救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際セミナー「北朝鮮は世界の拉致被害者をすぐに返せ!」全記録



◆戦いの舞台はニューヨークにある


西岡 力 救う会会長・東京基督教大学教授

 国連の調査委員会のことについては、土井さんたちを初めとする国際NGOが先頭に立って活躍され、今まで来たことをありがたく思っていますし、まず敬意を表したいと思います。
 今何が起きているのかですが、国連をめぐる戦いについては、家族会、救う会、拉致議連は、当初から戦いの舞台はニューヨークにあると思っています。ジュネーブには人権理事会がありますが、国連の中で強制力を持っているのは安保理事会だけです。
 そこで、2006年に北朝鮮がミサイル実験をし、核実験をして安保理事会で北朝鮮非難決議が通った直後に飯塚代表、増元事務局長と私、島田副会長でニューヨークを訪問しました。
 そして国連の常任理事会の全代表部を訪問して、次に北朝鮮に対し、国連安保理事会が制裁をかける時には、拉致問題を含む人権問題も制裁の理由に入れてほしいという要請をしました。我々の目標はそこにありましたし、今もそこにあります。
 実は、当時、2006年は日本にとって大変有利な状況で、日本が国連の安保理事会の非常任理事国で、そして安倍政権でした。そして月1回ごとに代わる議長ですが、北朝鮮が核実験をやった時、日本が安保理事会の議長でした。
 今人権理事会のドラフトの話がでましたが、安保理事会の制裁決議のドラフトを日本が書くという状況でした。そこで、安保理決議1718号ですが、2006年の10月14日に決議されていますが、その前文に当たるところで、「北朝鮮が国際社会が有するその他の安全保障上、及び人道上の懸念が重要であることを強調し」となっています。人道上の懸念という言葉が入ったんです。
 実は日本が作った第1ドラフトでは、「拉致問題を初めとする人道上の懸念」となっていたんです。ところが拒否権を持っている中国が反対して、「拉致問題を初めとする」という部分は落とされました。しかし当時、日本は議長でしたから、大島大使が議長で、決議の後、議長ステートメントで「この人道上の懸念の中には当然拉致問題も入っています」と議事録に残しました。
 これが2006年10月に安保理事会で、「人道上の問題」として拉致問題が議論された最初です。その直後に私たちは国連を訪問して、「人道上の懸念」は感謝するけども、拉致の深刻さを分かってほしいということをやりました。
 その時EUと日本が国連の人権理事会で、当時は人権委員会でしたが、人権決議をし、それがニューヨークの国連第3委員会というところで人権決議がなされ、それから総会に行った。
 その第3委員会に傍聴に行きました。日本の代表が拉致問題を含む人権問題を話すと、途中で北朝鮮が、(ペンでテーブルをたたいて)トントントントンとやるんです。「北朝鮮と言ったじゃないか。俺たちの国は北朝鮮ではない。朝鮮民主主義人民共和国だ。言い直せ」と、途中で言うんです。
 そういう緊張した中で、しかし安保理事会が決議をすべきだと言ったんですが、当時日本は孤立していました。そして安保理事会の非常任理事国でもなかった。外に出てしまっていた。
 土井さんたちはジュネーブを通じてニューヨークへ行くというルートを考えられた。我々は最初から、核問題で安保理事会が制裁しているんだから拉致も入れよと言えるんじゃないかと思ったんですが、なかなかそれ以上うまくいかなかった。
 特に、拒否権を持っている中国の壁が大きかった。しかし、国際的なNGOが北朝鮮の人権問題一般という枠を設定して、そこに拉致も当然入っているとして人権理事会で調査委員会を設置した。その調査委員会の結論は、書いてあること自体は我々が知っていることで、北朝鮮の人権問題がひどいということはもう20年前から言われていたことですが、そのことが具体的に書かれた結果の結論として、「安保理事会は立ち上がりなさい」と書かれた。
 そこで我々は東京?ニューヨークに直行したんですが、土井さんたちはジュネーブからニューヨークに行こうとした。それが今、ニューヨークで結集している、あるいはさせなければならない。
 私は、日本政府が人権理事会で書いている決議案のドラフトがどういうものか知りませんので、土井さんの情報について何らかのコメントをする立場ではありませんが、私たちは2月17日に、国連人権委員会の調査報告書が発表された時に、今日の資料としてお配りしていますが、家族会・救う会で声明を出して、「安保理事会の制裁を目標にしてほしい」と。
 今安保理事会は核・ミサイル問題で制裁をかけているわけですが、人権問題をやっている立場からすると、もちろん核・ミサイルは重大な問題ですがまだ抑止が効いています。しかし、人権問題、拉致問題は今目の前で人が死んでいる、このまま放っていたら被害者が、30年、40年、50年帰れなくなる、死んでいくかもしれないという、既に加害行為が起きている問題で、それを安保理事会がなぜ放っておくのかということを考えていました。
 私たちは土井さんとちょっと意見が違うかもしれませんが、国際刑事裁判所はなかなか実現されない。嫌がらせにはなるかもしれませんが。しかし、安保理事会の制裁は既にやっている。やっていることの理由で、既に「人道上の懸念」という言葉も既に入っている。
 この「人道上の懸念」という言葉は、北朝鮮が核実験をした過去3回の安保理決議に全部入っています。この積み重ねの上に、国連の人権委員会の報告書が出た。だから今度は拉致を含む人権問題だけを理由に、国連で人権問題を審議して、安保理事会で決議を出してほしい。
 今チャンスがきたんです。北朝鮮は数日前、弾道ミサイルを発射しました。今朝も何かミサイルを発射したそうです。「弾道ミサイルの実験をするな」と国連安保理事会は3回も決議している。それに違反することを北朝鮮がやった。それだけでも安保理事会で北朝鮮問題が取り上げられるべきチャンスがきています。
 その時にこのジュネーブで決議が上がって、「安保理事会も取り上げろ」ということが入ることは大変意味があると思います。ジュネーブの人権理事会は北朝鮮もメンバーです。我々は飯塚さんに行っていただくんですが、もしかしたら飯塚さんが発言している最中に、トントントントンとやってくるかもしれない。
 そういうところですが、戦いの前線に立っていただこうと。韓国からも金聖浩先生のところの李美一理事長がジュネーブに行かれます。
 そこには中国もいます。今までアメリカや韓国で家族が訴えている時は、我々のホームグラウンドで訴えていたわけです。しかし、実際に彼らに圧力をかけるためには敵がいる場所にいかなければならない。
 そしてニューヨークは、拒否権を敵側のサポーターが持っているところで戦わなければならない。しかし、直接ニューヨークでやろうとしている我々と、日本政府がこれまで国連を舞台にしてやってきたこととが結びついて、いよいよ勝負の場がニューヨークになりそうになっているのではないか。
 そのことを安倍さんはよく分かっていると思います。斎木外務次官ももっているのではないかという信頼関係を今のところ持っています。


櫻井よしこ

 土井さん、アプローチの違いはあるでしょうが、松原さん、西岡さんからお話がありましたこの国連の報告書をみんなが共有をして、さらにどういうことを考えたらよいでしょうか。


  
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