2002年9月、金正日が拉致を認め同年10月5人の被害者が家族を残して帰国した。その後、北朝鮮は非道にも、被害者家族を人質として抑留し続け、未確認者10人に関する日本が提起した150の質問に一切答えず、寺越昭二さんらをはじめとする15人以外の多くの拉致の真相を隠蔽したまま、である。

 日本政府は、「北朝鮮による拉致は現在進行形のテロ」という認識に立ち、北朝鮮の時間稼ぎに惑わされず、「上記1、2、3について誠実な対応を取らないときには断固たる制裁措置を実施する」と通告すべきだ。

 その制裁措置の中身は、日本と北朝鮮間のヒト、カネ、モノの流れを制限することだ。具体的には、

(1)

在日朝鮮人商工会・朝銀信用組合を使う脱税行為・不正融資・業務上横領・背任罪

(2)

万景峰号などを使った不正送金、核開発・ミサイル開発関連禁輸品持ち出し

(3) 工作船の侵入、工作員の不法上陸
(4) 在日地下工作員らによる拉致、武器持ち込み、テロ準備
(5) 麻薬・覚醒剤密輸
(6) 脅迫・暴力をともなう総連の集団行動

など当然取り締まるべき犯罪行為が見逃されてきた点を、法の定めるとおりに処断することと、

(1)

改正外国為替法にもとづき日本政府独自の判断で対北朝鮮送金、北朝鮮貿易を段階的に止める

(2)

特定船舶入港拒否に関する法律を新設して北朝鮮船舶の日本入港を止める

(3)

法務大臣の裁量で可能な総連最高幹部への再入国許可を停止し、自由往来をさせない。まず、北朝鮮国会議員を兼職している徐万述議長、許宗万責任副議長、安商宅副議長ら6人にこの処置を取る

 北朝鮮は経済制裁を宣戦布告と見なすと脅している。これは、経済制裁の効果があることを彼らが実感している反映だ。
 こちらが、強い姿勢に出て初めて、金正日政権も拉致に関して真剣に日本側と交渉に応じてくる。これは、テロ国家との交渉の基本原則だ。

 米国は核開発を理由として北朝鮮への経済制裁を国連安保理事会に提案する可能性は高い。日本としては、それ以前に拉致を理由にして制裁措置を発動していることが、望ましい。日本がそれをテコとして、テロ国家が核武装することに反対する米国に対して全面的に協力し、核だけでなく拉致問題をも含む対北朝鮮国際制裁を働きかけることができれば、金正日政権への重大な圧力になる。

 金正日政権は、経済制裁を宣戦布告と見なす、と繰り返し表明している。これはそれだけ彼らが経済制裁を恐れている証拠である。したがって、テロ政権が核ミサイルで武装することを許さないためには、ブッシュ政権が進めようとしている経済制裁に日本は積極的に協力すべきだ。それは、拉致という現在進行形のテロの被害に遭っている立場からして、当然のことで、先に指摘したように、まず日本が拉致を理由に単独制裁をかけることが望ましい。

 しかし、その際金正日政権を追い込むと「窮鼠猫を噛む」という故事のごとく暴発があり得るのではないか。そうなれば、軍事境界線からわずか50キロ程度のソウルはロケット砲や長距離砲の攻撃で多大な被害を受け、また、ソウルと軍事境界線の間に駐屯している在韓米軍の人命被害も大きく、実戦配備されている100基以上のノドンミサイルが発射されれば日本もまた被害を受ける。そのような暴発による被害を恐れて、金正日政権への経済制裁に反対する議論が日本、韓国、米国の中で台頭するだろう。金正日政権は今後暴発カードの効力を増大させるため、核実験を強行したり、核保有宣言を行ったりする可能性も十分ある。

 金正日が自国民数百万人を餓死させながらも必死で核ミサイル開発を続けてきた理由は、米韓軍との戦争で勝つためではなく、米本土に届く核ミサイルさえもてばこちら側が金正日の要求をのむことがあり得ると信じているからだ。韓国内の各界各層にスパイを浸透させ、反米民族主義を拡散させて、ある時期に韓国が自ら韓米同盟を破棄して北朝鮮との統一に乗り出すように仕組み、そのプロセスで米国の武力介入を押さえ込もうと考えているのだ。

 米軍が韓半島で武力行使を行う場合、在日米軍基地が死活的な意味を持つ。日本の主要都市を攻撃できるミサイルを実戦配備し、弾頭に載せる核兵器、生物化学兵器開発に血眼になっているのは、米軍に協力すれば日本を攻撃するぞと脅して、在日米軍基地機能の無力化を図ろうと狙っているのだ。

 盧武鉉政権はどんなことがあっても戦争には反対だと繰り返し表明しており、また、日本国内でもすでにいくつかの新聞などが同様の主張を展開し始めている。

上へ|1 次のページ


サイトマップ

Copyright (C)2004 救う会全国協議会