救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北のミサイルに日本の資機材と在日の科学者の協力?輸出全面禁止を(2009/05/13)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2009.05.13-2)

連続集会報告2


◆ミサイル開発は米軍介入を阻止し韓国を併呑するため?金日成が68年に指令
西岡 まず北朝鮮の軍事戦略の中における弾道ミサイルの位置付けについて。簡
単に言うと、なぜ北朝鮮は弾道ミサイル開発をしているのかについてお話したい
と思います。

金日成が分かりやすく話しています。昨年の緊急集会で報告してくれた金東赫
さんが、産経新聞社から「金日成の秘密教示」という本を出していますが、その
中に、「アメリカまで届く核兵器と長距離ミサイルを自力生産せよ」というのが
あります。1968年11月に金日成がこう言っています。「南朝鮮からアメリ
カの奴らを追い出さなければならないが、このままでは奴らは絶対に退かない。
だから我々は、いつかは米国の奴らともう一度争うべきだという覚悟を持って、
戦争準備を促進すべきである。現時期、戦争準備を整える上で何よりも急ぐべき
ことは米国本土を攻撃することのできる手段を持つことだ。これまでの世界の歴
史には、数百、数十件の大小の戦争があったが、米国が介入しなかった戦争はな
い」と。アメリカが関係しない戦争はいっぱいありましたが、金日成はこう言っ
ています。

「しかし、その戦争のすべてが他地域で起こった戦争であったため、米国本土に
はこれまで一個の砲弾も落ちたことがない。このような米国が砲弾の洗礼を受け
ることになるとどうなるだろうか。その時には状況が異なってくると思う。米国
国内では反戦運動が起こるだろうし、その上、第三世界諸国で反米共同運動が加
勢することになれば、結局、米国の奴らが南朝鮮から手を離さざるを得なくなる。
だからトンムらは一日も早く、核兵器と長距離ミサイルを自力生産できるように
積極的に開発すべきである」。これは「科学院咸興分院開発チームとの談話」に
あります。

アメリカ本土を攻撃することのできる核兵器と長距離ミサイルを自力生産せよ
ということは、韓国の著名な国際政治学者李春根(イ・チュングン)博士が分か
りやすく分析しています。アメリカまで届くミサイルを持つということは、アメ
リカと戦うということではなくて、アメリカと戦わないためです。アメリカに反
戦運動を起こさせて、南から手を離すようにさせることです。アメリカを攻撃で
きるものを持って嫌気を起こさせる。

韓国の国際政治学者李春根(イ・チュングン)博士の分析では、「北朝鮮の核
兵器体系の完成は米国と戦うことを目的とするものではない。いくら北が多くの
核兵器を持っても、米・北の間では核抑止の状況は実現できない。核抑止とは米
国と旧ソ連の間で現われる戦略状況だ。仮に先に攻撃をしても、先制攻撃の利点
を生かせないほどの完璧に武装した国々、すなわち報復能力を持つ国々の間でだ
け核抑止の状況が現われ、核戦争が抑止される。北と米国の間では、戦略的にも
地理的にもそのような状況は成り立たない。北朝鮮が米国を攻撃するわずか数発
の核爆弾やそれに到達できるミサイルを持つことの最大の戦略効果は、北が韓国
を攻撃した時に現われる。いままでアメリカは、北が武力で韓国を攻撃する場合、
米国は徹底的に南を支援すると約束していた。米国本土から70万人の兵士を投
入することになっている。だが、北が米国本土を攻撃できる核ミサイルを保有す
る日、米国の韓国に対する各種支援公約は空約束になりえるのだ。米国の核の傘
の信頼性がほとんどなくなる。北が韓国に対し核兵器で脅す場合、米国は彼らの
核爆弾を持って韓国を保護してくれるだろうか。アメリカが自国の危険を冒して
まで韓国を守るだろうか。結局、金正日が米国本土を攻撃できるテポドンミサイ
ルを保有するためにあおのように骨折る理由は、アメリカと一戦を辞さないため
ではない。むしろ逆説的に北側が意図するのは、これから朝鮮半島問題を自分の
やり方で解決していく中で、米国の介入を可能な限り排除するということだ」。

