救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

「人道的なふりをし始めた北朝鮮への対応ー東京連続集会78」全記録



◆対日接近に焦る金正恩、狙いはいまだ不明


西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授)


 今日はレジュメを準備しました。また新聞などのコピーも配布資料としています。
 先ほど飯塚さんたちが言われましたが、今朝起きて、「日本経済新聞」を見て、大変驚きました。「北朝鮮『拉致再調査の用意』」という1面トップ記事が出ていました。今月の5日と6日に非公式協議があったという報道です。このことについては、「東京新聞」が4月5日に一番先に報道しました。5日、6日にあるという協議について5日の朝刊で報道し、「日本経済新聞」は6日に報道しました。「産経新聞」も6日に報道したのですが、それ以外は報道しなかった。そして政府は、全くそんなことはないと否定していた、という状況でした。
 今日の記事は、非公式協議があったというだけではなく、何が話し合わせたか、その中味まで書いていました。非公式協議があったということだけで言うと、空港で張っていれば分かる可能性があるわけです。そういう情報があれば、マスコミ関係者や各国の情報関係者がカメラを構えたりして空港にいるんです。
 誰かの移動というのはそういう形で分かることもあるんですが、今日の記事はそうではなく、何が話されたかということが書いてあったのです。これは盗聴器でも仕掛けていなければ分からないことまで漏れているということです。
 そしてその後「TBS」が昼、ほぼ同じことを報道し、「共同通信」も午後報道しました。今日の国会で岸田外務大臣が「そんなことはない」と今も否定していますが、これだけの報道があるということは、5日、6日に非公式協議があったのではないか。そして議題として拉致被害者に関する再調査が出たのではないかと私は推測しています。
 大変展開が早くて緊張しています。私はご承知の通り民間の立場ですから、すべてのことが分かっているわけではありませんが、あの問題を20年ずっとウォッチしてきたので、何となく勘みたいなものがあるので、今どこまで進んでいると私が分析しているのかという話をさせていただいて、そして家族会・救う会、国民の運動として今何が必要かということを皆さんと一緒に考えたいと思います。
 レジュメでは、「対日接近に焦る金正恩、狙いはいまだ不明」と書きました。横田さんたちがモンゴルでウンギョンさんたちと会った。前後して国連の人権委員会の報告が報道され、飯塚さんがジュネーブで話をするというところを見ていて、今日の集会のタイトルである、「北朝鮮は人道的な振りをしてきたな」という印象を持ったのですが、どうもそれだけではないようだと今は思っています。
 もちろん、人道的な振りをしなければならないところまで国際的圧力で追い込まれたということはあると思います。昨日NGOの会合で、国連の人権報告者で今回のCOI(調査委員会)の報告書を書いた一人であるマルズキさんと面会しましたが、マルズキさんは日本政府に対して少し不満を言っていました。
 横田さんたちがモンゴルで面会できたのは、自分たちが大変強い調子の報告書を書いた、この圧力が効いたと思っているけれども、日本政府はそのことを少し過小評価しているようだ、というような話をしていました。
 もちろん、どう効いたかは金正恩に聞かなければ分からないことですが、人権報告書を書いた側から見ると、国際社会が北朝鮮の人権侵害に気付いた、そのことが圧力になったということです。
 昨日のマルズキさんの話で大変印象的だったのは、国際社会が、北朝鮮がすさまじい人権侵害をしていることを報告書で分かった。それだけではなくて、国際社会が分かったということを彼らが分かった。このことに大きな意味があると言っていました。
 今まで彼らは隠していたわけです。まさにナチス・ドイツのような、人類だれしもが否定しなければならないような「人道に対する罪」が、今も現在進行形で行われていることを、国際社会が分かったということを彼らが分かった。このことの意味は大きい。
 そしてその中の一つとして、拉致問題について、日本人拉致だけではなくて、朝鮮戦争の時の(韓国人)拉致から戦後の拉致、そして強制的失踪という枠組みで日本から北朝鮮に帰った在日の帰国運動も拉致の範疇に入れられました。
 その後日本人拉致、70年代後半に世界中で起きた拉致、そして90年代に中国で行われた拉致、これらが全部書かれました。
 彼らは「拉致は13人しかいない」と言っていたのですが、そうではないということが書かれたということを、彼らは今分かった。だからこそ人道的な振りをしたし、韓国に対しても、去年は軍事演習を理由に途中でどたキャンしたのに、今年は米韓軍の軍事演習の最中に、離散家族の再会をやった。
 そして、3月3日の国際セミナーに来てくださった方は、韓国の報告を聞かれたと思いますが、今回の離散家族の再会では、離散家族の枠の中で、拉致被害者が出てきている。寺越さんみたいな形です。朝鮮戦争中の拉致被害者も数人出てきました。漁民拉致の人も出てきました。
