救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

2回目の米朝首脳会談と北朝鮮内部事情-東京連続集会報告



◆米国がICBMの廃棄に対し制裁を解除する可能性も

島田洋一(救う会副会長、福井県立大学教授)
 米朝の動きの大枠については、私が3日前の産経新聞に書いたコラムが配布されていますので見てください。スペースの関係で書けなかった重要ポイントをお話したいと思います。
 西岡さんが最近取沙汰されているシナリオを紹介されましたが、韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特別補佐官がエジプトのカイロで、最近それと同じようなことを言っています。
 文正仁というのは北のエージェントのような男ですが、北とも相談の上で観測気球を上げたのではないかと思われます。まず寧辺の核施設とICBM(大陸間弾道ミサイル)を北朝鮮が廃棄する。それに対しアメリカが経済制裁を解除する、と。韓国は明らかにこの方式で進めようとしている。
 アメリカの方は核施設の全リストを出せという要求をこれまでしてきたんですが、北朝鮮側が、「それはイコールアメリカ側の爆撃のターゲットリストになるじゃないか。だから平和な状況が訪れるまでは出せない」と言う。
 とにかくアメリカは本土を安全にする、ICBMの廃棄から進めるということになっているようです。このシナリオは中国もロシアも公然と支持してきたものですし、またアメリカの国内でもロバート・ゲイツ元国防長官がそうです。彼はブッシュ、オバマ政権で国防長官をやっており、共和党、民主党に人脈がある穏健な大御所ですが、ゲイツなどは同じような案を出しています。
 そして露骨に、20発ほどの中距離核・ミサイルは残してもいいのではないかとか勝手なことを言っていますが、アメリカはICBMの廃棄に集中すべきだという意見です。
 そして国務省のOB等も経済制裁緩和のカードを出しながら進めるべきだという、クリストファー・ヒル的な発想を公然と出しています。国務省は体質的にそんなものでしょう。
 経済制裁緩和にずっと反対してきた中心人物がジョン・ボルトン安全保障担当大統領補佐官ですが、彼は今ベネズエラの情勢が極めて混乱していて、そこにかなり時間をとられています。さらにイランからの米軍撤退問題があり、ベネズエラと中東に時間をとられています。
 彼も米朝首脳会談が近づいてきたら北朝鮮に関心を向けるでしょうが、今は留守になっている感があります。
 交渉担当をしているスティーブン・ビーガン氏は元々、東ヨーロッパが専門で、北朝鮮にだまされたという直接の経験がないので、ちょっと不安な面もあります。彼はジェシー・ヘルムズという上院のものすごい外交委員長のスタッフだったところから経歴を始めた人で、国務省とは対立する立場で、保守的な人物であることはまちがいないんですが、どうしても交渉担当になると、決別させたくないという心理が働きます。ビーガン自身は北朝鮮に関して文章を書いたこともないですし、就任以降公に発言したこともないので、はっきり言ってどの程度頼りになるのか分かりません。
 ということで、日本から経済制裁緩和カードは切るなということを連続的に言っていかないと、現在四面楚歌の状態というか、みんなが危ういシナリオに流れる方向にあると思います。頼りになるボルトンは他の問題に時間をとられています。


  
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