アメリカの介入をやめさせて韓国を併呑するのが彼らの軍事戦略の基本目標な
のです。アメリカが韓国を支援すればかなわない。第一次朝鮮戦争でそのことを
痛感して、それをやめさせるためにどうするかということで金日成が教示を出し
たのです。金日成の教示は絶対ですから、その方向に北朝鮮は進んでブレがない
のです。アメリカまで届く核ミサイルを持つということです。金日成はアメリカ
が憎いから核攻撃しろとは言ってないのです。

北朝鮮が核を持つことについて、外交的手段なのか実戦的脅威なのかという議
論がありますが、私は98年に出した「飢餓とミサイル」という本に詳しく書き
ましたが、「持って脅す」のです。使ってしまったら彼らは負けます。「持って
脅す」時に効果がある。持つまでは交渉の手段としても使いますが、開発を終わ
らせることはありえない。着々と開発し続けるのは間違いない。それは金日成が
戦略を書いているのですから、これを否定することはできないのです。この教示
は、核心工作員などが勉強するもので、非公開です。

◆日本向けノドン開発は在日米軍の攻撃阻止が目的
では「ノドン」はどうか。テポドンはアメリカ向けのものでアメリカと戦わず、
介入を防ぐためのものです。日本に届くためにノドンを開発していますが、これ
も同じ枠組みで考えることができます。つまり、第二次朝鮮戦争でアメリカの介
入を防ぐために開発されたのです。目標は在日米軍基地です。基地を一時的に使
えなくするのが彼らの対日戦略目標です。

98年にテポドン1が発射されたこの時、私は、ミグ戦闘機で韓国に亡命して
きたイ・チョルス北朝鮮軍大尉にインタビューしました。当時彼は韓国空軍大学
の教授で、北朝鮮の軍事戦略におけるミサイルの位置を教えてくれと言ったら、
「お前は朝鮮問題の専門家なのにこんな基礎的なことも知らないのか」と言われ
ました。「自分は空軍士官学校に入った時からずっと軍事戦略を教えられてきた。
なぜ朝鮮戦争に勝てなかったのか。米軍が介入したからだ。それも日本にある基
地から来て爆撃し、日本の基地に帰っていった。奇襲で韓国にある米軍基地を使
わせなくすることはできる。しかし、すぐに在日米軍基地から米軍が出撃してく
る。こちらが奇襲をかければ5027作戦計画により沖縄の嘉手納と青森の三沢
から米軍機が飛んでくる。制空権を取られたあと、沖縄の海兵隊が元山から上陸
して平壌を占領するという5027作戦計画を彼らは持っている。従って、それ
をさせないためには開戦後1週間から10日、日本の米軍基地を使わせなくする
ことが必要だ。自分が士官学校を出る時には、開戦と同時に、三沢、横須賀、沖
縄の米軍基地を少なくとも1週間から10日、出撃不能にさせる。そのためにミ
サイルと特殊部隊がある三沢と沖縄とグアム、また横須賀は潜水艦による機雷と
特殊部隊なので、それらを攻撃するその計画ができていた」と。

彼は80年代半ばに士官学校を卒業していますが、在日米軍基地を攻撃する計
画がそのころすでににあったということです。

日本まで届くミサイルで在日米軍基地を使わせないということです。またアメ
リカまで届く核ミサイルを持つということは、在日米軍基地を使えなくする意味
もある。第二次朝鮮戦争が始まったら、北朝鮮がアメリカと日本に届く核ミサイ
ルを持ち、日本に対し、在日米軍基地を使わせれば核攻撃すると言う。その時、
アメリカが日本を守ってくれるから北の核は怖くないと言えるかどうか。アメリ
カまで届く核ミサイルを北朝鮮が持ってしまえば、アメリカがサンフランシスコ
やニューヨークを犠牲にして、東京を守るのか。具体的には、安保条約6条によ
る極東有事における在日米軍基地使用に関する日米事前協議、すなわち日本が直
接攻撃されていないのに、日本の基地から米軍機が北朝鮮攻撃に発進することに
ついて、日本が許可するかどうか。北朝鮮からの核による脅しで、1週間から1
0日の間、日本が回答を待ってほしいなどどして米軍基地使用を妨げれば彼らの
対南奇襲作戦は成功するという読みなのです。この時、脅しとして効果があると
いうことです。金日成が言った通りの戦略を、彼らは着々と進めてきたのです。

