救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際セミナー「膠着状況が続 く朝鮮半島情勢のもとで拉致被害者救出を考える」全報告



櫻井 ではパネル・ディスカッションに入りたいと思います。冒頭で申し上げましたが、北朝鮮関係の情報には不透明なものがあります。拉致問題の解決のめどが立っていないのではないかという、膠着状態の中にあります。この北朝鮮情勢についてまず皆様から現状認識を聞き、そしてアメリカ及び中国、もちろん日本もですが、北朝鮮とどういう関係にあって何をなさなければならないのかというところから始めたいと思います。
 冒頭、各10分くらいでお願いします。

◆金正恩自身あるいは金正恩政権の命運と重なってきた拉致問題

古森義久(ジャーナリスト、麗澤大学特別教授)
 私は長年ジャーナリストとしてワシントンに駐在していました。90年代は北朝鮮が核開発をしたということでアメリカが対応したことなどをずっと追いかけました。2000年代からは日本人の拉致問題で、アメリカと連携するようなことがりました。その時に手助けをするようなことで拉致問題に関与してきました。2つのことについてお話をします。
 一つは、今のアメリカが、特にトランプ政権が北朝鮮に対してどんな身構えをしているかということ、二つ目はそういうアメリカの動きの中で日本人拉致事件がどのように位置づけられているか、です。
 アメリカ全体の北朝鮮に対する身構えですが、3つくらいの特徴があります。一つは、トランプ政権に限らず民主党も、ほとんどの問題でトランプ政権に反対するのですが、この拉致問題に関しては反対が少ない。だから超党派のコンセンサスに近いものがある。
 そのコンセンサスの内容は、まず北朝鮮というのはアメリカにとっても同盟国にとっても危険な軍事的に危険な脅威であるという認識です。これは核兵器だけではなく、通常戦力、日本にも届くような短距離ミサイルは韓国にとっても、日本にとっても、米軍にとっても脅威だということです。
 次に、北朝鮮は人権弾圧がひどい国ということで無法国家という言葉をよく使います。ローグ・ステイト(ならずもの国家)と言いますが、ならずものという言い方は国際関係を論じるにはふさわしくなく、無法国家ということです。
 例えば、トランプ政権が6月末に発表したインド・太平洋戦略構想の中には、北朝鮮ははっきりと無法国家とあり、危険だから対処していく必要があると書かれており、その中には人権問題も入っている。
 この人権問題には、スネドン決議も入っている。スネドンという若者が2004年に雲南省で行方不明になったが、平壌に連行された状況証拠がたくさんある。だからアメリカ政府として調査をするという決議案を上院と下院で通した。これには家族会・救う会のインプットが非常に強い。日米連携が強い。
 アメリカは北朝鮮との対処においては人権が大事という認識が広がった。これをさらに爆発的とでもいえるほど広げたのがオットー・ワームビア事件というのがある。27歳のアメリカの青年が平壌を訪れて、ホテルにあった政治ポスターをはがして、持っていこうとしただけで捕まって、虐待を受けて、意識が半分こん睡状態になって帰ってきて、そしてすぐに死んでしまった。
 数日前アメリカの裁判所は、ワームビアさんのお父さん、この人は非常に活発で、大事な息子をなくしたということで言語明晰な活動をし、また北朝鮮に対し訴訟を起こして5億ドルを賠償しなければならないという判決が出ました。これは北朝鮮の人権問題です。
 3番目は、北朝鮮がやろうとしている核開発をいかに止めるかです。この3つに関してはアメリカ全体の超党派の認識の一致があります。
 そこで、ではトランプ政権は何をやっているのか。これもいくつかの特徴がある。第一は北朝鮮の非核化。東アジアまたは朝鮮半島に関しては間違いなく最大の目標で、これをいかに達成するかです。
 第二は、インド・太平洋戦略の中で北朝鮮という国家のアメリカにとっての安全保障上の位置づけです。これもきちっとしたものがあります。
 トランプ政権が何をやっているのかについて日本の報道を見ていると、粗雑で、終始一貫しないという認識が強いのですが、ワシントンで見ていると必ずしもそうではない。
 日本の報道もそうですが、アメリカの報道でも、民主党的な報道は、トランプ政権については何でもたたきます。だいたいトランプ報道はニュースソース、情報源は一つしかなく、ツイッターで言っていることがトランプのすべてだという感じです。
 もう一つは日本風に言えばぶら下がりです。トランプが出てきて、記者が質問をする。彼はエネルギーいっぱいの人ですから、必ず答えるわけです。それが雑というか短絡的になって、それがトランプ政権のすべての政策だとして書かれてしまう。
