救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際セミナー「日朝拉致協議の遅延をどう打開するか」全報告



◆特別調査委員会は欺瞞に過ぎない

張真晟 みなさんこんにちは。北朝鮮が特別調査委員会を作ったという発表がありました。それに対する日本の学会あるいは言論界の反応を見て、北朝鮮のことがこんなに分かっていないのかと思いました。
 北朝鮮は、特別調査委員会の権限が国防委員会から委任されたと、国防委員会の権限を強調しました。そしてそれは、あたかも北朝鮮が大きな変更をして、拉致問題に真剣に取り組むかのような印象を日本社会に与えたのですが、それは大きな間違いです。
 北朝鮮の実際の権力はどこにあるのか。国防委員会ではありません。また先軍政治だから軍部だということでもありません。党の組織指導部にあるのです。北朝鮮を正しく見ているかどうかの違いは、党の組織指導部についてよく分かっているかにかかっています。
 先軍政治だから北朝鮮の権力は軍が持っているという人たちに私は逆に質問したいです。北朝鮮の権力は労働者階級が持っていたと過去にいっていたわけです。それでは労働者階級が権力を持っていたのかということです。
 党の組織指導部が北朝鮮の核心的な権力機構であることを裏付けるファクトは何か。金正日の職責です。金正日は、金日成が生きていた時約30年間、金日成が党の総書記をしていた時、その次の位置にある党の組織担当書記兼組織指導部長をしていました。
 そして金日成が死んだあと、彼は党のトップ総書記に上がったのですが、組織担当書記兼組織指導部長の職位もそのまま維持しました。
 党の組織指導部は幹部の人事権、そして党の生活指導権、そして検閲権つまり粛清することができる権力、従って誰を粛清するか決めるのが組織指導部で、その下で保衛部が粛清を実行するということです。
 またどの決裁書を上げるかという決裁書総合権、そして党員登録権、首領警備権を独占しています。
 ですから特別調査委員会に権限を持たせるならば、組織指導部のもとに作らなければならないんですが、国防委員会の元に作った。国防委員会というのは実態がありません。ただ象徴的な組織です。過去に金日成が、権力はないけれども象徴だった時の金日成主席府と同じ概念です。
 そして、国防委員会の元に国家保衛部や社会保安部や保健省、国土管理省などの国家機関が入っていますが、何の意味もありません。
 一言で言うと、党組織指導部が(拉致被害者調査を)再決心することはあっても、国家安全保衛部の再調査はありえないのです。
 北がなぜ拉致をしたのか。人口が不足して人口を充当するために拉致したのか。そんなことはありえません。首領独裁体制のもとで、首領の命令のもとに、組織的に拉致をしたのです。ですからその名簿はすでにあるのです。
 それなのに全国的に調査をするなどと言っていること自体、日本をだまそうとする欺瞞にすぎないと思っています。
 また、特別調査委員長に徐大河(ソ・デハ)少将を置いているのも、日本側と格が合わない。社会保安省は一般警察で国家保衛部より格が下ですが、その社会保安省でも、強化局長や監察局長は星二つの中将です。つまり星一つの少将というのは局長の下の課長とか局参事官くらいにしかならないのです。
 ですから、国防委員会の下の保衛部が主軸になった特別調査委員会というのは欺瞞にしか過ぎない詐欺なのですが、日本国内では北朝鮮の欺瞞に追随して、むしろ拡散する傾向さえあると見えています。それは北朝鮮の権力を知らない学者たちが解説をしているからそうなっていると思います。


  
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