救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

第18回「制裁とコロナで体制危機の北朝鮮-金日成大などで反体制運動、幹部らは核放棄論」



 みなさんごきげんよう。救う会テレビ、救う会全国協議会会長の西岡力です。
今日は令和2年8月6日午後7時半です。救う会テレビ18回目になります。今日のタイトルは「制裁とコロナで体制危機の北朝鮮?金日成大などで反体制運動、幹部らは核放棄論」と題してお伝えいたします。

◆金日成大学などで「金正恩打倒」の壁新聞

 まずこれはまだ日本ではどこにも報道されていませんけれども、私が最近聞いた内部情報によりますと、平壌の大学に「金正恩打倒」の壁新聞が貼られたということです。「金正恩打倒」、「青年に未来がない」というようなことが書いてあったということです。
 7月に金日成総合大学、日本の東大にあたるところですけども、あるいは金策大学これは工業大学ですね。日本で言うと東京工業大学みたいな大学です。この二つだけではなくて、もういくつかあったそうですけど同時に貼られた。
 それで国家保衛省が血眼になって今捜査をしているけれども、まだ捕まっていないということです。
 これは金日成大学の記念切手ですけども、金日成の若い頃の銅像が建っている。 北朝鮮の体制のシンボルのような大学に反体制の壁新聞が貼られた。これまで落書きがされるということはありましたけども、壁新聞が貼られたというのは初めてのことです。それも同時にということですから、大学の横の連絡がある反体制組織があるということですね。

◆その背景に飢饉が深刻化

 前回も申し上げましたけど、その背景には制裁の結果、平壌住民と幹部らの配給もできなくなったという状況があるということです。
 実は金正日は、1990年代の後半大飢饉が起きて300万人以上が餓死した時ですね、「平壌住民と人民軍がいれば体制は安泰である」と言っていたのだそうですが、その平壌住民に配給ができなくなっているという点で90年代の後半よりももっと飢饉が深刻化しているのではないかとも言えると思います。

◆ノドンダン(労働党)よりチャンマダン(市場)がいい

 ここでですね、北朝鮮経済の4重構造について少し説明したいと思います。第1経済、これは政府が管轄する計画経済ですね。北朝鮮は表向き社会主義国家ですから、市場経済ではなくて計画経済の国なのですが、実は国営工場などはほとんど止まっています。計画経済は機能していないということです。
 そして70年代に第2経済というものを金正日が作りました。計画経済の外に第2経済委員会という組織を作って、そこが軍事産業を管轄する。核・ミサイルもそこが作っています。そこが商社や銀行を持っていて対外貿易で外貨を稼いで、そして軍事産業を動かしているとのことです。
 しかしそこも外貨がなくて、実は同じ70年代にですね、第3経済労働党の39号室が管理する統治資金、あるいは個人資金、機密資金なのですけれど、当時は金正日のものだったのですけど、今は金正恩の統治資金の経済があります。
 私はこの間ずっと40?50億ドルあると言ってきたのですが、元日本経済新聞のソウル支局長の山口真典さんは著書「北朝鮮経済のカラクリ」の中で、300?500億ドル説を出しています。とにかく膨大な外貨があったのですね。
 ところが昨年の春に数億ドルまで枯渇してしまった。そして現在は1億ドルを切っているという情報があります。
 第4経済はチャンマダン(野外市場、闇市場)経済で、住民たちの大多数が配給に頼らないでこの市場の商売で食べています。北朝鮮では今このような言葉があるのですね。北朝鮮には党が二つあると。「党」と言うのは朝鮮語で言うと「ダン」なのですね。ノドンダン(労働党)とチャンマダン(市場)。「ノドンダン(労働党)に頼ったら飢え死にしてしまう。チャンマダン(市場)の方が良い」という言い方がされています。

◆チャンマダンでも食べていけなくなった

 しかしそのチャンマダン(市場)でも食べていけなくなった。平壌住民や党や軍政府の幹部たちへの配給が今滞っているという状況なのです。その原因は制裁で39号室の外貨を絶つということを行ってきたからです。
 2017年に厳しい制裁、国連安保理事会の制裁が決まりました。その結果ですね、2016年には26億ドルあった北朝鮮の輸出が、2019年には2億ドルになりました。外貨がどんどんなくなっている。
 石油の輸入もそれにつられて激減しています。外貨が無いから買えないわけです。2019年に18万バレル輸入していたのだそうです。これは国連の制裁委員会の報告に出てくる数字です。1年間ではありません。1月から5月までです。
 1月から5月まで18万バレルだったのが、今年1月から5月まで同じ時期8.2万バレル半分以下になっているということです。それだけ必需品も買えなくなっている。外貨が本当にないのです。

