第21回「安倍晋三総理大臣の辞任と拉致問題」
みなさんごきげんよう。救う会テレビ、救う会全国協議会会長の西岡力です。今日は令和2年8月31日午後7時半です。
ご承知の通り、安倍晋三総理大臣が先週の金曜日辞任を表明されました。「安倍晋三総理大臣の辞任と拉致問題」と題してお送りいたします。
大変驚きましたし、残念でした。病気とはいえ、内閣の最優先課題と言ってきた。「被害者を家族に会わせることが私の使命だ」と言ってきた安倍晋三総理大臣が、この問題を解決する前に辞任を表明されたということですので、残念でした。
そしてその残念、悔しいという思いは安倍総理大臣。本人が一番思ってらっしゃるのではないかと思います。
今年の2月に有本恵子さんのお母さんの嘉代子さんが、そして今年の6月に横田めぐみさんのお父さんの滋さんがそれぞれお亡くなりになった時、安倍総理大臣は自分の言葉で、「一緒に戦ってきた方が先に亡くなられて断腸の思いだ。悔しい」とおっしゃっていました。
私たちも、安倍総理大臣と一緒にずっと戦ってきたという思いですので、戦場で嘉代子さんが倒れ、滋さんが倒れ、今度は横にいた安倍総理は病気で担架で病院に運ばれていった。
しかしまだ戦いは続いている。この戦いに負けるわけにいかない、という風に思っています。
◆安倍総理が作った枠組みを活用して全被害者を取り戻してほしい
そしてですね、安倍総理大臣が私たちと共に戦って、第二次政権になって作ってくださった。
経済制裁と国際包囲網は大変有効です。安倍政権、そして私たちの戦略は繰り返しこのテレビでもいってきましたけれども、「先圧力、後交渉」でした。
圧力は本当に効いてきました。だから安倍総理大臣は去年の5月に、「無条件で日朝首脳会談をする」と言ったのです。
この圧力の国際的枠組みを崩さないで、これを活用して全被害者を取り戻してほしいと、次期政権に強く望みます。
◆国際圧力が聞いて北朝鮮は5重苦に追い詰められている
そのためにですね、今どれくらい圧力が効いているのか、ということについてお話しておきたいと思います。今北朝鮮は5重苦で追い詰められています。
経済制裁の結果外貨が無くなった。
39号室資金が枯渇し始めています。これは意図的に我々がやったことですが、それプラス神様が今年コロナを蔓延させた。そしてその結果中国との貿易を遮断されている。
そして三つめに水害が起きています。8月になって日本で集中豪雨を降らせた梅雨前線が朝鮮半島を北上して、集中豪雨が起きました。そして台風8号が来ましたし、また今沖縄にいる台風9号が北朝鮮を目指して北上しようとしています。
その上、最高指導者の健康不安がある。
そして最後に、住民と幹部の間で高まる不満と、反体制勢力の活動が活発化してきている、となります。5重苦だということです。
◆金正恩が史上初めて「圧力が効いている」と認めた
8月19日には金正恩氏が史上初めて、「経済計画目標未達成」、「人民生活が向上していない」と認めました。
8月19日、労働党中央委員会総会の決定書でこう書きました。「過酷な内外の情勢が持続し、予想できなかった挑戦が重なるのに合わせて経済活動を改善することができなかったので、計画された国家経済の成長目標が甚だしく未達成となり、人民の生活が著しく向上しない結果も招かれた」。
人民の生活が著しく向上しないというのは、悪化したという意味です。こういうことを認めたということです。
調べてみたのですけど、北朝鮮は1961年から経済計画を始めました。
第1次7カ年計画は延長して70年で「達成」を発表しました。「未達成」という発表はしていません。
その後6カ年計画を立てたのですが、1年前の1975年で「繰り上げ達成した」と発表しましたが、その後76、77年計画がなかったので、つまり6カ年計画を7年でやっと達成したのか、達成できなかったということです。
そして第2次7カ年計画が78年から84年ですが、85年2月に「達成した」と発表しました。しかし85年、86年は計画がありませんでした。つまり達成してなかったから調整期間が必要だったのと思いますが、達成してなくても達成してないと認めたことはないのです。
