救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際セミナー「激動する南北情勢の中で拉致問題を考える」全報告



◆アメリカの動きも細かく見て、拉致問題解決に活かせ

古森義久(麗澤大学特別教授、ジャーナリスト)
 みなさんこんにちは(拍手)。私は、東京での活動と同時に、まだワシントンを拠点としてジャーナリストとしての活動も続けています。その体験をもとにして、今のアメリカの状況がどうかということを報告させていただきます。
 まず総括として言うと、今の状況はアメリカの政治が最も混乱しているように見える、最も激動が起きつつあるように見える状態で、色々なことを読むのが難しい段階にあると思います。
 しかし結論を先に言うと、その中で北朝鮮問題に関しては、超党派で、これまでよりも厳しい態度が形成されつつある。特に注目すべきは、北朝鮮問題といっても色々あるわけですが、従来の核やミサイルに加えて、人絹弾圧に対する糾弾が、民主党・共和党の枠を超えて超党派で広まり、かつ強くなってきています。
 こういう状況は日本の拉致問題の解決を考える時には決してマイナスではない。もちろん島田さんが言われたように、拉致問題の解決は日本が主体的になってやらなければならないけれども、同盟国であり、超大国であるアメリカがどういう動きをとるかは、我々にとって非常に重要である。今の状況は、かなりプラスの環境ができつつあります。
 その上で、今のアメリカが北朝鮮に対して、どういう姿勢をとっているのか。5つの柱に分けてご報告します。
 一つは、トランプ次期大統領自身の北朝鮮に対する認識はどんなものか。手がかりになる言葉はあまり多くないんですが、今年1月、北朝鮮が核実験をした後、彼が発言しています。それまでのオバマ政権、そしてヒラリー・クリントンさんが国務長官をやっていた時期のアメリカの北朝鮮政策は、「戦略的忍耐」、ストラテジック・ペイシャンスという言葉でくくられる対応でした。
 これに対し、「何もやっていない」と激しく批判しました。そして「けしからん」と。その時に、「金正恩というのはマニアックだ」というようなことを言いました。「だけど政敵を排除する容赦のなさは大したものだ」と言った。
 そして5月になって、「ロイター通信」のインタビューを受けて、この時は、「北朝鮮の核開発を阻むために私が金正恩と直接話をする」と。「ハンバーガーでも一緒に食べながら話す」と言った。同時に、「中国に圧力をかけて、中国に金正恩に対する圧力をかけさせて核開発をやめさせる」、「そういう力をアメリカは持っている」と言った。
 金正恩と1対1で会うというようなことは、側近も含め、あらゆる方面から批判を受けて、それをひっこめた形になりました。非常に言葉が少なくて、手掛かりは薄いけれども、ここに来てはっきりしてきたのは、北朝鮮の核問題、人権問題が国際的に大きなトラブルを起こすということに対する激しい反発、強い反発がトランプさんにはある。
 この1、2週間、トランプ政権を形作ろうとしそうな人たちが集まってきていますが、そういう人たちの顔ぶれを見ても、北朝鮮に対しては厳しい態度をとっていくだろうという大きな構図が浮かび上がってきました。
 2番目に、アメリカで超党派の、北朝鮮の人権弾圧への非難が広まってきたことです。例えば、11月29日、テキサスにあるブッシュセンターという前々大統領を記念してできた研究機関で大きなセミナーが開かれて、そのタイトルが「北朝鮮での自由についてのフォーラム」という会議です。その時の副題が、「暗闇の果ての光」です。
 それはなぜかというと、やはり北朝鮮というのは人権問題で真っ暗闇の状態にあるけれども、その先に何か光がちょっと見えてきたのではないかということです。ここで北朝鮮に対する新しい戦略、政策を、民主党、共和党両方の専門家たちが集まって打ち出した。
 またワシントンを中心にしてこの7月に、たくさんの研究機関が集まって、新しい組織が旗揚げをした。これは「境界線を超えて」、ビヨンド・ザ・パラレルで、38度線を超えてという意味です。
 これは北朝鮮の動きをいくつもの研究機関がずっと、より詳しく追いかける専門家たちが集まって研究していくものですが、その大前提が今までの38度線を超えている。つまり南北統一を強く打ち出しています。
 今の状態から統一にいくには、もう一つ大きな関門があって、今の北朝鮮の政権が変わらなければならない、あるいはなくならなければならない。そこで当然政権崩壊の段階が出てきますが、それには触れずに統一を言い始めた。
 さらに9月には、外交関係評議会が政策提言の報告書を出しました。「北朝鮮に対する先鋭的な選択」、より鋭い選択ということですが、この中で、人権弾圧について非常に大きな比重で非難の対象にして位置付けています。
 議会でも、こういう民間、超党派の提案は、核・ミサイルで終わりという感じがあったのですが、人権に大きな光を当てるようになってきた。
 3番目に、これは既に話が出ましたが、デヴィッド・スネドンさんの失踪に関しての決議の採択です。9月28日に下院で全会一致で採択され、上院でも採択されそうです。この結果どういうことが起きるかというと、アメリカの政府の中で、国務省、CIA、軍当局が直接、具体的に動いて、スネドンさんが今本当に平壌にいるのかを調べなければいけない。これは大きなことです。
