救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

最新の北朝鮮情勢と拉致問題-東京連続集会110



◆トランプは「リビアモデル」を理解できなかった

島田洋一(救う会副会長)
 ボルトンの下の、NSC(国家安全保障会議)のフレッド・フライツ氏に聞いたのですが、「対北協議のグッド・ディールは自分だとトランプが常に言っていた」と。だからトランプは騙されないぞという意識はあるんですが、核拡散問題について専門知識はないですから、「これはアメリカにとっていい案です」と言われた時に、「いいか悪いか判断する能力はトランプにはない」と。
 なぜないと言えるか。これはボルトンの解任にもつながるんですが、リビアモデルということをトランプは全然分かっていない。リビアのカダフィはイラクのサダム・フセインが殺されたのを受けて、自分もやられるんじゃないかということで、「核を放棄します」とCIAやイギリスのMISに言ってきて、実際に2003年から4年にかけて核を全部放棄したんです。化学兵器も全部放棄した。中距離ミサイルも全部放棄した。それを見てからアメリカが制裁を解除した。
 だから核拡散防止におけるリビアモデルというのはそういうことです。ボルトンが、「リビアモデルでなければいけない」と言っているのですが、それを指しているわけです。まず完全核廃棄、それから制裁解除。
 ところがその後、2011年にカダフィは民衆蜂起によって殺害されました。トランプは金正恩と非常に関係が悪かった時に、「お前核廃棄しなかったらリビアのカダフィのようになるぞ」と言ってたんです。トランプの認識では、相手が考えようとしなかったら追い詰めて、クーデターで殺されるようにする。それがリビアモデルだという認識です。
 ボルトンが本を出した後のインタビューで応えているのですが、トランプに対して、「これ以上明確にしようがないほど、自分が言っているリビアモデルとはこういうことなんだと説明したけれどもトランプの頭に入らない」と。
 北朝鮮がトランプの誤解を利用して、「ボルトンというのは、カダフィが殺された運命のように北朝鮮をもっていけると、リビア問題と言っている。そんな人間を入れたら交渉できない」と。
 それにトランプが騙されて、ボルトンを解任した直後の取材に対して、「なぜボルトンを解任したか。その理由は、彼が「リビアモデル、リビアモデル」と言ったせいで交渉の機運が萎えてしまった。大きな責任だ」と。つまり、リビア問題の意味が分かっていないんです。
 それでこの本の中に、「核問題の具体的なことをトランプは分かっていない」と書いたのですが、それは非常に危ない。ボルトンの本の中で、「最も同志として信頼できる」と描かれているのがペンス副大統領です。
 それに次いで、ポンペオ国務長官も同志として、特にイラン問題などやっていける。ところがトランプと意見が違うということになった時に、ポンペオが最後の段階でイエスマンになってしまう。ビーガンが融和的な案をまとめた時も、ポンペオは国務長官で上司ですから、チェックして押さえなければならない話なのに、それをポンペオがきちんとやったのかどうかよく分からないとボルトンは書いています。
 だから、最終的にイエスマンになってしまうという部分と、国務長官は忙しいのでビーガンの動きをポンペオがきちんとチェックしなければならない。ポンペオも核拡散分野の専門家ではなく、元々陸軍の軍人でその後企業で働いていた経歴です。だから現在の安保(担当大統領)補佐官のロバート・オブライエン氏、彼は企業弁護士出身で核問題は詳しくない。
 安保副補佐官のマット・ポッティンジャー氏、彼は我々が何度も会っているし、信頼できる人間ですが、彼は中国が専門で、ウォールストリートジャーナルの記者として中国に滞在している時に、民主化運動家と接触して拷問に近い取り調べを受けたりしていて、彼は中国に対して厳しいですが、北朝鮮に関しても分かっていますが、彼も核拡散の専門家ではないので、細かなごまかしを北朝鮮側がやってきた時に、それに気づけるかというとちょっと難しい。
 ボルトンが書いているのですが、ビーガンが北と交渉する時には必ずNSCからも一人入れろ、と。ボルトンは安保補佐官ですからNSCのトップだったのですが、北朝鮮問題に関しては、アリソン・フッカーという女性の朝鮮部長で、彼女がNSCから米交渉団に入っていくパターンですが、しかし時々はずされていた。ビーガンがNSCをはずして北と交渉している局面があって、非常に不信感をもっているとボルトンが書いています。
 ちなみに今回ビーガンが韓国と日本に来た時も、アリソン・フッカーは一緒に来ていなかったと聞いています。それもどういう意味があるのか、疑問を感じているところです。
 エピソード的に言うと、最初のシンガポール会談の前に、金英哲(キム・ヨンチョル)という金正恩の部下がホワイトハウスに招かれた。ボルトンは、間違っても大統領執務室にあんな殺人者を入れるなと強く主張していた。回顧録によると、オットー・ワームビア青年を拷問で殺した直接の責任者は金英哲だとアメリカ側は見ている、と「そんな奴を大統領執務室に絶対入れてはいけない」と主張したのですが、トランプが聞き入れず、大統領執務室に入れて、その上金英哲をリンカーン・デトロフ(ガラス扉キャビネット)という所に止めようとまでした。
 そこでボルトンとペンスが、「ホワイトハウスに入れるのはしょうがないけど、執務室でないようなところで会うべきだ」と言ったが、結局通らなかった、と。
 金英哲も緊張していて、入ってきた時、金正恩のトランプ宛書簡を車の中に忘れてきたと言うんですね。それで通訳に慌てて取りにいかせた。ボルトンは本の中で、「これは一番大事な金正恩委員長の書簡を置き忘れてきたことを、彼は帰ってどう説明するんだろうか」と書いていましたが、今回の本でそのことが北に伝わったかもしれないですね。
 安倍首相に関しては、「安倍は非常によく北朝鮮のことを分かっている。安易に制裁を変えては絶対にだめだと、そしてリビアモデルへの理解もある。文在寅とは180度違う」と書いています。「但し、安倍さんの立場としては分かるのだけども、トランプの戦略は本当にすばらしいというようなことを言いすぎだ」と。「トランプが真に受けるかもしれないので、問題のある部分はしっかりと注文を付けないといけない」と言っています。ボルトンのこの点は安倍さんも注意しなければいけないかなと思います。
 3回目の首脳会談を板門店でやりましたが、ごく短時間のものですが、G20サミット中にトランプ大統領がツイッターで金正恩に呼び掛けている。ボルトンなど周りは全然知らなかったそうです。そして金正恩が降りてきて会うことになったのですが、板門店会談にはボルトンは行っていないです。
 結局40分だけで、写真を撮る時間がいっぱい作って、向こうは「金正恩と李容浩(リ・ヨンホ)外相の二人でくるからアメリカ側も二人にしてくれ」ということで、トランプとポンペオの4人で会談した。相互に20分ずつ、通訳を入れるので10分ずつ、挨拶の時間を抜かすと5分ずつくらい。それで、これでは実質的協議にはならないだろうと、ボルトンはソウルに行かず、香港からウランバートルに行くという行動をとったので、短時間の米朝板門店会談で何が話し合わせたかはよく分からない、ということです。


  
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