救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

最近の北朝鮮情勢と拉致問題 東京連続集会84 全報告



◆交渉の最低条件

西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授) 外務省が、北朝鮮に交渉すべき基準は、このペーパーであるべきなんです。それをわかりやすくしたのが、先ほど言った拉致問題対策本部のパンフレットです。
 「北朝鮮が言っていた『死亡』の根拠はない」というのが外務省の見解である以上、新たな死亡の証拠を求めるのは危険だ。「生きている人を返しなさい」ということに、こちらの要求を揃えるべきだ。「生きている人を返しなさい」、認定被害者は全員生きているということが前提ですから、「全員返しなさい」。
「それ以外の人も返しなさい」と。
 そして、「あなたたちが言う全員というのは我々が見る。これで全員かどうかは我々が検証する。認定被害者について新たな『死亡』の証拠を出してきたら日朝関係は最悪になりますよ」と、今こそ言わなければならない。
 これは外交交渉ではなくて、犯人から被害者を取り戻す人質解放交渉なんだと。
 田中均・元外務省局長が、5人の被害者が日本に帰って来た時、「ミスターXと話し合った。今回は一時帰国だということで10日から2週間日本に送った。その約束を破ると今後の交渉ができなくなるかもしれません」ということを言ったと間接的に効いています。
 「ストックホルム合意をしました。そこで戦争直後に亡くなった人の遺骨の問題と残留日本人の問題も調査をして、受け取ることを決めました。それを受け取らないと今後の交渉ができなくなるかもしれませんよ」というようなことを考えているとすると、それは田中局長がはまった罠にはまることになってしまう。
 あくまでも向こうは犯人で、被害者を取り戻すということです。5人は帰って来た時、本音では日本に残りたいと思っていたと言っていました。洗脳されていませんでした。北朝鮮に子どもたちがいるから残りたいということを公開の席で言わなかっただけです。
 今も北朝鮮にいる人たちは、1週間に1回、生活総和といって、金正恩をたたえる儀式をさせられていますから、そういうことを口ではうまく言えるようになっているでしょうが、心の中は洗脳されてないんです。
 13歳のめぐみさんは余計にそうですね。弟さんの名前を何回も紙に書いていたということが伝わってきていますから、心の中では日本に帰りたいと思っているんです。北朝鮮が「死亡だ」と言ったのにその証拠を出せなかった。そして、生存情報がある以上、「新たな死亡通報ではだめだ。生きている人を返さない限り、あなたたちがほしい、国連の制裁以上にかけている制裁の解除と人道支援は与えられませんよ」ということを、きちんと言うべきだ。それを最低条件として交渉の基礎にすべきだ。
 それなしに交渉をすると、北朝鮮がいつ、「特別調査委員会をやめるかもしれません。「だからこれをやりましょう、これをやりましょう」ということになって、彼らのペースにはまってしまう。
 彼らにほしいものがある以上、我々は彼らに、「そのほしいものを与える最低条件があるんだ」と、「それは生きている人を全員戻すということだ」と。無理なことなんか言っていない。先ほど早紀江さんがおっしゃった通り、「家族のもとに子どもたちを返せ」と。それが実現していない以上、制裁をこれ以上ゆるめたり、人道支援をすることはできないということを、北朝鮮に分かるように、島田さんがいうボディランゲージも使って、少し制裁を上げるとかやるべきです。
 当面すぐやってほしいと思うのは、総連本部の家宅捜索です。なぜ自宅だけで本部をやらないのか。本部は治外法権じゃないんです。許宗萬議長室をなぜやらないのか。
 最終決戦の時が来ています。様々な変数がありますから、いつになったら全員取り戻せるかはなかなか簡単には言えない難しい問題ではありますが、「難しい、難しい」と考えるのはよくない。「生きている被害者が帰ってこない限り、我々の怒りは解けない。制裁解除や人道支援は始まらない。あなたも人の親だったら、子どもたちが帰ってこなかったら、その家庭が怒っていると分かるでしょう」と。
 中途半端な交渉はしてもらいたくない。これは最後の決戦ですから、そのように強く思っています。総理が今どういうお気持ちで、どういう戦略を持っているのか、言えないこともあるでしょうが、しかし家族と会われたら本当の心と心の対話をしてくださると信じます。総理は秘書の時からこの問題をずっとやってこられたので。
 そして1年前にも、「やっと交渉の扉が開いた。これは制裁の圧力の成果だった」と彼は言いましたが、「しかし今は、小泉訪朝の時より困難だ」とも言いました。「それは2002年に、金正日が行った説明をくつがえさせなければならないからだ」と。
 「8人死亡、4人未入境、をくつがえそうと思っているということを言って始めた交渉なのに、まだくつがえすことができていないわけですが、どうするつもりなんですか」と聞きたいと思いますし、「それをくつがえすことを向うがして初めて制裁解除や人道支援があるんですよね。そのためにこれを使うんですよね」と。私は総理からそういう話が出るのではと期待しています。
 向こうで待っている人たちがいる以上、我々はあきらめることはできないんです。

  
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