救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

独自制裁で救出を?国際シンポジウム報告6(2008/12/26)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2008.12.26-3)


■独自制裁で救出を?国際シンポジウム報告6

2?2 今後の展望と拉致問題解決のための運動について

総合司会 櫻井よしこ(ジャーナリスト)
まず議員の古屋さん、中井さん、西村さんの順でお話をいただきたいと思います。

2-2-1 在外公館の人たちにもブルーリボンバッジ着用を

古屋圭司氏(自由民主党拉致問題対策特命委員長、拉致議連事務局長、衆議院議
員)

私どもは今日、国会だったものですから、アーサー・ブラウンさんの講演のメ
モを見て、身につまされる思いであります。今、麻生政権は本当に支持率が落ち
てしまい、私も非常に辛い状態です。ただ反転攻勢のチャンスはあると思います。
それは、こういった拉致問題に対して毅然たる態度で臨んでいく。拉致問題でな
く、国家の主権にかかわる問題、例えば領土問題。今、対馬の問題をみなさんご
存知でしょう。土地が買われて大変な状態になっている。合法的に国を乗っ取ろ
うとしていることに対して、土地を買うことは経済行為だから関係ないというこ
とではなくて、安全保障に関係することですから徹底的な対応をしていくとか、
こういうことをすることによって支持率がしっかり回復していくことができると
思います。また、国籍法が改正されてしまったんですね。私も気がつきませんで、
本当に反省を込めて申し上げますけど、省令がありますので、そういったものに
はきちっと、不具合な点、おかしい点を徹底的に是正していく。1回決めてしまっ
たことでもおかしいと思ったことは大きく方針転換をするその勇気、こういった
ことによって支持率は回復していくことができると思います。

我々拉致議連は超党派でごさいますので、中井先生とは国会の中ではドンパチ
する仲ではございますけれども、議連ではしっかり連携しております。

昨年、我々はアメリカに行って、テロ支援国家指定解除は絶対にまかりならん
ぞということを伝えてきました。その効があって何とか1年間は指定解除がなさ
れなかったんですけれども、最後になってライス=ヒル ラインですね。これは
もうブッシュが完全にやりこめられちゃったという感じで指定解除になった。し
かし8月に金正日は倒れていたのですから、そんなことは分かった上で、最後に
とんでもないことをしてくれたなということです。アメリカはテロ支援国指定解
除をしても個別法があるから大丈夫だなんて言っていますが、あれにはみんな但
し書きがあり、タコ足配線のような法律ですので、場合によっては制裁を解除す
ることができるということになってしまう。やっぱり、こうなった以上は、私た
ちはしっかり、日本が主体的に取り組むべきと考えますが、政府の方針である
「圧力と対話」という中で、日朝の再調査という合意も見事に反故にされてしまっ
た。その理由は政権が代わったからだという。そんな馬鹿なことはない。いよい
よ我々がしっかり、そういう方向に大きく舵を切っていかなくてはいけないのか
なと思っております。

ただ一つの希望というか、一つの望みは、今度のオバマ大統領は、2000年
にイリノイ州の金東植牧師が中国国境で脱北者の救援活動をしていて拉致された
時、2005年にイリノイ州の上下両院で、北朝鮮の国連大使に対して、この問
題が解決するまではテロ支援国家指定解除もしてはいけないという決議書を提出
している。その時の一人にオバマも上院議員として入っています。そういうこと
からして、まだ少しは可能性がある。実は特命委員会でもつい先日やりましたけ
れども、まずやらなければいけないことは、今度の新政権に対して徹底的に我々
は拉致問題が解決しない限りは一切、正常化、あるいは支援というものはしない
ということをアメリカにしっかり分かっていただく。実はAPECに斎木局長が
11月下旬に行きましたよね。あの時にも我々が指示して、徹底的に次期オバマ
政権のスタッフと会って、そしてしっかり議論してきてくれという要請をしまし
た。相当やってくれたようであります。そういう取り組みをしていくことが大切
だと思います。また我々としては、アメリカの民主党議員に対しても拉致議連を
通じてそういった取り組みをぜひしたいと思っております。

それから、ブルーリボンバッジをわが国の在外公館の人たちにすべてしてもら
う。そして、当然、在外公館の人たちにはカウンターパートがいますから、そう
いった皆さんにしっかりそれを渡して、日本がこれだけ熱心にやっているんだぞ
という意気込みを伝えるということを政府にも働きかけて、必ず実現したいと思っ
ております。

