救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際セミナー「膠着状況が続 く朝鮮半島情勢のもとで拉致被害者救出を考える」全報告



櫻井 非常に興味深いお話だったと思います。アメリカの北朝鮮に対する政策的、戦略的な構え、そして中国が北朝鮮を握っているというお話を伺いましたが、日朝関係は日中関係でありまた日米関係でもある。西岡さん、こういう状況の中で日本が今すべきことは何でしょうか。

◆膠着状態だが枠組みができた

西岡 力(救う会会長、モラロジー研究所教授)
 今日皆さんに配布した資料の中に1枚紙の参考資料<みせかけの進展を求めて対北圧力を緩めるな>があると思います。
 古森さんの話を聞いていて、私の考えは間違っていなかったなと強く思いました。しかし、今の矢板さんの話を聞いていて、後で教えてほしいこともあるんですが、「圧力を緩めなければ拉致被害者を取り戻せる」ということの疎外要素として、中国が裏で北朝鮮をどこまで支えているかということがある。そういうことも考えなければいけないとお二人の話を聞いて思いました。
 まず私が考えていること、今の国際情勢を拉致問題の観点からどう見ているかについてまずお話します。
 今は膠着状態ですし、去年のセミナーでも国際情勢について議論しましたが、その時は「チャンスが来た」というトーンでお話しました。「チャンスが来た」と言いながら、1年経ってまたセミナーをやっているじゃないか、西岡は判断を間違えたのかと言われるかもしれませんが、私は枠組みはできたと思っています。
 この枠組みをどう活かせるかということが勝負であると思います。去年の「チャンスが来た」は、枠組みを作ることに成功したということだったわけです。私は「枠組みができた」と言いましたが、古森さんは逆に、アメリカの対北政策の中に拉致問題が完全に組み込まれたとおっしゃいました。アメリカから見るとそうですし、日本から見るとアメリカを動かして枠組みを作ったと思っているわけです。
 北朝鮮は基本的に強い圧力がないと動きません。そして今北朝鮮に対して強い圧力がかかっています。その直接の景気は2016年と17年にありました。北朝鮮は弾道ミサイルを40発撃ちました。また核実験を3回しました。北朝鮮はこれまで6回しか核実験をしていないのに、その半分を2年の間にしました。
 特に2017年9月の核実験は、日本の防衛省の推計で160キロトンという威力でした。広島に落されたのが16キロトンですからその10倍の威力を持つ核爆弾を持ってしまった。彼らは水爆だと言っています。持ったのは事実です。
 そして今年の防衛省の防衛白書によると、「その爆弾を小型化して弾頭にすることができている」と判断しました。去年までは「できている可能性がある」でしたが、今年は「できている」になりました。アメリカも同じ判断をしています。
 広島の10倍の爆弾を小型化してミサイルに乗せられる力を彼らは持っているんです。そして40発の弾道ミサイル実験で、アメリカの本土まで届くミサイルが完成直前まで来ました。
 「火星12」というグアムとアラスカまで届くミサイルについては、国防科学院が発射実験をするんですが、そこで成功するとこんどは軍に持っていって試射をする。グアムに届く物は試射をしました。そして成功しました。実戦配備されているんです。
 まだ試射の段階なのは火星14と15です。西海岸と東海岸から発射しました。その時アメリカは「これは」となって軍事圧力をかけました。さきほど古森さんがおっしゃった通りで、すべての圧力をかけて止めさせる。
 空母が3隻来ましたし、原子力潜水艦も来た。BIBという60トンも爆弾を積める戦略爆撃機が20回、グアムから飛んできて、朝鮮半島で演習をしました。その結果金正恩は、自分が殺されるかもしれないと思って、9月まで毎月核・ミサイル実験をしたのに、10月にぴたっと止めました。
 そして11月末に火星15を意図的に高くあげるロフテッド軌道で撃って日本海に落して、「国家核武力は完成した」と言いました。しかしそれは嘘です。なぜなら火星15は大気圏に再突入した時に3つに割れて、弾頭を安定的にコントロールすることに失敗したんです。
 アメリカの東海岸まで飛ばす射程距離は出ました。しかし弾頭を安定的にコントロールすることはできなかったんです。まだ実験が必要です。しかし、「完成した」と言った。「トランプが怖いから実験はしない」とは言えないから、「完成した」と言って実験を止めた。
 そしてシンガポールで会った時、「朝鮮半島の非核化をする」と約束し、トランプ大統領から「安全を確保する」という言葉を貰ったのです。日本のマスコミはよく、「体制が認められた」と言いますがそうではなく、英語の原文を見るとセキュリティ(Security)と書いてあります。つまり、「私の安全をトランプが保証してくれた。だからアメリカまで届く弾道ミサイルの実験はしない」ということです。