惠谷さんは、北朝鮮の技術はそれほど高いものではないと言われました。何も
ミサイルを持っていなかった1968年に、金日成の指令が出た後、自力開発を
始めた。アメリカまで届く核ミサイル開発は、中国もソ連も支持してくれない。
だから自力開発せよという命令を出したわけです。ミサイルについて言うと、ソ
連は弾道ミサイルを持っていました。ソ連製のスカッドが北朝鮮のミサイルの原
型ですが、北はソ連から直接スカッドを貰ったわけではないのです。ソ連は金日
成を警戒していて、あんなやつにミサイルを出したら何をするか分からないとい
うことで、渡さなかったのです。70年代に、金日成の指令を実現するために、
北朝鮮は色々な努力をしてエジプトに目をつけます。

当時、エジプトはソ連と近く、ソ連はエジプトにスカッドを与えていました。
エジプトにはミグ戦闘機もあったのですが、パイロットが少なかったのです。そ
こで北朝鮮はエジプトにパイロットを派遣して訓練をした上、中東戦争では北朝
鮮のパイロットが参戦もしました。そして恩を売ってスカッドミサイルの現物を
入手したのです。現物を持ち帰って解体し、逆設計(模倣設計)をして海賊版を
作りました。彼らは勝手に作るのがうまいですね。偽ドルや偽タバコも作ってい
る。彼らは国産と言っていますが、他人のものを盗んで、コピーしたのです。ソ
連は部品を与えてくれませんから、素材や部品はどこからか入手してコピーを作
るわけです。そして次にコピーをイランに売ったのです。ソ連からすると、海賊
版で外貨稼ぎをされているわけです。

そのスカッドを少し軽くしてスカッドCにして韓国を射程に入れました。また、
スカッドのエンジンを改良してノドンにしました。この辺は、惠谷さんの本を参
考にしています。そしてスカッドとノドンを二段にしてテポドン1にした。すべ
てはソ連から盗んだ技術から始まっています。しかし、自力開発をしているわけ
です。

現物を解体して設計図を作り、ソ連製の素材や部品が得られないのにコピーが
作れたのはかなりの高い技術水準でなければできません。部品を作るにも工業水
準が必要です。そこに在日朝鮮人技術者の関与があります。ソ連がライセンス生
産を許し、ソ連の技術者が指導しているなら、日本から在日朝鮮人科学者がしき
りに北朝鮮に行って技術指導する必要はそれほどないかもしれませんが、日本製
のミサイルを作ったのではないけれど、分解して設計図を描いたり、日本製の部
品を使ったりしてきました。

◆在日「科協」がミサイル開発、資機材供給で協力
在日朝鮮人科学技術者協会、いわゆる「科協」という存在がそこからクローズ
アップされますが、1979年、エジプトからスカッドミサイルを手に入れる直
前になった頃、「科協」代表団が金日成と会います。金日成が「科協」に、「科
学技術に関する図書、雑誌、各種機材、材料などを大々的に送ってこい」と命令
しました。その中に、ミサイルに関する技術や情報が当然含まれていたと考える
べきでしょう。

そして80年代スカッドをコピーし、そしてノドンの開発が進んでいた91年
10月に、今度は金正日が「科協」に、「在日同胞技術者、科学者の愛国姿勢は
原子力工学分野を初め、科学技術資機材を日本から送るのに、あますところない
役割を発揮した」と、80年代の活動を賞賛しています。そして、「在日技術者、
科学者を初めとする海外科学者の創造的協調を広くもうけて、彼らが祖国の科学
技術を発展させるための愛国事業に積極的に参加するようにしなくてはなりませ
ん」と言っています。

