救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際シンポジウム「北朝鮮の現状と拉致被害者の救出」全記録




0-1 総合司会 櫻井よしこ氏(ジャーナリスト)



今、金正日の容態が定かではありません。6か国協議も今停滞しています。その中で、今、日本にとって最も重要な目的であります、日本の拉致被害者の救出をどのように進めていくことができるのか。具体的に話合うべく、今日は、専門家の方々をお招きしました。これより、3回目の国際シンポジウムを開かせていただきます。

政府に拉致問題対策本部が設置されて足かけ3年になります。多くのことがありました。けれども拉致問題については、私たちはまだ、具体的な手がかりも確信も持てないでいます。ただ、北朝鮮に生じたこの大きな変化を賢い方向に使いながら、私たちは、必ず拉致問題を解決していきたいと決意を固めています。
今日は、家族会・救う会・拉致議連の3つの組織の共催で国際シンポジウムを開くことになりました。政府の拉致問題対策本部も、外国からのお客様の招請に力を貸してくれました。これから夕方まで、関係者そして専門家の皆様の知恵を結集して、何をしていったらいいのかという具体策にたどり着くことを願いながら、開始させていただきます。


0-2 日本国全体が怒っているという状況を作り上げないと


飯塚繁雄氏(家族会代表)

いつもながら皆様の真剣なお考えと行動、ご支援、本当にありがとうございます。今年の初め、「今年こそは」と我々は期待もし、活動も行ってきましたが、今日、また「来年こそは」と言わなければなりません。この長くかかっている期間、私たちも、もちろん当の被害者たちも、「今か、今か」と助けを待っています。この時間もそうです。そして私たち家族もだんだん歳をとっていきます。そういう経過の中で、残念ですが、家族の帰国を待ちわびながら、それが果たせず、この世を去っていく方も出ています。

そういう状況を目の当たりにしますと、本当に一刻も早くこの問題を解決しなければならないというさらなる強い意思が生まれてきます。昨今、この問題を取り巻く多くの状況や、情報が目まぐるしく変わってきています。私たちは、当然ながら、政府にこの問題の解決をお願いしていく、要請していくしかありませんが、何としてもこの問題については、日本国全体が怒っている、という状況を作り上げないといけないという決断と、そのための活動が必要です。

ここに外国のお客様もお呼びして、国際シンポジウムを開催し、この場で討議し、どう具体的に動いていくべきかということにつなげていきたいと考えています。

先日の6者協議の流れを見ましても、全く茶番としか考えられない状況です。こういう状況を突破するために、具体的に何をしていくかを皆さんとともに考えたいと思います。日本国政府がリーダーシップを取るべきですが、外国のご支援も必要です。言ってみれば、総力を挙げて「北」に向かい、この問題を解決すべく、強く要求する形を早く取り、それが少しずつでも進展していくことを私たちは期待していますし、注目もしています。

これからどのくらいかかるか分かりませんが、我々は絶対に被害者を取り戻すのだ、愛しい家族を絶対にこの胸に抱くのだという気持ちは変わりません。従いまして、国民の皆様も、自分たちの問題だ、また国の大きな問題だと意識していただき、一緒に闘っていただきたいと思います。今後、状況が変わるごとに、一喜一憂する場面があるでしょうが、喜ぶ場面がなく、状況が段々不利になっていくような気もします。さらなる皆様のご支援を宜しくお願いいたします。


0-3 拉致は現在進行形のテロ



平沼赳夫氏(拉致議連会長)

本日は本会議が2回あり、海上輸送の問題で記名投票がありました。私は、記名投票を済ませて、議場は閉鎖になっていましたが、議長席の後ろから抜けて何とか間に合いました。

今日は、国際シンポジウムの皆様のご意見を反映して、拉致問題を一刻も早く解決したいと思っています。アメリカが、北朝鮮のテロ支援国指定を解除するということになり、私たちは憤りました。アメリカは核の無力化、核施設の無力化を言っている。テレビでご覧になったように寧辺にある古い古い施設を爆破するが、問題の核爆弾や、核を運搬するミサイル、ウラン濃縮問題、プルトニウム問題には全く言及しなかった。

もう一つは、アメリカは、6か月間テロ行為がなかったらテロ指定を解除すると言った。私たちは昨年11月、ワシントンにまで行って、「あなたたちの言い分はおかしい。日本を初め拉致の被害を受けた国々にとっては現在もテロ行為が継続しているのだ。あなたたちには6か月間ないかもしれないが、そのことを判断の尺度にするのは全くおかしい」と言った。また、「肝心の日米安保条約にもひびがはいるよ。そういう覚悟でやるのか」と言った。

アメリカは、その年には解除しませんでしたが、ご記憶のようにテロ支援国指定を解除しました。アメリカは、超大国であったのが、昨今の情勢で普通の大国になってしまった。こういう観点から付き合っていかなければならないと思う。

また、表面的には出てこない理由ですが、北朝鮮の国土にはレアメタルという希少金属、マンガンやボーキサイトが出る。21世紀の産業であるIT産業に役立つ稀な金属が大量に埋蔵されている。既に地続きの中国は触手を伸ばして利権的な活動もしている。アメリカも財界に押されて、そういう動きがあったに違いないと思う。

超大国から普通の大国になり、また経済的な要求によって、北朝鮮に対する尺度を変えてきたのではないか。こういうことで、本当に被害を受けている拉致問題の尺度を変えてもらったら困るわけで、今日の国際シンポジウムでも色々なお話があると思いますが、一丸となってお役に立たなければならないと思っていますので皆様のご支援を宜しくお願いいたします。


0-4 世界遺産に等しい金独裁王朝


藤野義昭氏(救う会会長)

拉致問題について最近、このように考えています。まず、北朝鮮の側に、世界遺産ともいうべき金独裁王朝があり、わが国にも世界遺産に等しい平和憲法がある。拉致問題の背景には、金独裁王朝と平和憲法の争いがあり、それで解決が難しくなっているのではないかと思います。

拉致問題、核・ミサイル問題。ここに来て、6者協議は頓挫した状態です。ではこの時期に我々はどうすべきか。そこで今日のシンポジウムになったわけですが、私は、拉致問題を考えるに当たり、核もミサイルももちろん大事だが、拉致問題は性質が違うと思います。どこが違うかといえば、いずれも安全保障問題ですが、拉致問題はれっきとした犯罪です。現に行われている犯罪です。核やミサイルの開発は犯罪とは言えません。大きな問題ではありますが、性質が違うわけです。

この拉致問題については、諸外国の協力を得るのはいい。現に行われてきていると思います。しかし、最後は日本の問題だから、日本政府がなんとかして解決しなければならない。そのために、我々もできることをして、なんとか来年こそはよい歳が迎えられるよう頑張っていきたいと思います。

6者協議を見ていると、北朝鮮は果たしてどの程度まいっているのか。経済制裁もありました。国連では北朝鮮の人権非難決議がありました。しかし、北朝鮮は、5者を相手にしてのらりくらりと切り抜けています。北朝鮮が一番困ったのは何か。韓国から飛ばした風船ビラではないでしょうか。この風船ビラに対しては、北朝鮮は異常な程の反応を示しています。今でも軍隊を出動させ回収しています。

では、我々は韓国に乗り込んでたくさんの風船ビラを飛ばすしか方法がないのか。そんなことはないと思います。それよりも有効な手段を、今日集まったみなさんが知恵を集めて出してくれると思います。国民の怒りを大きな力、バネに変えて、何としても来年には拉致問題を解決するんだと、そういう覚悟で今日は皆さんにお帰りいただきたいと思っています。
  
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