◆野党と交渉の上制裁強化を
我々は制裁の強化ということに取り組んでいきたいと思います。恐らく中井さ
んからは民主党の相当強烈な案が出てくるだろうと思います。もちろん我々もやっ
ております。北朝鮮人権法が昨年6月に改正されました。まずはこの北朝鮮人権
法の更なる改正をしていきたい。特に拉致問題の定義は国の責務の中に入ってい
るだけなんです。あるいは拉致解決にいくつかの条件を付ける。このすべての条
件を回復しない限りは拉致問題は解決ではないというような定義を書くとか、あ
るいはIMFを中心とする国際金融機関に対しては拉致問題が解決しない限り絶
対に支援させない。そのために日本政府として最大限の努力をするというような
ことを現行法よりもかなり厳しく書いていくということでぜひまとめたい。これ
は野党との交渉がありますけれども恐らく賛成していただけると思っております。

その他にも、現行法に加えて輸出の全面禁止であるとか送金の禁止、そして日
本版の金融制裁といったものも考えていきたいと思っております。やはり何といっ
ても日本が主体的に行動していかなくては拉致問題は解決しない。だからこそわ
が国が如何に経済制裁を強化していくかということも特命委員会でもしっかり議
論をしていきたいと思います。ただし、どういった制裁が効果があったのか、ど
れが効果があるのかということを詳細に検討していく必要があると思いますし、
またそういった正しい情報をしっかりと把握していく作業も必要だと思います。
アーサー・ブラウン氏は、ほとんど予算がないのではないかと言われたそうです
けど、今6億円ぐらいの予算がついておりますけれども、内調等々で連携してやっ
ておりますので、この問題にいくらかかったということは政府としてのインテリ
ジェンスでありますのではっきり言うことはできませんけれども、やはりそういっ
た体制も強化していくがあるんじゃないかなと思っております。というわけで、
何せ麻生政権が支持を回復するのはこういった問題で最優先の課題だとして取り
組んでいく以外にないと思うんです。そういうことをすれば皆さん、ぜひ麻生さ
んを支持していただいて、また支持率が復活するようにお願いを申し上げたいと
思います。


2-2-2 日本独自の制裁案を作るべし

中井洽氏(民主党拉致問題対策本部長、拉致議連会長代行、衆議院議員)

民主党拉致問題対策本部長として決意の一端を申し述べ、皆さんと一緒に頑張っ
ていきたいことを申し上げておきたいと思っております。

昨年は古屋さんと一緒にアメリカへ参りました。今年5月のアメリカの北朝鮮
人権週間には渡辺周君を派遣いたしまして、アメリカ議会、政府に指定解除反対
の声を強く挙げたところでございます。また10月24日、25日とソウルで北
朝鮮人権問題を考える議員の連帯会議の総会がございました。これも解散目前と
いう状況でございましたが、中川正春副本部長以下5人の国会議員を派遣して韓
国政府、あるいは30か国ぐらいお越しいただいている方々に、日本は拉致なん
だということを強く訴えたところであります。しかし、家族の気持ちを思い、党
独自で動くとか、党独自で行動するというのはあまりせずに、できる限り超党派
の議連と一緒にやろうとして参りましたが、アメリカがああいうダブルスタンダー
ドの交渉、北朝鮮金正日政権と手を握るというような交渉をやって、私ども友好
国の感情を逆なでるような状況をやっている。これに鑑みて、二月ほど前から民
主党として日本独自の制裁案を作るべしということで検討に入ってきたところで
ございます。一月ほど前に産経新聞に原案が載りましたので、ご承知の方も多い
かと思います。それ以来、朝鮮総連の人からファックス、ファックス、またファッ
クスでございます。とにかく同じ文句でワーワーと言って参ります。あれだけ言っ
てくるということは効果があるのではないかと、私どもは逆に自信を深めており
ます。本部としてこれを決定して総会にかけていきたい。そして民主党が政権を
取ったらこれを実行する。こういうことを強くアピールしていきたい。自民党さ
んがお付き合いいただくなら国会で成立させてもいい。こういうことで、両方の
構えで頑張っていきたいと思っております。