テポドン1号が発射された翌99年3月には、平壌で全国科学者技術者大会が
開かれ、そこに「科協」幹部も招かれたのですが、崔泰福労働党書記が「在日本
朝鮮人科学者、技術者たちは、社会主義祖国の富強発展と祖国統一のために愛国
的な活動を活発に繰り広げ、主体朝鮮の公民になった栄誉を胸深く刻み、祖国の
科学者、技術者たちと経済建設に大きく尽くした」と彼らの祖国への「貢献」を
称えています。

4月19日の産経新聞記事は共同通信のニューデリー発の記事ですが、199
9年に、インドが北朝鮮の貨物船を拿捕した。そこにパキスタンに運ばれるミサ
イルの機材が積まれていた。インドはパキスタンを警戒していますから、北朝鮮
のミサイル技術が北朝鮮に渡ることを警戒して拿捕したのです。押収された機材
の中に、日本の複数の大手メーカーが製造した精密機器や特殊鋼が含まれていた、
と当時のインドの高官だった人が共同通信に話しています。

99年に北がパキスタンにミサイル技術を提供しようとした時、日本製の部品
や素材を持っていったのです。スカッドを原型としたミサイルを作るのに、ソ連
製の部品や素材ではなく、日本製のものが使われたのです。
私はこの話を前から書いていますが、実は、黄長燁(火さんが一番先にこの話を
しています。正確に言うと、黄長燁(火ヘンに華、以下同じ)さんと一緒に亡命
した金徳弘さんという元労働党の幹部で貿易業もやっていた人が、96年に、別
の貿易業者から日本製の製品をたくさん買い付けているのを見て、「お前何に使
うんだ」と聞いた。すると、「パキスタンに送る」と言っていたそうです。おか
しいなと思って黄長燁に報告し、黄長燁が全秉鎬・軍需担当書記に直接、「何し
てるんだ」と聞いた。すると、「パキスタンにミサイル技術を出すんだ。その見
返りに濃縮ウラニウムを貰う。核兵器開発はやめていない。安心していいぞ」と
言われたそうです。そのパキスタンにミサイル技術を出す時に日本製の部品が買
われていたのです。

こういう現実を踏まえて、ミサイル発射の後に、追加制裁の中に、日本からの技
術や素材の移転を止めることを入れるべきとの議論をしたわけです。

◆万景峰はミサイル観測船の役割も
惠谷 今言われた「科協」の幹部、しかもロケットエンジンの専門家が去年10
月にロシア経由で北朝鮮に行っています。こういう幹部には公安が張り付いて四
六時中見張っている中で、そういう話を入手しました。当時、3人がバラバラに
行っています。一人はウラジオストック経由です。1か月ほどして、11月にそ
れぞれ帰ってきました。また3月30日に、人工衛星の専門家とされる2人が行っ
ています。そして4月5日に発射がありました。昨年10月に行った男は、06
年の発射の時も行ったことが確認されています。

ついでに言いますと、06年7月5日にテポドン2号が初めて打ち上げられ、
結果的には空中分解して失敗しました。その7月5日に万景峰号が新潟に入って
きました。発射は午前4時59分で、万景峰号は新潟の沖合いに6時半に姿をみ
せています。ミサイル騒ぎがあり、官房長官の記者会見があり、持回り閣議で万
景峰号は入国港禁止となりました。万景峰号には修学旅行から帰る在日朝鮮人高
校生が乗ってました。人道的配慮から新潟県は接岸だけは認め高校生196人を
降ろし、積荷は一切認めず追い返しましたが、残りの乗客13人の中にその男が
紛れて帰ってきています。

今回は迎撃するとの騒ぎがありましたが、私は、「日米とも迎撃はしない」と
思っていました。「迎撃はありえない」ではニュースになりません。ミサイルが
発射されると、速度や色々なデータが本国に電波で送られます。ミサイル実験か
らはものすごい情報がとれるのです。敵の手の内が分かるのです。そんな宝をこ
ちらから攻撃して、こわすことは120%ないんです。