 完成直前までいったけどそれを止めるという取引が今の米朝の状況です。我々はそれを見て、この中に拉致問題をどう組み込むかを考えました。北朝鮮が完成直前にミサイルの実験を止めるくらい双方が動いている。何らかの取引が必ず米朝の間で起きる。
 その取引が核・ミサイルだけで行われてしまったら、必ず日本に請求書が来る。そうではなく、その取引の枠組みに拉致を入れることができるかどうかが勝負だと考えたのです。
 安倍総理も同じことを考えていらっしゃったと思います。安倍総理は必死になって拉致問題の深刻さを説明しました。先ほど古屋先生のお話にもありましたが、何回もワシントンに行って、拉致問題があるということについて説明する必要がないくらいになりました。
 アメリカの議員はもう拉致問題があることを知っている。1年に1回行くと、「また来たのか。この1年に何があったか教えてくれ」と。アメリカのシンクタンクの専門家、議会の専門家、NSC(国家安全保障会議)の専門家の人たちとの間にそういう関係を築くことができました。
 それでトランプ大統領が、金正恩氏と核を止めさせる談判を2回したわけですが、特に今年2月のハノイでの談判で日本人拉致を2回出した。
 ですから枠組みはできた。これから残っているのは、その枠組みを活かすために2つの山がある。一つは、この山を動かすためには米朝が動かないと日朝は動かないことです。
 北朝鮮はアメリカとの交渉で、核で何らかの譲歩が成立するなら、その後日本から多額の経済支援を受けたい。アメリカも北朝鮮に「核は止めなさい。明るい未来が待っている」というけれども、「私は金を出さない」とトランプ大統領は言っています。「シンゾーが出すと言っている」と。「でもシンゾーの条件は拉致だぞ」という枠組みになっているわけです。
 米朝が動かなければならない。そのためには経済制裁が効くかどうか。あるいはもう一度金正恩氏が年末に、アメリカとの約束を破ってアメリカまで届くミサイルの実験をすれば、もう一度軍事的緊張が高まるでしょう。
 そして、経済制裁で残っている「石油の禁輸」というカードをアメリカが切れば、本当に困ります。古森さんが言ったように、本当に困らないと北朝鮮は動かない。これからどうなるか分かりません。それを乗り越えた後、今度は日朝が始まったとしても、金正恩氏は全員を返す決断をまだしていない。
 これら2つの山をどう乗り越えるか。しかし枠組みはできたという意味では、膠着状態ではあるけれども、その膠着状態は何も我々が手掛かりとするものがない絶望的な膠着状態ではなく、枠組みを作ることができた。
 しかし第一の山である米朝が動かないので次にいけない。そういう状況が当面の枠組みです(拍手)。
櫻井 私なりにまとめてみると、安倍総理が各国首脳に会うたびに拉致問題を語ってきた。トランプさんに対してはとりわけ熱心に語ってきて、その結果米朝首脳会談で拉致が提起された。先に首脳同士が通訳を入れて話す場で語った。これが一番大事な時間です。そこでトランプさんがまず拉致問題を出したので金正恩さんがびっくりした。どうしてアメリカの大統領が日本人の拉致のことをいうのか、と。
 そのくらいトランプさんの心の中に拉致というものをしっかりと刻み込んだのが日本外交、安倍外交であったわけです。その結果、古森さんが先ほどおっしゃったようにアメリカの外交の中には、対北朝鮮外交に非常に堅固なものがある、と。
 その後矢板さんが中国が北朝鮮を非常に支援しているという指摘がありました。そして今ここで私たちが直面している事態は、米朝が動いていないということで、その原因は北朝鮮が拉致にしても対米にしても政策を変えてきたのではないか。その中で中国が徹頭徹尾北朝鮮の応援をしようとしている。
 そして例えば今北朝鮮が持っているミサイルの技術はどこから来たのか。軌道修正型のミサイルはイスカンデルというロシアのミサイルから来たとされていますが、軍事の専門家によると、「実は中国のミサイルに非常によく似ている」という方がいます。
 そもそも中国は○小平(○は登へんにおおざと)の時代から、他の国への核の拡散を戦略にした。アメリカやソビエトだけに核を占有させない。他の国に拡散するため積極的に核の技術を出した経緯があります。
 そういう中で米朝関係、具体的には「おいぼれ」とか「ロケットマン」という言葉がでたり、北朝鮮の国連大使金星(キム・ソン)さんも、「非核というのは交渉のテーブルにはない」と言った。
 そしてもう一つ気になるのはアメリカ軍の動きです。久保田るり子さんに教えていただいたのですが、10月27日でしたが、そのころ毎日のように米軍が朝鮮半島の偵察のための哨戒機などを出していた。
 背景の分析は非常によく分かったんですが、目の前の状況について米朝の間で一体何が起きているのか、さらには中朝、文在寅さんと北朝鮮との関係はどうなっているのか。どなたからでも結構です。


  
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