 1つのきっかけになったのは、9月中旬に韓国から出た情報で、「デヴィッド・スネドンさんは今平壌にいて、子どもが二人いる。金正恩に英語を教えている」という情報です。これは全世界のメディアに流されました。
 この決議案ができたもう一つの背景は、古屋圭司元拉致担当大臣が、あまり知られていないかもしれませんが、ワシントンに頻繁にシャトル外交をして、議会に何回も行って議員にアピールしたことです。もちろん人道主義という立場からということが大きいでしょうが、日本人拉致ということも、アメリカで拉致問題が動けば、日本人拉致問題の解決に大きく寄与するということから出た動きだと思います。
 4番目は制裁の強化。アメリカ全体として制裁を強化しています。今年2月にまず議会が「北朝鮮制裁強化法」というのを作って、オバマさんもびっくりするほど早く署名しました。3月に財務省が、その法律に基づいた制裁の強化をしました。これは簡単に言うと、北朝鮮のビジネスをやる組織、金正恩体制にとって貴重な外貨を稼ぐための活動に対して制裁をかけた。
 新しい制裁は、セカンダリー・ボイコットとかセカンダリー・サンクションというのが特徴で、つまり二次的ですが、北朝鮮の制裁対象になる機関と取引きをした機関にまた制裁をかけるものです。これまでにない強い措置です。
 そして7月に、アメリカの財務省と国務省が制裁に関する新たな措置をもう一つ追加して、金正恩自身を人権弾圧の最大の責任者だと断定して、改めて制裁の対象であることをはっきり謳いました。
 同時に、北朝鮮の最高機関である国防委員会、あるいは国家保衛部、人民保安部などという5つの組織を制裁の対象とした。制裁が有効かどうかは議論の余地がありますが、アメリカがかつてなく制裁を強化してきたことは間違いない。
 5番目の要素は、「レジーム・チェンジ」、政権を代えること、その背後には政権崩壊、政権打倒という言葉がありますが、こういう選択肢がアメリカの全体の選択肢に残っている。
 共和党政権、トランプ政権になってこれが強くなっていくかもしれない。非常に微妙な問題ですが、軍事力を使うことにつながるわけですから、非常に慎重に言葉を選んで、このことを語っている。敢えて語らない場合が多いんですが、「金正恩政権が崩れれば人権弾圧問題も解決するのではないか」というような発想で語られています。
 例えば先ほど言った外交関係評議会の報告書の中に、こんな記述があります。「金正恩政権の崩壊は数種類のシナリオのもとで起こり得る。政権の崩壊は北朝鮮の周辺諸国に予期せぬ重大な結果をもたらす」と。当然拉致され方々への影響もあるわけです。
 トランプ政権になって、またこのレジーム・チェンジが力を持つかもしれない。これもいくつかの例証があります。例えばトランプ政権の防衛問題の顧問をやっているジム・ウールジーはCIAの元長官ですが、この人はずっと一貫して、「核兵器問題を解決する方法は一つしかない。それは拠点攻撃だ」と。軍事施設を破壊してしまうことだと今も言い続けています。
 こういう人たちがトランプ政権に集まってきている。実際こういうことになると戦争になって、大変なことになりますから、戦争だけは絶対避けなければいけないと、トランプ政権だってそう思っているわけですが、力の行使、あるいは最悪の際の力を行使して自分たちの主張を通そうとする相手国、北朝鮮や中国などですが、そういう傾向がある相手国に対しては非常に強く「力の行使」を選択肢の中に入れて、強く出ていく傾向があります。
 「世界の警察官にはならない」と言っているけれども、「世界の軍隊」にはおそらくなるでしょう。非常に強い部分がちらちら出てきている。幹部の登用を見ても、元軍人で強い意見を持っている人たちがいますので、あっと驚くようなことが起き得る状態が、アメリカの北朝鮮に対する姿勢の中に、潜在要因として含まれている。そんな状況です。
 日本はあらゆる事態を想定しながら、自主的にものごとを進めるべきは当然ですが、アメリカの動きを細かく追って、それをうまくつかまえて、日本の利益になるように活かすべきだと思います。以上です(拍手)。
島田 今、塚田一郎参議院議員も来られました。古森さんの話の中で古屋圭司議員がシャトル外交で何度もワシントンに行って、スネドン決議の成立のために努力されたという話がありました。塚田議員も古森さんとコンビを組んで何度も行かれています。私もご一緒してきました。議員外交の成果だったと思いますが、ひとこと、この間の経験や今後へのことについてお話ください。

  
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「もう我慢できない。今年こそ結果を!」。2月2日に家族会・救う会合同会議で決めた今年の運動方針です。 拉致被害者家族の高齢化が進み、「生きている間に被害者に会えないかもしれない」という言葉が出るようになっています。経過はすべて説明して頂くことはないと思います。しかし、今年中にぜひ結果を出して欲しいということが、家族会・救う会そして心ある日本人の心の底からの叫びだと思います
2014年4月27日午後2時午後5時 日比谷公会堂
東京都
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