救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

「人道的なふりをし始めた北朝鮮への対応ー東京連続集会78」全記録



◆非常に会話に気をつけ、疲労困憊で帰ってきた


横田早紀江(横田めぐみ母)


 みなさんこんばんは。この度は私たちもびっくりするようなキム・ウンギョンさんと対面する機会が与えられて、楽しい時間が過ごせましたが、拉致されたたくさんの人がこんな時間をもてないんだと思いながら話をしました。
 私たちは、会うまでに北朝鮮のことを教えていただいたり、本を読んだりしていましたので、北朝鮮の国の中で、どのくらいのところで、どんな生活をしているのだろうかということをいつも心配していました。本当に食べられているんだろうかとか、少しは食べられてもかなりの労働をさせられているんだろうかとか、色々なことをいつも考えていました。
 この度ウンギョンさんの一家に会い、私たちが心配していたようなことはなく、北朝鮮ではかなり優遇されているんだろうなあと思うような食糧事情とか、着るもの、そして自分たちのいる家、元気な様子など、また主人と言われる人の礼儀正しい、きちんとした謙遜な態度など、全部がどこまで本当かというと悲しい問題になりますが、すべて全体的に考えて、私たちが心配していたような大変な毎日ではないという感じがあり、嬉しく思いました。
 私は、「日本からたくさんの人たちがきて、まだ帰れない人がお母さん以外にもたくさんいて、その人たちがせめてあなたたちくらいの生活レベルで過ごしていてくれれば、本当にそういうことが分かれば、日本で待っているお父様、お母様たちがどんなに安心なさるか分かりませんね」ということを話しました。
 「必ずお母さんは生きているんだとおばあちゃんは信じているので、たくさんの人たちと一緒にみんなが解放されて帰ってきた時に初めて日本と北朝鮮との仲もとてもいい関係になれると思っていますよ」ということも、はっきりと言いました。
 彼女を見ていて、やはり本当にかわいい孫です。ひ孫も可愛かったし、とても暖かい雰囲気の中で過ごさせていただいたんですが、やはり私たちは日本人で日本の教育を受けて日本でこうして待っている家族と、向こうで生まれて、お母さんのこともそう(死んだと)言われて、それを信じて生きているのか。
 本当はお母さんとどこかで分かり合っているところがあるのではないかなあと思うほど元気な様子を見ると、そういうことがあるのかなあといつも思いますし、今でもそう思っています。
 そういうことはなかなか口にはできませんし、張成沢のようなあんなに大事な人でもあっと言う間に暗殺してしまう国ですから、ひとこと彼女が間違ったことを言った場合、返ってあとの生活とかなりゆきを考えた時に、本当に聞きたいことは口には出せないだろうなという思いもありましたので、非常に会話に気を遣いました。
 でも日本として言っておかなければならないことがあります。それは日朝会談で宋日昊さんとか色々な人と会ってみなさんが協議をなさっても、なかなか言ったことの真実がなかなかトップの方には届いていないかもしれないと聞いていました。
 通訳なしで家族だけになった場合もあるんですが、そういう時は、「ちょっとカメラを写させてくださいね」と言って、食器棚の扉を開いてカメラをこちらに向けます。自分たちも写るんですが、そういうことがよくありました。
 そういう時は、カメラの向こうには北朝鮮のトップの人がいるんだろうなあと、そしてこれを見るんだろうなあと私は思っていまして、気づかれない程度に、「被害者家族も日本国民もみんなが、子どもたちが元気で生きていて、必ずみんなが一緒に帰ってくるんだと信じているし、みんながそういう楽しい時間が来ることを願っている」と、ウンギョンちゃんに話すような形でお話をしてきました。
 それがどんな風に向こうに伝わるか分かりません。私にとっては本当に楽しい時間でしたけれど、ただ楽しくて嬉しくてしょうがないということではなくて、初めから拉致問題が一番大事なことで、必ず解決しなければならないことを思い続けています。非常に会話に気をつけながら、言い過ぎたかなあと思ったこともあり、帰ってから大丈夫かなあと心配したりしています。
 ものすごい疲労困憊で帰ってきましたから、2週間ほど食事が入らなかったり、何を見ても食べたくない、何も作りたくないという中で一生懸命食事を食べました。ちょっと胃が変になりながら疲れ果てた今度の対面でしたが、大きな喜びは、ウンギョンちゃんそのものが、向こうの言葉通りかは分かりませんが、せっかく生まれてきても、「お母さんは死んじゃったよ」と言われて、そして前の夫と過ごすようなことになって淋しい思いをしただろうなあと私は思っています。
 そんな中で、どこまでが本当か分からないままですが、色んなことで気苦労したり、怒りももったりしながら成長してきただろうに、本当に会って話していても、素直で明るくて元気で、にこやかに笑って、めぐみちゃんのように、いやもっとほがらかかもしれません。とにかく明るい女性に成長していてくれて、元気な赤ちゃんが丈夫に育っていて、夫とも仲良くしていました。
 よく気がつく夫で、赤ちゃんがちょっとぐずっても、大変なもんですね。10か月で11キロとよく太って、おおきな赤ちゃんです。私は、抱けるかなあ、落としたら大変だといいながらちょっとだけ抱きました。ものすごくなついてくれて、にこにこ笑って、可愛い女の子で、けっこう長い間歩いていましたし、抱っこしたりして楽しんできました。
 そんな女性に成長して、きちんとした北朝鮮なりのしつけを受けながら、きちんと挨拶もしました。「あじいちゃん、おばあちゃん、遠いところ来てくださってありがとうございます」と、チマ・チョゴリを着て、夫婦で並んで、ひざまづいてお辞儀をされてちょっとびっくりしたんですが、帰る時も同じようにチマ・チョゴリを着て、「もう寒いから出てこないほうがいい」と言ったんですが、「いいんです」と言って、迎賓館の外の車のところまできてくれました。
 「おばあちゃんはお母さんのことを36年待ってきて、今も希望を持って待ってます」と言ったら、「36年!」と言葉をつぶやいて、それを夫の人が教えていました。そして、「どんな時でも希望を持って祈っていれば、こんなに11年も時間がかかっても会えたでしょう」と言い、また「必ず希望を持ってください。また会える時がくるから。今来月とか決めなくても必ず会える時がきたら会えるんだから。いつもそう思っているから。そう思ってね、希望ですよ!」と大きな声で手を振ったら、涙を流しながら、でもにこにこ笑いながら手を振って見送ってくれたのが印象的でした。
 悲劇の中でも、このように不思議な感動的なこともいただけるんだなあということをしみじみと思って感謝しています。
 訪朝の問題は本当に政治の問題で、私たちの孫とひ孫との情感の問題はまた別のところにありますから、それは私たちには難しくて、こうしたらいいとは言えませんが、これは政治家や外務省の方たちの仕事ですから、知恵を働かせて、本当に多くの人たちがまだ苦しんでいることをしっかりと捕えて、絶対にだまされないように。
 どんなうまいことを言ってくるか分からないですが、だまされることはないようにしてくださいとお願いをしたいと思っています。
 急な訪問のことで、多くの皆様に衝撃的な驚きを与えてしまったことを申し訳なく思いますが、政治性を抜きにして、本当におじいちゃん、おばあちゃんと家族として、肉親として会いたいなという向こうの気持がいっぱいあったようで、絶対に静かに会えることが基本だと思います。私たちも、とても苦しい中でそれを実現していくことができました。本当に色々とありがとうございました。これからも応援していだだけますよう宜しくお願い致します(拍手)。


  
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