 実は色々な形の政策の文書や彼が署名した法律、北東アジア関連、朝鮮半島関連、北朝鮮関連のものがありますが、そういうものを見るとトランプ政権の北朝鮮政策は、決して粗雑ではない。
 まず非核化に関してトランプ政権はどうしようとしているかというと、最初から打ち出している完全な非核化です。CVIDという言葉がありますが、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化のことですが、これは変えていない。
 トランプ政権はもうあきらめているとか、北朝鮮が今の核兵器を開発した状態で凍結すれば核保有国として認めて、その上で新たに対応しようとしているのではないかと。これはニューヨーク・タイムズの報道です。もうCVIDはなくなってしまったというような書き方です。しかし変えていない。
 その例証として、トランプ政権のすべての代表、例えばランディ・シュライバーという国防次官補とかデイビッド・スティルウェル、日本と戦った将軍の孫で空軍の准将までやった人ですが、こういう人は完全な非核化CVIDは変わっていないと言っている。
 次に軍事オプションというのがあります。まぜ金正恩は憲法にまで核兵器を封印しないと言ったのか。これは軍事オプションです。そこでトランプ大統領は「完全な破壊」という言葉を使って国連で演説をした。
 その次の柱が経済制裁。これも日本ではあまり効いてないという人がいますが、アメリカの認識はじわじわと効いているということです。だからこのまま時間が経てば北朝鮮は不利になると。
 今のアメリカと北朝鮮とのやりとりを見れば分かりますよね。下手に出るのは必ず北朝鮮です。どんどんエスカレートするけれども、一定以上にはいかない。トランプ大統領がこの前、「追い込んだ」とちょっと言いましたが、ほとんど言わない。アメリカに金正恩氏が約束した二つのことは、「核兵器を廃棄します。アメリカに届く長距離の弾道ミサイルは開発しません」ですが、この二つに関しては触れていない。この二つに関してトランプが何かをやれば、虎の尾を踏むことになります。そこまでいかない範囲で一生懸命訴えてきている。
 もう一つの柱は、これはトランプ政権らしくないことになるかもしれませんが、人権問題の扱いです。北朝鮮の国民が抑圧されている。これをトランプ政権の高官たちが言う。これは日本人拉致問題とも重なり合うものです。
 アメリカは今、これから経済制裁をますます強くしていかなければならない。軍事オプションということもためらわずに、官民で言っている。軍事オプションというと韓国と必ず全面戦争になると思われますが、今のトランプ政権は全面戦争にならないで軍事的に制裁を加えることができる。
 例えば電磁波、レーダー、サイバー、あるいは事前に十分な警告をして、これは全面戦争ではないんだぞと言って核の拠点だけを攻撃する。そういうことが極めて具体的なシナリオとして書かれます。北朝鮮もそういうことは分かっています。
 こういうアメリカの流れの中で日本人拉致問題はどう位置付けられているのか。これも三つくらいの特徴があります。一つは、日本人拉致問題と言うのは今トランプ政権の政策に完全に組み込まれたということです。
 大統領自身が言っていることに加えて、インド・太平洋戦略に基づく文書でも、はっきりとアメリカの公文書で明文化され、アメリカは北朝鮮と交渉する時に日本人拉致問題の解決を例示しているわけです。
 これは北朝鮮側から見ても、アメリカが言ってくることに日本人拉致問題を解決せよというのがあるということです。拉致事件が完全な国際的課題になってしまった。国連でも取り上げられるし、マスコミの場でもかなりひんぱんに提起される。だから北朝鮮もそう受け止めざるをえない。
 三つ目は、金正恩自身あるいは金正恩政権の命運と日本人拉致事件のゆくえが絡み合ったことです。金正恩政権はこれからどうなるんだということで、日本人拉致事件も左右される。例えば北朝鮮にとって本当に苦しい状態になった時に、日本人拉致事件の解決で応じることで北朝鮮が窮地から抜け出せると金正恩が思った時ですね。そういうことが想像されますよね。
 逆に、これをやればすごく得をするという時、北朝鮮にとって非常に大きな利益が入ってくる時に、金正恩自身あるいは金正恩政権の命運と重なり合ってきたということです。それをどう活かすかが日本にとって大きな課題になります。
 ここでやめておきます(拍手)。
櫻井 次に中国から見た場合について矢板さんお願いします。


  
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