◆老人の乞食(コッチェビ)も出現

 それで今ですね、全国にコッチェビと言われる乞食が多数出現しています。乞食(コッチェビ)というのは子供の乞食のことを指していたのですけど、実は今老人の乞食(コッチェビ)もたくさんいる。(北朝鮮では)原則として60歳で定年です。その後も年金なんかないのですね。老人は食べられないのです。家族が老人の面倒を見られなくなって、家を出されて、乞食(コッチェビ)になっているというケースが結構多いようです。
 子どもたちの乞食や老人たちの乞食は、海岸は比較的暖かい、そして海に行けばまだ貝を拾ったり海藻があったりするということで、食べ物もある海岸都市に群がっていると聞きます。
 金正恩がコッチェビ管理を指示した。6月の上旬に金正恩の指示が出て、「コッチェビ常務の役割を高めることについて」各道に下達したということですけども、これは常務(サンム)、朝鮮語でサンムと言うのですけども、平壌病院の建設についても常務(サンム)が出てきましたよね。
 これは「常務」というのは朝鮮の言葉で日本で言うとタクスフォース、特別チームになります。
 コッチェビ常務のメンバーは、道市郡の党委員会・安全部・青年同盟・女性同盟からメンバーが出ています。そして「駅と駅前、旅館周辺、路地裏などに群がっているコッチェビを解散させて、各道にコッチェビの宿所を作って、性別、年齢別に収容保護せよ」という指示が出たのですが、しかし、指示はするけれども、「食料とお金は各道で負担しなさい」となっている。
 今食うや食わずの中で平壌総合病院を作るから人民元をみんな寄付しろとか、そういうことをずっとさせられているわけです。そういう中でコッチェビの管理までできないということで、この指示は出たけれども保護はされていないというのが実情です。
韓国の専門家のユーチューブのサイトにコッチェビの写真が出ています。
これは老人の乞食の写真です。 これは4月の中旬、金正淑郡ですから、中朝国境で撮られた写真で、老人の乞食がいるということ、何か拾って食べようとしています。
 それからですね、これは5月中旬の両江道恵山のところの子どもですかね子どものコッチェビです。6月、平安北道の50代の女性のコッチェビが何か拾ってゴミを漁ってるところじゃないかと思います。

◆北朝鮮の体制崩壊の危機が来ている

 北朝鮮の体制崩壊の危機が来ているということです。7月下旬に北朝鮮の幹部が親しい脱北者にこういったそうです。「今や全体的に滅亡直前だぞ」。
 あるいは先ほどのユーチューブのサイトをやっている人はですね、30年以上北朝鮮分析を続けてきた韓国の国家情報院元幹部ですけども、その人の分析でも「外貨が枯渇水準だから中国から生活必需品も買えず北朝鮮全体が麻痺する。ほとんど体制崩壊の段階に来た」と言っている。

◆「核を放棄して生き残るべきだ」という議論が活発化

 しかし金正恩・与正は核を放棄しないで危機を意図的に作って体制管理をしようとしています。6月には脱北者のビラが落ちてきたということを口実にして、韓国に対して挑発をして緊張を高めた。
 7月末からは、前回お話したように韓国から来た越南者元脱北者がもう一度戻ってきた。その人のためにコロナが蔓延する危険があると言って緊張状態を作って、危機を感じさせようとしたということです。
 しかしそういう中で、「核を放棄して生き残るべきだ」という議論が活発化しています。平壌市民は「核ミサイルが住民を食わしてくれるのか」と言い合っている。
 シンガポールに金正恩が行った時などは「核・ミサイルができて、アメリカが頭を下げてきた」とみんな喜んでいたそうですが、「結局何もなかったじゃないか」とこういう議論になっています。

◆核を放棄したら拉致問題へ

 あるいは幹部たちは「核を放棄して経済を再生するということがいいのではないか」と言い始めている。未来のエリートの大学生が、反体制運動を始めたわけですから、現水準の厳しい制裁を維持する、そして核を放棄させる。
 核を放棄させてそれだけでは経済支援は来ませんから、核を放棄するのであれば日本から経済支援を取ろうとする。当然(拉致を議題にした)安倍総理と金正恩の会談ということになるわけです。
 アメリカは核だけで北朝鮮と譲歩はしない。拉致も一緒に解決すると今強く言っていますから、北朝鮮が核を放棄して経済を再生すると決断をした時がチャンスになるわけです。
 そのためには現水準の制裁を維持することが絶対必要です。韓国の文在寅政権と中国の動きを厳しく見張るべき時だというふうに思っています。
 今日は18回目の救う会テレビで、「制裁とコロナで体制危機の北朝鮮-金日成大などで反体制運動、幹部らは核放棄論」と題してお伝えいたしました。

 以上です。ありがとうございました。


  
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