◆渡航・再入国許可・輸出・送金・資本取引等全面禁止を

その中身をいくつか申し上げますと、一つはヒトの面での制裁であります。こ
れは北朝鮮への渡航全面禁止であります。二つ目は北朝鮮からの入国も全面禁止。
今は朝鮮総連の人の渡航禁止になっているのは6人だけですから、あとは自由に
行けるんです。もう一つは在日の特別永住者の方が北朝鮮にお行きになるのは自
由だ。ただ、お行きになったら、もう日本に入ってもらっては困ります。中国経
由で行かれる方が行き先を偽ったら厳罰にします。こういう処置を取らせていた
だきます。

モノに関しては、北朝鮮輸出の全面禁止。今禁止しているのは贅沢品だけです。
ありとあらゆるものを禁止。チャーターした船の入港はすべて禁止。北朝鮮に帰
港して日本へ寄る船も禁止。船籍がどこであろうと禁止であります。

おカネに関しては、北朝鮮に直接、あるいは海外の北朝鮮関係金融機関への送
金禁止。国内金融機関の海外の北朝鮮関係団体との資本取引禁止。北朝鮮関係団
体の国内資産の海外移転の禁止。それから北朝鮮関係団体と取引する海外金融機
関と国内金融機関との送金、資本取引禁止。ここまで踏み込むんだと、私どもは
決意をいたしております。

それから、朝鮮総連その他北朝鮮関係団体施設への課税の適正化。これは私ど
ももかなり言いまして、地方自治体も直していただいておりますが、まだ固定資
産税だけで年間8億円ほどまけています。私どももいろいろ議論しましたが、北
朝鮮の子どもさんの学校に対する補助をどうするかというのはまだ結論が出てお
りません。子どもさんの教育だという面があるものですから。これは来週の議論
でやっていきたいと考えております。これらをまとめて昨年改正した法律の中に
書き込んで実行していく。こういう形で党として対応していきたい。大変厳しい
決意、同時に、効果があるのかないのかといろいろ言われますけれども、日本人
としての意思、思い、国家としてのぎりぎりの行動をやらなければ向こうは交渉
に来ない。真面目に対応しない。もう十分分かっているわけであります。今日ま
で本当に緩い情けない交渉ばかりだった。私どもは反省も含めて残念に思ってい
ます。そういう意味で、こういう法律をもって頑張っていきたいと思います。ご
理解の程よろしくお願いいたします。


2-2-3 拉致と核を並列において議論する必要はない

西村真悟(拉致議連幹事長、衆議院議員)

私がここで発言するということは、この二人(自民と民主)が言えなかったこ
とを言えということだと思います。民主党案が党で通ることを希っております。

それから私のみ言えるのだろうということを2点申し上げます。これは核と拉
致の問題の優先順位のつけ方であります。6か国協議をやっておりますし、また
日本国内でも北朝鮮の核開発の問題で決着がつくなら、拉致問題を後回しにして
もいいのではないか、また日本に北朝鮮の核が落ちることを思えば、拉致問題は
横へ退ければいいのではないか、こういう議論があります。北朝鮮が東京を火の
海にすると恫喝した。核を持って恫喝してきた時にどうするのかという問題につ
いて私の考えを申し述べたいと思います。

結論は、核の問題よりも拉致被害者救出の問題が優先するということです。核
の問題はもはや国際社会の普通の問題なんです。核を落とされたくなかったら、
我が国家は、麻生内閣は核抑止力保持の決断をすればいい。それはアメリカもイ
ギリスも中国もイスラエルもやっていることです。かつて核を持たない西ドイツ
のシュミット首相もNATOの二重の決断としてやりました。やったらやりかえ
すぞ、撃てば死ぬぞという体制を作ればいい。それだけの話です。我が国家がで
きることなんです。

これに反して拉致被害者救出問題は、国民のたった一度の人生が破壊されると
いう問題です。国民がこのような目にあっておって、そしてそれを知っておるの
に、それを優先順位からはずす民主主義国家はもはや国家ではない。したがって
拉致と核を並列において議論する必要はないということを皆さんに申し上げて、
皆さんの共通認識にして頂きたいと思います。

