救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮の食糧農業2017/18



5.国連機関の報告は水増し−北朝鮮の食糧生産


 国際支援を行う場合、食糧需要は本来人口増加率を反映して計算される筈であるが、国連機関の報告では人口増加率を反映していない。
 それだけでなく、FAOが作る需要には作為が見られる。収穫後ロスの算定等で北朝鮮当局との交渉をした結果、不足量を多めに出すこともあれば少なめに出すこともあったことを示している。
 当然、不足量を多くすれば、国際社会に食糧危機を訴えやすくなり、北朝鮮に有利であるが、いつもいつもそうするわけにもいかないのであろう。2017/18年度に至っては、人口が増えているはずなのに、需要量を前年度と同量とした。人口がまだ多すぎるとみて調整したためであろうか。国連機関の報告する数値は誠に摩訶不思議としかいいようがないのである。


 上記のように、食糧増加率と人口増加率は全く整合性がない。この人口と需要のさじ加減で、その年の不足量が決まることになる。下記はFAOが報告した2017/18北朝鮮の食糧需給概要だが、その項目の中身についてもおかしなことが多い。


 北朝鮮はこれまで政治も経済も農業もソ連の方式をまねをしてきた。農業については、3倍密植を今も行っている。同じ面積に3倍の種子を使うので、それだけ種子に無駄が出る。また、密植すると風通しや日当たりが悪くなる等収穫量で問題が出る。にも関わらず国連機関は農業の専門家を派遣したとしながら、密植の弊害について指摘したとは思えない。毎回3倍の種子が必要という数値を計上している。
 収穫後ロスについてはお手上げ状態で、電気が一日4時間くらいしかこないので、穀物を適当な水分含有量にして保存することは助言できない。品種改良すれば、あるいは新種改良した種子を支援として持ち込めば、いもち病のない種子で栽培できるし、玄米を白米にするときひびが入っていて割れてしまう胴割れも出なくなるのに、勧めてはいない。
 また、国際社会に食糧支援を依頼しながら、年に一度の最も詳しい報告では、要請に対してどの程度の量が集まったのか、北朝鮮政府は何万トン輸入したのかの報告がない。そして、何万トン不足のまま終わったのかの報告もない。


 北朝鮮農業省の報告も国連機関の報告も、常に過大で、筆者は実態は報告の半分程度と見ている。2017/18年度の収穫量は472.2万トン、人口は2528万人と報告されたので、一人当たり食糧(穀物のみ)は187kgとなる。
 食糧需要は442.7万トンとあるが、国際支援が全くなく、北朝鮮政府が15万トンを輸入した場合の食糧はは65.2万トン少なく、377.5万トンになる。年間一人当たり食糧は約149 kgとなる。それでも149kgは食べられるわけである。
 FAOの統計では、畜産物や魚介類、野菜や果実等の生産量は計上されていない。それでも2016年の日本では穀類、いも類、でんぷん、豆類の一人当たり消費量合計は132.8kgなので、穀物だけで比べると北朝鮮の149kgの方が多く、餓死者が出るとは思えない量である。実態は、生産量がその半分程度しかないので今も餓死者が出ているのである。
 なお最近の餓死は、資本を獲得したトンジュ(金主)が益々富み、一般人民の富が益々減少するという貧富の格差拡大によるものである。
 また、北朝鮮にとって食糧統計を水増しすることは、特権層に有利になる。まず統計上の収穫量に応じて特権層に配給すると、軍人や農民は食料が著しく不足してしまう。この特権層の一部の子弟がトンジュになっている。その上北朝鮮は、90年代後半の餓死者300万人を生存者としてカウントし、これにより一人当たり食糧を少なく見せ、食糧援助を国連機関に要請し続けている。国連機関の支援は、このからくりを無視して継続されてきたのである。
 なお、北朝鮮の市場で使われている貨幣は人民元になっている。デノミをやった後の価値のない北朝鮮のウォンには誰も見向きもしないが、党費を出す時はウォンでなければならないので、いくらかは必要ということである。
 そして、食糧の輸出入には制裁がかかっていないので、また中国の人民元経済になっているから、北朝鮮で例えば米が少し高く売れるとなると、中国から米が入ってくる。
 また、北朝鮮では配給が復活しておらず、計画経済は完全に崩壊したままなのに、一定の人々の生活は少しずつよくなっている。それは金正恩が闇市に干渉しなくなったので、例えば中国からミシンと布を買ってきて服を作って売る。トンジュなら、製品は書類上国営工場で作ったものとするという。資本主義が少しずつ広がり、民間に富が集まるようになった。
目次
1.はじめに
2.2017/18年度の食糧生産量
  ◆米は報告値157万トンの半分程度か
  ◆メイズの収量も報告の半分程度
  ◆じゃが芋の収量ももっと少ない
  ◆傾斜地・自留地生産を外し生産量を少なめに見せた
  ◆傾斜地の畑作は収奪への抵抗だった
3.北朝鮮は人口を水増して一人当たり食糧を少なく見せてきた
  ◆1995年から1998年まで300万人が餓死
  ◆人口と食糧生産量を水増し報告する理由
4.基準が異なる生産量報告で支援を訴え
  ◆国連機関は北朝鮮農業省の報告が過大であると分かっていた
5.国連機関の報告は水増し−北朝鮮の食糧生産
6.北朝鮮への食糧支援について
  
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