問題についての大きな報道はなかったのですが、
時々、反動たちが拉致問題を持ち出して共和国を誹謗しているというような記事
が出ていました。その後2002年9月に小泉総理が平壌に行き、金正日が拉致
を認めて謝ったという記事を見た時に初めて拉致は事実だったのかということを
知ることになりました。

2002年9月に金正日が拉致を認めるという結果をもたらしたのは、ここに
いらっしゃる家族会、救う会の皆様が必死に努力されて、国際社会に拉致がある
ということを広めた結果ではないかと思い敬意を表します。

2002年以前、金正日が拉致を否定し、でっちあげだと主張していた時、そ
れに合わせて親北左派勢力も日本政府は嘘を言っているという誹謗をしていまし
た。しかし金正日が拉致を認めてしまったので親北左派も黙るしかなく、また朝
鮮総連もその結果大きなショックを受けて、経済的に破産への道を歩んだと聞い
ています。そのような意味で私たちは、家族会と救う会の皆様の努力に感謝して
いますし、その立場から対北朝鮮ラジオ放送に拉致問題を取り上げています。

2002年以降、北朝鮮は去年一度拉致問題の調査やり直しを約束しましたが、
それを取り消した後、進展はありません。それどころか北朝鮮は拉致を今も行っ
ている。6月4日に裁判があったと伝えられたアメリカの二人の女性記者の問題、
あるいは開城工団の韓国人職員一人が抑留されている問題、そして先ほど我々の
メンバーがお話しましたが、脱北者で韓国の旅券を取った人間の拉致の問題など
今も拉致を続けています。

最近のニュースで見るとアメリカ人女性記者問題や開城工団での韓国人職員問
題については一定の解決の方向が見えてきていますが、日本人拉致問題について
北朝鮮は一切言及していません。

今は北朝鮮の核実験、ミサイル実験があったために国際的関心は核とミサイル
に集中しています。拉致については、家族会、救う会の皆様は自分たちの家族に
関することですから一生懸命努力していますが、国際的な関心は核とミサイルに
集まっている状況です。北朝鮮が今核実験をし、ミサイル実験をしているのは後
継体制を固めるための準備作業であるというような分析が出ています。

後継者は金正雲に決まったというような類の報道がたくさん出ていますが、我
々が北朝鮮に電話をして、直接北朝鮮住民に聞いてみたところ、後継者問題につ
いては一切知らない。また拉致問題についても一切知らないという答えが返って
きています。

拉致問題は秘密を守らなければならないから住民に教えないということですし、
核やミサイルは体制の宣伝のために住民たちにも広めているわけですけれども、
しかし住民たちはそれについて関心がない。ご承知の通り食べるものがないとい
う経済難がずーっと続いており、当局がいくら核やミサイルのことで騒ぎ立てて
も住民たちは今の自分たちの食べ物を考えることで精一杯で関心を持てないとい
うことです。

最近、北朝鮮のある人と電話で話をしたのですが、「ミサイルを発射したし、
核実験もしたけれども、どう思うか」と聞いたら、「上にいる人たちが勝手にやっ
ているのだろう。我々は知らない」という答えが返ってきました。それは北朝鮮
の住民たちの金正日政権に対する不信がその程度まで大きくなっているというこ
とです。

私たちが聞いている情報によりますと、張成沢が金正雲を支持すれば後継体制
は安定するだろう。しかし張成沢は今不満が多い。自分の妻、金正日の妹は病気
でいつ死ぬかわからない。金正日が死んだ時に張成沢が何か突発的な行動をする
可能性があるというふうにも北の高位層の人たちが見ているということです。

北朝鮮内部は今大変不安定な状況にあることは間違いないのですが、この不安
定な状況を抑えるために、北朝鮮は住民たちを動員して「150日戦闘=150
日間住民を経済活動のため徹底的に動員すること」というものをやっています。
この「150日戦闘」が10月まで続くために、拉致問題や核問題について10
月まで大きな進展はないのではないかと思います。

ですから拉致問題解決のためには、皆様方はこれまでも大変よくやってこられ
ましたけれども、日本一国ではなくて国際的な連携をして、いよいよ金正日政権
に対する圧迫を加えなければならないと思います。交渉はしながらも、より強い
制裁を加えるということです。日本そしてアメリカが金正日の金蔓を縛る。金が
行かないようにする。実は金正日統治は金での統治ですから大変苦しくなるとい
うことです。北朝鮮に圧力を加えても表面的な効果は出てきませんが、拉致問題
や人権題について我々が騒げば騒ぐほど北朝鮮当局はそれを意識せざるを得なく
なります。日本の当局やNGOが拉致問題について声を挙げれば挙げるほど、北
朝鮮当局は拉致被害者に手を加えることができなくなります。

金正日の料理人をやっていた藤本さんが、ちょっと前に韓国の東亜日報のイン
タビューを受けました。藤本さんは安全のために帽子をかぶりサングラスをして
いるが、実は自分の安全はマスコミが自分について関心を持っていてくれるため
に守られているというふうに言いました。それと同じように拉致被害者の人たち
を守るためにはより一層皆様方が声を出していくことが大切だと思います。

今私たちは北朝鮮民主化運動をやっているのですが、北朝鮮の体制が民主化さ
れてこそ拉致問題が解決されると思います。そのような立場から最近の情勢を見
ますと、北朝鮮は2回目の核実験を、体制を延長させるためにした思っているか
もしれませんが、実は彼らの体制崩壊の道を近づけた、彼らは戻ることのできな
い川を渡ったと思います。日本、アメリカが強い制裁をし、ロシアも制裁をしな
ければならないと言っており、中国も今回は大変怒っているという報道を見るに
つけ、金正日政権は追い込まれている。それに対して3回目、4回目の核実験を
するなら、より国際的孤立に追い込まれていくというような状況ではないかと思
います。拉致被害者が一日も早く皆様方のもとに戻ってくることを祈って話を終
わります。(拍手)

以下次号


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