北朝鮮最新情勢と救出戦略ー東京連続集会92全報告
◆驚くべきことが起きている北朝鮮
西岡力(救う会会長)
今説明してくれたこと、特に北朝鮮の社会の変化ですが、私も最近色々な話を聞いているんですが、驚くべきことが起きているんです。中国が石油の輸出を減らしているのは間違いないようですが、しかしロシアから買っているようです。
ロシアは外貨を持ってこなければ売らないんですが、北朝鮮政府は最低限のものを買うために、ロシアに出している出稼ぎ労働者から奪った外貨でそれを払っています。しかし、金がそんなにないのでたくさんは買えない。
ロシアから買う時はタンクローリー貨車を使って石油を買ってくるんですが、満タンにならない。するとトンジュがお金を払って、その分自分が買うからガソリンを入れてきてくれと、個人でガソリン輸入をしているのです。そしてガソリンスタンドを経営し、全国にガソリンスタンドを持っています。
金正恩になってよかったことがいくつかある。北の住民たちが言っていることの一つは、国内旅行が事実上自由化になった。旅行許可証がなくても、列車さえ乗らなければ、公民証さえ持っていれば、摘発されないんです。
多分、列車の切符を買うためには、今まで通り旅行許可証がいるのだと思いますが、全国にバス網ができていて、バスに乗ればどこでも行ける。そのバスを運営しているのもトンジュです。お金を持っている人がやっている。それがガソリンも運用している。
アパートを作るために鉄筋が必要だと言いましたが、アパートを作って分譲するんです。分譲すると投資した以上に儲かる。だからトンジュが投資するんです。儲かった一部を保衛部などに賄賂で渡していますから大丈夫なんです。
そしてトンジュたちは、生活総和に出ます。最低限のことはやっているんです。本当は別のことを考えているわけですが、生活総和に出ないとあの社会では生きていけないから出る。お金さえあれば何でもできます。
ですから日本のテレビで平壌の風景を見ると、物があふれている。だから制裁は効いていないんじゃないかという議論がありますが、それは一方で金こそすべての原始資本主義が蔓延しているということなんです。
しかし問題は、今金聖●さんも言いましたが、金正恩が独裁システムを維持するために最低必要な外貨があるかどうかです(●=王へんに文)。彼はアパートの分譲はしていないわけです。保衛部や人民保安省を維持する、映像で見たような格闘技の人間たちの訓練をするためには一定の外貨が必要です。核・ミサイル開発にも必要だし、彼のぜいたくな暮らしのためにも必要なんです。
彼は今でもワインとチーズを好んでいるようですが、ぜいたく品の輸入は禁止されていますので、北朝鮮の名義ではなく、色々なルートで買っているんです。しかしそれは現金払いです。