実は、98年8月31日にテポドン1号が打ち上げられていますが、翌日万景
峰号が入港しています。万景峰号は現金運搬船であり、ハイテクなもの等をごま
かして積み込むハイテク運搬船であり、さらには、船長よりも偉い、統一戦線部
の課長クラスが常に乗っており、在日工作員を呼びつけて指示を出す船です。ま
た、船底にはソーナーという音波探知機があり、必要な時に出して海底調査をし
ています。これは潜水艦用の海図作成をしていると思います。この4つの機密任
務をもっていました。

しかし、98年と06年にはミサイルが打ち上げられた時に、日本海に万景峰
号がいた。こんな偶然があるわけはなく、万景峰号のどこかにミサイルから電波
を受けることができる機器を積み、ミサイル観測船として使っているのではない
かと思っています。今回は万景峰は動いていませんので、別の船を使うしかない、
実際に出しています。日本海号と太平洋に出し、太平洋に出した船は故障して帰
りました。もし、万景峰号が今も動いていれば、間違いなく4月5日の発射の日
に日本海にいたのではないかと思っています。それほどの秘密任務を持っている
船だけに、絶対に入港を認めるべきではないと思います。


◆「拉致も理由に」制裁が発動されたが……
西岡 運動面からの話をしますと、我々は昨年秋に、北朝鮮が「調査のやり直し
をする」という約束を破ってから、その不誠実な対応を理由に追加制裁を求めま
した。日本政府は北朝鮮に色々な制裁をかけていますが、拉致を契機にかけられ
た制裁はないのです。

小泉首相の二度目の訪朝で25万トンの食糧を支援する約束をし、12万5千
トン出しましたが、残りの12万5千トンは出さない、人道支援もしないという
ことが制裁に入っています。これは偽の遺骨が出てきた時のものです。人道支援
をしないというのが制裁と言えるかどうかも難しいところです。北朝鮮船籍船舶
の入港禁止、輸入禁止、北朝鮮の国会議員でもある在日の再入国許可禁止は、す
べて2006年のテポドン2などの発射と、その後の核実験に対する制裁です。

私たちは、04年12月に偽遺骨と判明したとき、政府が「厳しい対応をとる」
といいながら取らないので、05年に座り込みをしました。拉致を理由に制裁し
てほしいという運動をしてきました。06年7月のテポドン2の発射の時は、安
倍官房長官が、「当然のことながら拉致に関する不誠実な対応も制裁理由に入っ
ている」と口頭で述べています。また06年10月の核実験の時は、官房長官談
話で、「拉致も理由」とされました。しかし、いずれもミサイル、核実験が契機
に制裁が発動され、拉致が契機で発動されたわけではありません。

今回のミサイル発射の前に我々は二つのことを考えました。できればミサイル
発射の前に、北朝鮮の拉致問題での不誠実な対応に対し制裁を発動してほしいと
いうこと、そして発射後により重い制裁という2段構えでやってもらえばよかっ
た。4月13日が、6か月ごとの制裁の見直し日でした。ミサイル発射がその後
だったら、そういうことも可能だったと思います。北朝鮮がそこまで計算したか
は分かりません。ただ彼らは救う会のメールニュースなども一生懸命に読んでい
るようです。

4月13日に過去6か月のことを検討して、制裁を延長・強化するかどうかを
決めるわけです。彼らは過去6か月の間に約束を破ったわけですから、行動対行
動の原則で、何か一つでも追加制裁をかけてほしいと言ってきました。

制裁では民主党が先に動いて、拉致を理由にした追加制裁のリストを、拉致問
題対策本部が昨年12月にまとめました。これはすごく厳しいもので、現行法で
できるものはすべてやるというものです。自民党も、拉致問題特命委員会が動き
出し、同委員会の制裁シュミレーションチームが今年3月に二段構えの制裁案を
作りました。

