救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮に未来を描かせないためにやるべきこと‐東京連続集会85 全記録



◆日本人妻の調査は終わっていたが、国連総会決議阻止を優先

西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授) 風向きがおかしくなってきたのが9月からです。8月くらいまでは、日本側は北朝鮮が何らかの回答を出してくるのではと期待していたようです。しかし、8月末くらいから、私が漏れ聞いているのでは、北朝鮮は「拉致についてはまだ終わっていない。しかし墓の問題と日本人妻の問題で報告したい」と言ってきたそうです。
 8月末くらいに安倍政権は、「それはだめだ。拉致を出しなさい」と言った。それでにらみあいになっていると聞きました。今年に入ってから起きていることと同じことが、8月末から起きていた。
 ところが北朝鮮が突然9月になって態度を変えるんですね。9月に金正恩は、国連人権理事会の決議を受けて、国連総会で北朝鮮人権決議が審議されることを知って、これまでも10年間ずっと審議されていることを知っているんですが、去年は特別に、先ほど言いましたように、「責任者を国際刑事裁判所に訴追する」という文案が入っている。
 責任者は誰かというと金正恩氏です。そのことを知って、「すべての外交力量を動員してそれを防げ」と言いました。これは複数の北朝鮮関係者から聞いた話です。それで拉致問題よりも、国連総会での決議を防ぐことが優先になった。
 その時もし、生きている人を返すという決断がされていたなら、返した方が北朝鮮は人権問題に真剣に取り組んでいることを示せるので有利だった。その決断がなされず、別のことをしようとしていたからこそ、時間が先延ばしされた。
 もしかしたら、2002年に報告したものはそのまま正しいという方向の報告書を準備していたのかもしれない。それを国連総会の前に出したら、日本がもっと怒る。国際社会でも、拉致を含む人権問題がひどいという世論が高まる。だから1回目の報告を先延ばししようとしました。
 突然9月になってから、まだ4つの分科会がどれも終わっていないと言い始めた。それまでは日本人妻のことなどは言えると言っていたのです。なぜなら、特別調査委員会ができるのは、既に6月から調査をやっていました。日本人妻は一般社会にいますので、連絡がとれるんです。
 複数の日本人妻のところに国家保衛部が来て、「今どういう暮らしをしているんだ。日本に帰る意思はあるのか」という調査を6月からやっていました。これは事実です。特別調査委員会は関係ないんです。北朝鮮は先に日本人妻を返そうとしていたわけです。それも思想的に安全な人を返そうとしていた。
 そういうリストを作ってから調査をすると言い始めたんですが、それを9月に出すのを延期した。国連を優先したんです。しかし12月に、国連総会で人権決議が圧倒的多数で採択されました。但し、中国とロシアが反対しましたので、その後国連の安保理事会でも北朝鮮の人権問題についての正式な会議が始まりましたが、安保理事会で決議をするためには中国かロシアが1票でも反対すれば通らない。彼らは拒否権を持っています。
 その拒否権を持っている国が総会決議で反対しましたから、今の所、これ以上国連では進まなくなったわけです。もちろん国連が関心を持ったことは大変大きな進歩ですが、金正恩氏を刑事訴追するということは、当面できなくなった。
 念のため言いますが、国連の中で強制権を持っているのは、安保理事会だけです。国連総会は、全部の国が一票を持っていますが、そこで決められるのは、そうした方がいいという勧告だけです。制裁を決める権限はないんです。安保理事会だけが制裁を決められる。
 安保理事会は既に北朝鮮に対して制裁決議をしている。しかしそれには、拉致を含む人権は理由に入っていないという状況です。


  
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