救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

「人道的なふりをし始めた北朝鮮への対応ー東京連続集会78」全記録



◆可能性が見えてきた


西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授)


 そして、「金正恩政権が拉致問題を内部検討」と書いたのは、ここでも少し言いましたが、救う会が独自にとった情報です。
 2012年11月、張成沢の勧めを受け入れ、金正恩が拉致問題について新しい指示を出した。その指示の内容は、「8人死亡を維持する従来の説明を維持するというA案と、それをくつがえして8人を返すというB案の損得を検討せよ」という指示が出たという内部情報です。
 そして統一戦線部はA案を堅持する意見だったそうです。張成沢はB案だった。実は私が年末から心配だったのは、B案を支持した張成沢が殺されたことです。もうA案で固まってしまって何か悪いことさえ起きる可能性があるという不安でした。
 しかし、今起きていることは逆で、張成沢処刑後、対日接近が急速に進んでいます。1月から対韓国接近と、対日接近が同時に始まりましたが、今韓国とは完全にストップしています。直接朴槿惠(パク・クネ)大統領を非難しています。ミサイル発射もしているし、アメリカ非難も続けています。そして張成沢処刑後中国との関係もよくない。そういう中で人道的な振りをしながら急速に接近しようとしてきているとは言えます。
 今回、最高人民会議があって、2002年のミスター召閥眄菊との間にいたと思われる姜錫柱(カン・ソクチュ)は、外務副大臣、副首相でしたが、彼がはずれました。姜錫柱は8人を返す側でしたが、はずれたということが何を意味するのか。
 しかし、金元弘(キム・ウォンホン)国家保衛部長だけは治安や軍のトップで、金正日時代からずっといて、残っています。金正日が大変信頼していた人で、死んだあとも張成沢の引き回しで国家保衛部長になったと言われています。影響力がある。この人がA案を支持するかB案を支持するか分かりません。保衛部が出てきているというのも一部の報道ですから確認されていませんが、とにかく彼らが日本にアプローチをたくさんしてきていることだけは事実です。
 そして表向き今言われているのは、朝鮮総連中央本部の売却を止めてくれということと、朝鮮総連の幹部が北朝鮮に自由往来できないことを、これは再入国許可を止めているわけですが、それを解除してくれと要求していると報道されています。
 しかし、それだけのためにこんなに日本に急接近してくるとは思えません。いったい彼らは対日接近で何を取ろうとしているのか。2008年の時は再調査というところまでいったわけです。あの時一つ言われたのは、アメリカが行った金融制裁が大変効いた、そしてその背後にあったテロ支援国指定が効いていたということで、それを解除してもらいたかった。ブッシュ大統領が横田早紀江さんと会っていたこともあって、当時のライス国務長官やヒル国務次官補に対して、拉致問題が全然動かないのではだめだと言っていた。
 そしたら2008年8月、突然6者協議の外で、拉致問題だけを議題にする実務者協議をやろうと北朝鮮が提案してきた。今回も拉致について進展しているんです。今回の局長級会議は、お互いに関心があることを話しましょうということで、日本が拉致を言っても席を立ちませんよ、です。当時は拉致を話し合いましょうだった。
 その拉致の話とアメリカの制裁解除がだいたい並行して進んだ。ブッシュ政権がテロ支援国解除の手続きに入った時に、再調査をするということになった。その時は、寧辺(ニョンビョン)の核施設を爆破するショーをやってみたりして、あたかも核開発をやめるかのように装ったことがありました。アメリカの制裁を解くために、日本と進展している振りをしなければならない必要があったというのが一つの仮説です。
 それから当時北朝鮮や要求したことは、今報道していることと似ているんですが、万景峰号の入港と総連幹部の自由往来とチャーター便を飛ばせるようにしてくれということでした。万景峰号については当時中山恭子さんが大臣でそれを落とさせて、残ったのは人の往来とチャーター便でした。
 2008年というのは、建国60周年で、9月9日に大行事を準備していて、チャーター便で総連幹部たちが行きたいと思っていた。一部の情報では、チャーター便を予約しているというのもありました。必要だったんです。
 ところが8月の中旬に金正日が脳卒中で倒れて、大々的な行事がキャンセルされた。それで制裁を一部解除させる目的がなくなってしまった。そういうこともあり、福田政権が辞めたことを理由にキャンセルしたのかと観察していました。
 今回、日本をターゲットにしないで、別のことをターゲットにして拉致をすすめる必要があった。しかし、そうだとすると国連は拉致だけではなく、大変レベルの高い報告書が出て様々なことを全部書いてあるので、日本人拉致問題だけが進展しても、韓国人拉致問題やルーマニア人拉致問題もやらなければだめですよね。だからそれだけとも思えない。
 金正恩が倒れたということもないし、大々的な行事が4月にあるということもないし、そういうことを考えると日本カードを使おうとしているのではないか。2008年型ではなくて、金丸訪朝や小泉訪朝型の接近をしようとしてきているのではないか、とも見えるんです。
 まだ分からないことだらけの中でパズル合わせのように分析をしているんですが、一つだけ言えることは、彼らが日本に接近しようと思っている時に、彼らに思い知らせなければならないことがあることです。