◆国際社会に自国民の救出を主張しても孤立はしない

それから、本日も安全保障委員会があり、防衛省の給与の問題を可決するのに、
全く関係のない付帯決議が超党派でなされた。それは、田母神論文がけしからん
ので、そのような考えを持っている陸、海、空の各幕僚長の人選を厳正にすべし
というものです。かつてスターリンの軍隊を作るためにスターリンが政治将校を
部隊に放ったように、我が国安全保障委員会は、村山富市の自衛隊を作るために
防衛省の内局の役人どもを部隊に放つということをやっている。したがって、拉
致被害者救出の最大の桎梏は村山富市談話であるということを言いたい。

単に国民を救い出すという問題のみではなくて、領土を守るということに関し
てもわが国政府が不作為を決め込んで、見て見ぬふりをして今まで経過してきた
こと、この根底に村山歴史観があるということ。これに気づかなければ完全なる
拉致被害者救出の迫力が出ない。朝鮮人の女性を大量に拉致して性的奴隷にして
何も後の賠償もしていないではないか、謝罪もしていないではないかという決議
案がアメリカ議会に出て通っている。これに対して我が日本の官僚組織は反論で
きない。村山談話があるためである。この談話をもって、拉致被害者救出、国民
を返せと、我が末端の官僚組織がその点について迫力が出ないのは、まさにここ
にある。戦後体制からの脱却。これが拉致問題の全面解決の根底にあるという問
題意識を我々は共通にしましょう。

中井先生が言われた民主党の追加制裁案に賛成でございます。それに加えて、
麻生総理は、これは私も画期的だと思いますが、今回の金融危機においてIMF
に10兆円を投入すると言った。これは、カネを持っているやつが出すのは当り
前だと、近隣諸国は思っているんですよ。しかし、カネが必要なんです。日本が
10兆円投入するといってよだれをたらしながら待っている近隣諸国があるわけ
でしょ。したがって、彼らが拉致被害者救出という日本の最優先国家問題に冷淡
ならば、10兆円の提供は白紙に戻すという宣言をしなければならない。

最後に申し上げます。国際的孤立ではありません。6か国協議をひっくり返し
て、「そんな馬鹿な、ヒルの言うことに従えるか」と言うことは国際的孤立では
ありません。自国民を救出するということは、その自国民の母国である日本しか
言えないことを言って、国際的孤立なんだというような国際社会ではない。はっ
きり言うことによって国際社会に日本に対する尊敬の念と当然だという共感の念
が生まれるものと確信しております。


中井
昨日、民主党へ韓国の李明博大統領のお兄さんが韓日議連の会長に就任という
ことで6人ほどの国会議員を連れてお越しになりました。その席で、私も日韓議
員連盟の副会長をしているものですから、韓国は方針を変えて、拉致のこと、そ
して核のことは日本と一緒の歩調をとるということをはっきり言われました。私
どもはお礼申し上げて、大至急連携をとるべきだと考えております。

もう一つ、去年、政府の拉致対策本部の予算のやりくりの中で、1億2千万円
で短波ラジオ放送をやっている。これが1週間同じ番組だ。荒木さんところは毎
日毎日中身を変えているんです。本部を呼んで、どうなっているんだと言いまし
たら、1億2千万を台湾で下請けさせている。ある団体に金を払って。その団体
が1億取って台湾へは2千万しか払っていない。その団体は高級役人のOBばっ
かり。これは何だと。そういうことに少ない6億円を使って、何かやっているな
んていうのは全く違う。僕らは直せと言っていますが、ぜひ自民党のほうも協力
して直してください。お願い申し上げます。

古屋
今、中井さんからありましたが、せっかく我々が確保した予算が正当な使われ
方をされていないのは極めて遺憾です。われわれとしてもしっかりフォローさせ
ていただくことをお約束します。

櫻井
3人の国会議員の方々がおっしゃったことは、党は違いますけれども目標とし
ての拉致問題の解決、そのためには超党派で、日本が一枚岩でなければならない
んだということもおっしゃっているんだと思います。西村さんが問題提起なさっ
たことは誠に奥が深いものであり、本来ならばこのことについて2時間でも3時
間でもかけて議論をすべきだと思うんですけれども、今日は時間がありませんの
で残念です。ここで政治家の皆さん方のメッセージを心に深く受け止めて、それ
を実現していただくように彼らを元気付けたいと思います。どうも有難うござい
ました。

さてここで、本当は政府の仕事なんですけれども、事実上政府に代わって特定
失踪者について本当にご苦労なされながら地道な調査を続けてこられました調査
会代表の荒木さんにお話をお願いします。


