最新の北朝鮮情勢と拉致問題-東京連続集会110
◆与正は金正日時代の古参幹部を粛清
西岡力(救う会会長)
金与正は2016年くらいから金正恩体制を維持するために、金正日時代の古参幹部の粛清を裏でしてきました。国家保衛部の金元弘(キム・ウォンホン)を粛清し、軍の総政治局長の黄炳瑞(ファン・ビョンソ)を粛清し、一番信用していなければならない護衛司令部の司令官を処刑し、そして党の中の党と言われる組織指導部の部長を今年2月解任し、彼女が第一副部長になった。
表向きは党の序列二十何位くらいの序列ですが、実は古参幹部をどんどん粛清していく役を果たした。但し表には出ないで、金正恩の名前でやった。最側近として老幹部たちを粛清する役割を果たした。
粛清の背景には、例えば護衛司令部について言いますと、護衛司令部の金正恩の別荘を管理していた幹部の中に、GPSで位置情報を発信する装置が入っていた。多分米軍に金正恩がここにいるということを教えていたのではないかと思います。
1017年秋、米軍側は、「我々は金正恩が今どこにいるか知っている」という情報を流した。そして「斬首作戦をする」と言いました。実際に護衛司令部の幹部のスマホにそれが見つかって、自宅を捜索したら多額の現金、ドルが出てきた。
あるいは朴槿惠政権の末期、朴槿惠政権のKCIAが政治警察の国家保衛部と組んで、金正恩暗殺をしようとしたということが発覚した。国家保衛部の15人が処刑された。朴槿惠政権の一番最後のKCIA部長、国家情報院長李炳浩(イ・ビョンホ)さんは、北朝鮮が名指しで、「あいつは最高指導者を暗殺しようとした人だから我々に送れ」と北朝鮮が言ったら、文在寅政権になって逮捕された。今刑務所の中です。
「北朝鮮の中に反体制組織があるならその人たちと連携するのが私の職務だ」と言って、北朝鮮の反体制組織を利用しようとしたことを認めた。そういうことが起きているので、信用できるのは与正しかいなくて、与正を側に置いて、「あいつも裏切るのではないか、こいつも裏切るのではないか」と粛清をしているのです。
しかし今年になって、自分の健康に自信が持てなくなって、隠れた陰としての粛清も、処刑人だけじゃなくて表に出て権力の代理人を(与正が)したということだと思っています。
しかしその与正は今年30歳です。韓国政府の資料では88年生まれとなっていますが、与正と同じ時期に金日成大学に行った人の知り合いから私が聞いた話によると、89年の9月生まれだと。
それが権力の代行者になって、韓国を脅してやれと言って、脅しても韓国は対抗してこない、アメリカはひょっとしたらと思いつつ、チラシを撒こうとした。ドローンを使うところまでやってしまったので、「これは危ない」と誰かが言って、金正恩から阻止された。若いから経験がなくて、危なっかしい。
しかし、金正恩からしたら、それ以外の人たちはもしかしたら中国とつながっているかもしれない、韓国とつながっているかもしれない、アメリカとつながっているかもしれないと思っているわけです。
実際に、張成沢(チャン・ソンテク)を処刑した理由は、張成沢が金正日が死んだ後、特使として中国に行って、胡錦涛(主席)と会って、「改革開放みたいなことをやりたい」と。しかし、金正恩は頭を抱えた。(張成沢は)「金正男を使いたい」というようなことを言った。その情報を中国共産党の幹部周永康が金正恩に教えて、それで張成沢が裏切ったということで殺されたし、金正男も殺した。
中国も自分を排除しにくるかもと思っているわけです。アメリカは「斬首作戦」だと言っている。韓国もKCIAが暗殺未遂事件を起こした。だから信用できないから与正しかいない。