 日本人は「8人死亡」をそのままにしていて拉致問題が何か動いたとは思いませんよということです。彼らにとって一番難しい、秘密を一番知っていると思われる「死亡」とされた人たちも含んで何かが動かない限り進展したなんて誰も思いませんよ、と。
 北朝鮮の中でも、日本の世論はそうだという意見もあるわけです。当初はめぐみさんは死んだということで終わらそうとしたわけですが、日本人はめぐみさんが死んだということは今後一切信じないかもしれない。ウンギョンさんに会わせたのは北がそう思い始めたからかもしれない。
 でも一部にあるように、「死んでいるはずだ」という声があがってくると、今までのやりかたでも日本に接近できると思ってします。安倍政権は、「認定の有無に関わらず全員の安全確保と帰還、拉致問題に関する真相究明、実行犯の引き渡し」の3つを求めています。
 総理は家族に会った時、「この3つを要求している」、「2002年に金正日がある説明をしている。その説明を覆させることは大変困難だ」、「だから小泉訪朝の時より今の方がもっと困難かもしれない」と言いました。
 金正日が「8人死亡、5人返した、それ以外の人はいない」と一度言ったのです。主体思想の国で首領が一度言ったことを覆させるのは、2002年の白紙の時よりもっと難しいかもしれない、ということです。「だから強い圧力が必要」と言いました。また、「アメだけでは2002年の説明を覆させることは難しいと思います」と。
 そして今動いてきた。圧力が効いてきたと思っています。国際的な圧力だけでなく、特に外貨源を断つという制裁が効いてきたということですが、今後我々は、とにかく安倍政権が言っている「認定の有無に関わらず全員」ということを絶対に譲歩してもらっては困る。日本人が一人でも北朝鮮の地に抑留されていて、解決ということには絶対ならない。
 一人もいなということを証明する責任は北朝鮮にある。我々が何人と言うんじゃなく、北朝鮮の側が「これで終わり」という説明を出す責任があるということをみんなで考えて、言い続けることだと思います。
 これもここで何回も言いましたが、核問題で日本を含む5か国は北朝鮮にそう言いました。プルトニウムを全部出しなさいと言っている。申告しなさいと。しかし、何キロあるか分からないのです。北朝鮮の方に、これが全部だと証明する責任があると言っています。
 日本側も、「あなたたちがこれで全部だということの責任がある」、「全員返せば拉致を理由にかけている制裁を解除する」ことは十分ありえるし、拉致を理由に止めている人道支援の再開もありえる。日本は世界で一番高い制裁をしていますから、核・ミサイルで国際社会がやっている制裁と日本の制裁との間の部分は、安倍政権のポケットに入れてもいいんじゃないかと思っています。
 困ってきた度合いがどれくらいなのかに比例して動きの幅が決まってくると思います。今言えるのは、困ってきて焦ってきて対日接近をしてきたとしか分かりません。めぐみさんたたいが生きていると言うほど困っているか分かりません。
 しかし、そうじゃないと断定するだけの情報もないので可能性が見えてきたと申し上げておきます。だからこそ彼らは世論を見ていると思いますから、ぶれないで全員返せと、日本人は絶対ぶれていない、北朝鮮の人権問題にも関心がある、と。
 もちろん全部のことを解決してレジーム・チェンジということも見えているわけですが、拉致の局面ではレジーム・チェンジがされなくても、もしかしたら人質を先に取り戻す可能性もあるかもしれない。その方が安全に取り戻すことができます。
 全体の問題の解決を念頭に置きながら、そうしなければ日本は自分の被害者だけを取り戻して、北の人や世界中の人を見捨てるのかと。今中国が人権報告書で非難されていますが、日本も非難されることになってしまうかもしれない。それはできないのですが、しかし国としてはまず自国民保護をするのは当然のことですから、普遍的人権の問題として北朝鮮の人権問題に、安倍政権は先頭に立っている国の一つですから、自国民保護にも全力を尽くしてもらいたい。
 人権と主権と言う両方をこの問題は含んでいるわけで、主権を守るのはその国しかないわけです。日本人を助けるのは、究極的には日本国と日本国民しかないと思っています。
 緊張してきました。息をのむように状況を見つめていますが、今こそ世論をより盛り上げたいと思っています。4月27日、また日比谷公会堂で国民大集会を準備しています。昨年9月は大雨の中、電車も止まっているのに千数百人の人たちが来てくださって感激しましたが、是非今重大な時期だということで北朝鮮も見ていると思います。
 世論の動向も一つの変数だという意識を持って、まわりの人たちを是非誘っていただいて、全員返せという声をあげたいと思います。今回は「もう我慢できない!今年こそ結果を国民大集会」です。これは皆さん方と同じ気持ちだと思います。
 横田早紀江さんたちも実はモンゴルで目に見えない戦いをしてくださったんだなあと思いますが、それぞれできることをやろうじゃありませんか。今一番苦しいのは向こうで待っている人たちです。その人たちを助けるためにできることがあるということ、そして可能性が見えてきたことは大変幸せなことだと思います。
まだ楽観はできません。一緒に頑張りたいと思います(拍手)。

以上


  
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