2-2-4 北から情報を取り、北に情報を入れる

荒木和博(特定失踪者問題調査会代表、拓殖大学教授)

今日はブラウンさんに私が言おうと思ったことをみんな話をされてしまった。
私は元々、何年か前からアメリカ頼みはだめだと言っているのですが、なかなか
皆さん、信じていただけませんで、今日ブラウンさんに言っていただいたので、
これでやっと信じていただけるのではないかと思います。

私どもは、明後日、御茶ノ水の明治大学で、私どもと守る会、難民救援基金、
RENK、NO FENCE、法律家の会合同のイベントを行います。お時間の
ある方はぜひおいでいただきたいと思っております。

先ほどの市川さんのお話の中で、お母さんの話が出ましたんですが、実はつい
先日、特定失踪者のご家族の方からメールをいただきました。お母さんが、市川
トミさんが亡くなられる前の日、11月14日に亡くなったというご連絡でござ
いました。京都の前上昌輝さんのお母さんで前上なみゑさんとおっしゃいます。

調査会ができる前、私が救う会の事務局長をやっていた頃から息子さんが拉致
をされたのではないかと、旭川でいなくなっておられて、私と一つ違いなんです
が、本当に身を粉にしてご自分でパンフレットを作って活動をしておられた方で
ございました。しばらく前から癌を患っておられるという話は聞いていたんです
が、ついこの間メールが参りまして、ご家族に連絡をとりましたら、数か月前か
らホスピスに入っておられたということでございます。

もちろん家族会の市川トミさんでもそうなんですが、やっておりまして本当に
ご家族が亡くなったという、まあ当然そういう世代の方が多いもので、直接お会
いした方でも何人も亡くなられているのですが、聞くだけで後頭部を棒で殴られ
たような気になるということがあります。これから先も恐らくそういうことが続
いていくのではないだろうかというふうに思っている次第でございまして、これ
は毎回同じことを言っていても仕方がないのですが、とにかく状況を変えていく
ということしかないというふうに思います。

具体的にどういうふうに状況を変えていくかということなんですが、若干、こ
の家族会、救う会、議連の方針と違うかもしれませんが、私自身が今実感してい
ること等も合わせてお話申し上げたいと思います。

経済制裁、これは私どももやはり同じように更に強めてやっていくべきだと、
この点に全く異存はございません。ただ、それをやって待っているということは
許されないというふうに思います。どういうふうにして情報を取るか、どういう
ふうにして相手側に情報を入れていくか、その努力をして、相手の中に手を突っ
込んで引っ掻き回していかなければ状況を変えることはできないと思っておりま
す。

ここにおられる方々の中で、恐らく私は一番直近に北朝鮮に行ってきた人間で
あると思います。11月26日に韓国からのツアーで、日帰りでございますが、
開城の土を、初めて北朝鮮の土を踏んで参りました。

行くんだから何か起きるのではないか。元々、日本では自分がもし北朝鮮に入
ろうとしたらどうなるだろうかと聞かれた時に、入れてくれないか、あるいは入
れてくれたら喜び組でも付けてくれて大歓迎してくれるのではないかと言ってお
りましたんですが、残念ながらそのどっちもございませんでした。

簡単に入れて、向こうで何のトラブルもなく、向こうの案内員ともそれこそ核
の話から拉致の話からして帰って参りました。よっぽど私は小者で相手にしても
らっていないんだなあと、後から考えると寂しい思いをした次第でございます。
この次はぜひ、この中にも関係者の方がいらっしゃると思いますので、入ったら
ぜひ捕まえていただきたいとお願いしておきたいと思います。

自分自身日帰りで行ってきただけですから、それで北朝鮮のことを分かります
とか何とかは言えませんが、少なくともそれまで北朝鮮のことを自分の研究対象
としてやってきたことと、実地に行って見たもので、ある程度ピントを合わせる
ことができたような気がいたします。それは決してあの国は強くもなんともない
ということでございます。

こっちが待っていて、向こうが出てくるのを待っている必要がない。どんどん
向こうの中に入っていって情報を取るということが必要でございます。観光で行っ
て、観光地以外の写真は一切撮ってはまかりならんと、バスの中から写真を撮っ
てもいけないと言われましたけれども、見ていたら軍事施設らしきものが見えた
りもします。行けば何かが分かる。そして話せば、向こう側のぼろが必ず出てく
る。そこをつかんでこちらから情報を入れていくということが一番近道であろう
と思っている次第でございます。