 そして「拉致じゃない」と言い、「幸せな暮らしをしている」と言った。でも思い出してください。寺越武志さんが日本のマスコミの前に出てきたのは、我々が「拉致だ、拉致だ」と騒いだ後です。わざわざ平壌で記者会見をしました。
 そして武志さんの生活水準が上がったのは我々が騒いだ後です。彼は亀城(クソン)という地方都市に住んでいたんですが、騒いだ後、平壌の職業総同盟副委員長になったとされています。本当になったかどうかは分かりませんが。そしてかなり広い部屋で、10何人の記者が入って、金容淳(キム・ヨンスン、元党書記)が来て誕生パーティができるような高級マンションに住んでいます。記者に見せているんです。幸せだから日本に帰れなかったと見せなければいけなかったのです。
 こちらが知ったということを彼らが知ると、彼らは対応するんです。人道的な振りということだけで言うと、日本人拉致の横田さんたちと並行して、離散家族再会で拉致被害者が出てきたということも起きています。国際社会の関心の高まりというのは大変強い力だと思いますし、これもヒューマン・ライツ・ウォッチなど国際NGOの人たちがジュネーブで人権問題として活動してくださったことや、韓国のNGO、特に脱北者者の人たちが繰り返しヨーロッパに行って北朝鮮の人権問題、脱北者者問題、政治犯収容所問題を訴えているんです。政治犯収容所問題はフランスなどで大変関心が高いわけです。
 我々はどちらかというとアメリカに行って、ワシントンとニューヨーク、特に国連の安保理事会に対して訴えをずっとやってきました。それは日本人拉致だけでなく、世界中から拉致していることを訴えてきたのですが、その二つの流れが今回ジュネーブで合流しました。
 安倍政権が去年、外交の重要課題として、人権理事会の下に調査委員会を作っていい報告書を出すことを求められ、外務省あげていい活動をしてくださってNGOがやってきた活動と、我々はニューヨークからジュネーブだったのですが、この活動がうまく合流して大変すばらしい報告書になったと思います。報告書の簡単な概要は国民大集会のちらしの後に書いてあります。
 それで北朝鮮が人道的な振りをせざるをえないところまできたということです。そして飯塚さんはついに、北朝鮮と直接やりあうところまでいってくださったんです。
 アメリカに行ったり、韓国に行って訴える時は、北朝鮮の人はいないんです。一応話を聞いてくれる味方の前で訴えるんですが、飯塚さんは今回、人権理事会そのものに出ました。日本政府代表団の一員として登録され、増元さんも登録されたんですが、飯塚さんは3分の中で1分半発言されたわけです。
 その中で北朝鮮は2回発言を遮って、「なんであいつが代表団の一員なんだ。発言する資格はあるのか」と言ったのです。しかし、事前にちゃんと名前の登録がされている。誰を代表団に入れるかはそれぞれの主権国家が決めるわけです。ちゃんと名簿に入っているじゃないか、ということです。そして日本代表部は事前に議長にも、「北がそういうことを言ってくるかもしれませんが、名簿にちゃんと入っています」と根回しをしています。 議長は、「そんなことは構う必要はない」と言って、彼らの異議申し立てを拒否したので、北の大使は途中で退席しました。人質を北朝鮮にとられている家族が、北朝鮮に直接非難される場所まで出て戦ったというのは、我々の戦いの中でも初めてのことです。飯塚さんは、先ほど(北の妨害は)「分かっていました」とおっしゃいましたが、気苦労は大変だったと思います。
 当初は英語でスピーチしなければならないという段階もあって、ワシントンでも救う会のアドバイザーであるスーザン古森さんと一緒に英語のスピーチの原稿を作って、飯塚さんに英語の発音の練習をしてもらおうかなと思っていたくらいでしたが、それも日本政府の努力で日本語でできるようになりました。
 そして今度は増元さんが4月17日にニューヨークでもたれる安保理事会の非公式協議で、政府の代表の枠で話をされます。北朝鮮はニューヨークに大使がいます。北朝鮮の大使は4月初めに記者会見して、「この人権騒動はアメリカが北朝鮮の政府を倒そうとしてやっている。アメリカがこんなことをやるんだったら、新たな核実験をするぞ」と言いました。そして「これはレッドゾーンだ。これを踏み越えたら何をするか分からないんだぞ」と言っているところに増元さんに行っていただくことになっていて、ちょっと心配になって、全体の雰囲気はどうなのかなと政府関係者の人に話を聞きましたが、「増元さんが行こうが行くまいが、その非公式協議が行われ政府は話をするんだから、北朝鮮が反論してくれば、それは日本政府が(対応する)ということになるし、安保理事会全体に対してとなるので何か変なことは起きることはないんじゃないでしょうか。それより家族がアピールすることに意味がある」という分析を聞かせていただきました。
 しかし増元さんも、国務省に行って次官補などと喧嘩するのは同盟国の意見の違いですが、北朝鮮は「人道に対する罪」を今も犯している国家で、その代弁人がいるところで話をするわけですから頑張ってきていただきたいと思います。


  
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