ミサイル発射などがなくてもやるべきこととして、輸出の全面禁止、制裁の期
間を6か月から一年への延長、貿易や送金で違法があった外国人の北朝鮮を渡航
先とした場合の再入国原則禁止です。情勢の変化があった場合、つまりミサイル
発射があった場合には、これに追加して、北朝鮮への送金の報告基準の引き下げ、
現金の持ち込み基準の引き下げ、朝鮮総連施設への固定資産税減免取りやめ指導
強化です。情勢の変化がなくても、拉致を理由に、北朝鮮は追加制裁に値すると
いう案でした。これが3月に自民党の案として官房長官に提出されました。

4月5日にミサイルが発射され、発射の日に家族会・救う会・拉致議連で緊急声
明を出した。そこで、我々は発射がなくてもモノ、ヒト、カネの流れを止めるの
は当然と言ってきたので、政府が追加制裁をかけるのは当然だが、制裁の理由に
拉致を明示ほしいと訴えました。救出運動の立場ではそれが一番の目標でした。
北朝鮮がミサイルを持つと危険なのはテロ国家だからで、拉致問題と分けて考え
られないということです。

そしてもう一つ、国連の安保理で、北朝鮮に対する非難決議や制裁決議を政府
は目標とするだろうが、その決議にも拉致を入れてほしいということを政府に要
求しました。

ミサイル技術の流出なども調べていましたが、家族会・救う会・拉致議連の名
前で、ミサイル技術の流出を止めるべきとの声明を出すことは、救出運動という
観点からすると少し外れてしまうおそれがあるので、ぎりぎり救う会会長代行の
肩書きで、在日技術者の個人名を調べて緊急提言として出したりしました。

ミサイルだけが理由で制裁が発動されれば、「調査のやり直し」という不誠実
な対応を行った北朝鮮に何も不利益が与えられないことになります。拉致問題で、
彼らは、「未解決」と認め「調査のやり直し」を行うと言って、何もしていない
のです。その場合、不利益を与えるのがコミュニケーションだというのが、我々
の立場でした。

今回は政府の対応も遅かった。前回のミサイル発射、核実験の時は、二日後に
制裁が決まりました。万景峰号はその日のうちに入国を禁止しました。今回は5
日かかりました。日曜日に発射され、金曜日に決定しました。月曜日には自民党
の拉致問題特命委員会が緊急総会を開いて厳しい追加制裁すべきと決めました。
同委員会は、ミサイル発射がなくても輸出全面禁止をすべきと言っていたのです
から、発射後には当然輸出全面禁止を求めました。ところが、結局輸出全面禁止
は入らなかったのです。

また、上記の通り特命委員会の追加制裁案には、違法行為があった人に再入国
許可を出すなとあったのですが、我々が前から言っていたのは、人の流れをすべ
て断てということでした。

私は同委員会に出て、二人の在日朝鮮人技術者の個人の名前をあげて、東大を
出た技術者ですが、ロケットエンジンの専門家であるこの男らが頻繁に北朝鮮に
行ってミサイル開発に協力しているから、彼らの渡航を止めよと働きかけました。

しかし、結果として人の流れは止まりませんでした。お金の規制が厳しくなっ
ただけです。持込届出が100万円から30万円に、送金届出が3000万円か
ら1000万円になりました。低いレベルの追加制裁になりました。

ただ、救出運動の立場からすると、制裁理由に拉致が入りました。これまでの
中で一番しっかり、官房長官談話で触れられています。そこは政府内に対策本部
があると違うなと思ったところです。また、「拉致に対して具体的な行動を求め
る」ということも書いてありました。日本政府は拉致でも怒っているということ
が明記されたわけで、そこはよかったと思います。

しかし、日本の安全保障を考えると、日本から技術がどんどん北に流れってい
き、ミサイル技術を進歩させていることは事実です。今回も、かなり進歩してい
ます。

惠谷 今回の発射が成功したか失敗したかですが、目的は人工衛星の打ち上げで、
その点では失敗。しかし、1段目のブースターだけでミサイルになりますし、そ
れには成功した。ただ、衛星打ち上げに失敗と言うよりは、1段目打上に成功と
言ったほうが、圧力をかけやすいと思います。ブースターの落下が100キロ外
れてはいますが、正常に飛んだことは間違いないからです。


以上


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