あるいは第3次7カ年計画、これは87年から93年ですけども、この時はですね、93年12月に金日成主席主導で、「縮小達成」と言いました。言葉の綾ですけど「達成できなかった」という意味で「縮小達成」と言いました。今回のように「未達成」とは言いませんでした。そして94年から96年を調整期間として、「農業、軽工業、貿易第一主義」とうたい上げましたがそれを言った金日成が
94年に死んでしまったということです。その後金正日時代は経済計画はなかったのです。
そして金正恩が2016年に第7回の労働党大会を開いて、そこで国家経済発展戦略、経済計画のように具体的な数字を出さず、非公開だったのですが、国家経済発展戦略を立てたということになっている。
ところが今回その5カ年計画が「未達成」だったと初めて認め、それだけではなくて「人民生活が向上していない」ということも認めたのです。
これを認めざるを得ないほど本当に経済が苦しいということです。
◆「金正恩同志の安寧と身辺安全が最優先課題」に
もう一つ反体制勢力についてはですね、実は北朝鮮の極秘と書かれた内部文献を入手しました。
これは2019年1月21日付の内閣の「金正恩同志が新年辞に書かれた経済政策を徹底的に貫徹するためについて」という文書なのですが、その第3ページに驚くべきことが書いてありました。
青で囲ったところですが、それを翻訳しました。
「敬愛する最高領導者金正恩同志におかれては、主体108(2019)年新年辞で提示なされた戦闘的課業を徹底して貫徹することに対して」という極秘文献です。
その中の一つ目に、「偉大な首領金日成同志と偉大な領導者金正日同志を主体の永遠の太陽として高く敬慕し」、その次「敬愛する最高領導者(これが金正恩のことです)の思想と領導を衷心からお従いすること」というのが第1の項目で、そしてその第1の項目の1が、金日成と金正日のことが書いてあるのですが、2番目にこうあるのですね。
これが先ほどの3ページです。「敬愛する最高領導者の安寧を徹底して保障し、経済事業で党の唯一的領導体制を一層徹底して立てること」「安寧を徹底して保障する」と書いてある。どういうことか。それが(1)に出てくるわけです。
「各省、中央機関と各道の人民委員会は敬愛する最高領導者同志の安寧と身辺安全をすべての方面から保障する事業を、すべての事業の最初の場所に置いて組織展開し、いつでも敬愛する最高領導者同志(つまり金正恩委員長)を自己の単位でもっとも安全にお迎えしてお喜ばせできるように準備していくこと」というのが金正恩について書かれたことの最初に出てくるわけです。
その後には発電所をどうするとか、列車はどうするとか、いろんなことを書いてあるのですが、第一に「金正恩同志の安寧と身辺安全をすべての方面から保障する。それ(事業)をすべての事業の最初の場所」、つまり最優先にしろと、最優先課題が金正恩の身辺安全だ。
これも護衛司令部とか国家保衛省に出された文書ではなくて、内閣に出された経済部署に出された文書でも身辺安全がトップにきている。
もうすでに2019年の段階でそうだったということです。先ほど言った5重苦で金正恩政権は追い込まれました。
◆安倍政権の残した業績を活かして全拉致被害者の一括帰国を
これが安倍政権の残した業績です。「先圧力後交渉」。圧力は最高度まで高まっています。この枠組みを使って活かして、全ての制裁と圧力は拉致と核を解決するために使う。
拉致被害者が全員帰ってくるまで日本の制裁、国際制裁は解除されない。支援はしないという今の枠組みを維持強化して、そして話合いをしましょうというメッセージ送り続けるという、この安倍晋三首相が残してくれた枠組みを使って、次の政権はぜひ全員致被害者の一括帰国を実現させてほしいと強く願っています。
今日は「安倍首相の辞任と拉致問題」と題してお送りしました。
ありがとうございました。
以上