救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮の内部情勢と拉致の最新情勢-東京連続集会107



◆住民は総合市場や小土地(山の傾斜地)で食べている

金聖玟(自由北朝鮮放送代表、脱北者)
 そういう厳しい経済制裁がかかっているわけですが、それが北朝鮮の内部にどのような影響を与えているか。通常ですと、北朝鮮の住民が苦しんでいるという意見があるのですが、私の理解では、今の制裁で一番苦しんでいるのは金正恩の幹部たちです。住民たちの苦しみは幹部たちに比べると小さいのです。
 北朝鮮の住民たちはこれまでずっと配給で食べてきましたが、今や配給を受けることはできないので、配給なしで生きていく覚悟をした。それから20年以上経っています。
 実は90年代の後半に、「苦難の行軍」という、配給が途絶えてばたばたと人が死んでいった時代がありました。その時、党や首領様に忠誠心が高い人から死んでいった。配給を待っていたからです。そうでない人は闇市を始めた。
 忠誠心が高い人から死んでいったのを見て、「もう忠誠心を持っていても食べていけない」、「配給を待っていては食べていけない」、「自分で食べるしかないんだ」と住民たちが覚悟を決めたのが90年代の後半です。
 ではどうやって食べてきたかということですが、チャンマダンという市場で商売をして食べてきたのです。ところが2002年になると、72経済改革措置というのが出たんですが、自分たちで作ったチャンマダンという市場を総合市場という名前で公式化しました。そこから税金を取ることが始まりました。
 1.5m×1.5mの売り場を作って、そこで商売をさせ税金を取る。つまり、国家が配給を与えないで、商売で食べることを公認したのです。市場で何が売られているかというと、アメリカ製品も日本製品も韓国製品も売られていました。韓国製品は隠して売るのですが、何でもある。
 商売が始まった結果大成功して大金持ちになった人がいます。外の世界ではトンジュと呼ばれる人たちも出てきたし、金儲けができなくて一日一日食べるのが精一杯という人も出てきた。つまり資本主義的な市場経済が入ってきたのです。
 最近はなくなったのですが、ちょっと前までは帰国した在日朝鮮人たちは、日本から送られてくるもの、大金持ちならコンテナ一杯分の中古の衣服が送られてきて、そういうものがチャンマダンで売られていた。少し前まではチャンマダンに行くと、日本製品が一番いいものとみんな思っていて、日本に対するあこがれが北朝鮮で生まれました。
 公認の総合市場とは別に、駅前とか、人が通る路の道端で闇で商売をする人も出てきました。政治警察がきたら物を持って逃げる。それがバッタが飛んでいくみたいだからバッタ市場と呼ばれた。それもたくさんあった。そういうことをしてみんな食べていました。
 農村には協同農場がありますがそれとは別に、小土地というのがあります。山に入って斜面を耕し、そこで主としてじゃが芋を植える。その収穫は自分のものです。山中どんどんみんな上がって行って、少しでも空き地があるとそこに植える。少し大げさかもしれないですが、私の感覚では、北朝鮮の全耕地の10%くらいは小土地じゃないかと思います。
 それを北朝鮮当局が一度没収しようとしたのですが、一度所有ということを覚えてしまった人たちは自分のものを取られることに徹底的に抵抗する。没収は成功しなかった。軍隊が駐留している以外の北朝鮮の山という山はみんな小土地になって、それで食べている。
 実は家内作業班というのがあって、これは合法的なもので、1968年8月3日に金日成が、職場に行っていない家庭の主婦や、北朝鮮では定年は男60歳、女55歳ですが、定年を過ぎた老人や身体障害者は家の中で働け、生活品を作れという制度を作ったのです。
 8・3人民商品というのですが、家の中で家内手工業のようなことをやれというわけです。在日朝鮮人がこれを利用してござを作ったり、工芸品をたくさん作っていたのですが、これを逆利用して、家の中で何でも作っている。衣類、タバコもそうですが、最近麻薬まで作っている。そういうもので食べているので配給なしでも生きていける。
 また運送業もやっている。サービス車なのですが、「す」がなくてサービ車(チャ)というものです。これは何かというと、中国から中古のバスやトラックなどを買ってきます。個人所有というのは表向きはないですから大きな事業所や軍部隊に登録だけしてもらう。彼らにお金を払って、最初は自分で運転しますが、その内運転手を雇って国内で人や物を運んでお金を取る運送業が発達してきた。
 そういうもので食べているので配給の復活は望んでいないんです。食糧配給制が復活する場合、配給の3大要素というそうですが、政治活動証明書、軍事活動証明書、所属した行政単位が発行する証明書を持っていくと配給がもらえるのですが、政治活動なんか参加したくないし、自分で食べていけるから配給の復活は望んでいないんです。そういう人たちが多く出てきている。
 但し、自分で食べていけることに関して経済制裁がどういう影響を与えているか。今北朝鮮では、国が配給する機能が麻痺していて、トンジュという大金持ちがいて、市場経済があり、個人がある。それで経済が回っていく体制ですが、実はそのトンジュの一部は国境地帯で中国と貿易をしている。その貿易ができなくなった。北朝鮮に物を売れなくなった。また北朝鮮の貿易の9割以上は中国が相手ですが、その中国に物が売れなくなった。
 その結果、市場の経済規模が縮小した。そして食糧をはじめとする物価上昇の兆しが見えている。バッタ市場などが増えるのに反して、総合市場は半分、あるいはそれ以下に減っている。売り場に空きが出ている。しょば代を払えないから。そういう通信員の報告が殺到している。
 これがもっと続いて、インフレーション、物価の高騰が起きた場合には北朝鮮の住民たちが、これは制裁のせいだ、それで市場での自分たちの生活までできなくなるのかということになれば、その原因である北朝鮮の核開発を止めろという方向に住民たちの意識がいく可能性があります。
 私は経済制裁で金正恩が核を放棄することはかなり疑わしいと思っていますが、しかし住民たちの市場を中心とする経済生活が、経済制裁の結果より苦しくなるならば、なぜ核開発をするのかという不満が高まってくる可能性があると思っています。
 以上をまとめると、今の所住民たちの生活に経済制裁は相対的にそれほど大きな影響はないが、一方幹部たちには大きな影響があります。


  
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