我々は韓国の基督北韓人連合と一緒にビラを飛ばしています。まあほとんど向
こうの方々がやってくださっているんですが、その活動をやっております。この
間、軍隊が大動員されて探したというのは、私たちと彼らがやっているもののビ
ラでございまして、ビラは別々なんですけれども一緒に混ぜて送っていただいて
います。韓国側のビラにも調査会の連絡先とか簡単な内容については書いてくだ
さっています。こういうものが届く。

◆ビラ、電波で風穴を開ける

開城に行って分かったんですが、ソウルから8台の観光バスを連ねて参ります。
開城の町中にも入ります。一般の人とは一切接触ができません。しかし町にはい
るんですね、一般の人が。バスの近くを通るのは、どうもヤラセらしい、いいも
のを着た人たちが通るんですが、そういう人たちは知らん顔をして通り過ぎる。

しかし、ちょっと離れた所からじーっとこっちを見ている人たちが沢山います。
去年の12月5日から丸1年間このツアーをやって、8台位の豪華なバスが毎日
あの開城の町中を、日本で言えば本当に廃墟のような町です。韓国に私が最初に
行ったのは1970年代の終わりですが、あの時よりももっと遅れた町。これが
韓国の観光客を入れてもいいと判断した町です。そこに観光客が行って、いいも
のを着た人がどんどん降りてくる。そして1日1ドルあれば1家族が1週間暮ら
せるという所でドル札をどんどん切って、ミネラルウオーター一つだって1ドル
ですから、そういうの見ていったらば、これはすぐに分かってしまう。そこへビ
ラが来る、あるいは電波が。向こうの中に風穴が開けられることは間違いござい
ません。

ついでに言えば、日本の中にも北朝鮮に行きたくてしょうがない人が沢山おら
れる。山崎拓さんもそうですし加藤紘一さんもそうでしょうし、それから民主党
の議員さんの中にもですね、そういう人はどんどん行ってもらっていいと。北朝
鮮もアホではございませんから山崎さんを信じているわけがないわけです。向こ
うに行って勝手なことを言いたいだけ言えば向こうは混乱をする。そういうこと
です。しかも山崎さんが行って帰ってきたからといってそれを信じる国民もマス
コミもいないということでございまして、ともかくやらなければいけないのは、
こちらからアクションを起こすことがどうしても必要です。

みなさん、この政府のパンフレットの一番後ろのところに北朝鮮への情報はと
いうことが書いてございます。これは最初の頃できていたパンフレットには入っ
ておりませんでした。私はさんざん嫌われても言っていたんですけれども、つい
に入れていただけた。しかし問題は政府の方針を変えなければいけない。この一
番のタイトル、「すべての拉致被害者の帰国を目指して」ということでございま
す。

拉致被害者の方々は自分で好きで行って、好きで残っているわけではないんで
す。無理矢理連れて行かれたか、騙されて入って出られなくなったんです。政府
は「救出する」と書かなければいけない。その方針にまだ到っておりません。こ
れはお役人さんの考えでは変わりません。議会の力をもってこれを変える。政府
の方針としてこれを取り返すというふうに変えていただかなければいけないと思っ
ている次第でございます。

我々特定失踪者問題調査会としたしましては、これからもあちらこちらから嫌
われながら、しかし、もう本当に時間がないわけで、この10月、11月にも拉
致の可能性の高い方、1000番台リストを合計34人発表いたしました。来週
も記者会見をしてまた何人か追加する予定でございますけれども、とにかく可能
な限りの情報は開示をして、そして本当の救出にもっていけるようにしていきた
い。

私どもに1億円いただければ間違いなく何人か引っ張り出して見せます。ただ、
まあ、私どもは去年、予算を付けていただいたんですけれども、2月13日の6
者の合意を日本政府が呑むとはけしからんと言って蹴っ飛ばしてしまったので、
そのご迷惑をここにおられる皆さんにかけているわけでございますが、とにもか
くにも自力で取り返すということをやって参りたいと思います。今後ともよろし
くお願いいたします。



(つづく)


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●麻生首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 麻生太郎殿

●救う会全国協議会ニュース

発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
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