救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

最近の北朝鮮情勢と拉致問題 東京連続集会84 全報告



◆抗議声明で安倍晋三という名前を出せない弱い立場

西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授) 本間さんが、「これについて北朝鮮はどういう反応を出してきているのか」、「これが日朝協議にどういう影響を与えるのか関心がある」とおっしゃっていましたが、私も大変関心があり、ずっと北朝鮮のメディアを見ています。
 まず、抗議声明が4本出ました。しかし北朝鮮の公的な機関ではない。低いレベルのものばかりです。まず3月27日、2日後に「朝鮮海外同胞援護委員会」という聞いたこともないところから声明が出ました。しかし、日本語のものはない。サイトに朝鮮語で出ているだけです。日本に「けしからん」というなら、日本語の声明も準備しろよと思ったのですが、翻訳が間に合わなかったみたいです。今は日本語のも出ています。
 そこで、「朝日関係改善のための信頼醸成が切実に求められている」と抗議声明にも書いているんです。これは北朝鮮が日朝を動かしたいと思っているという意味ですね。「この時期に、日本が不信の噴火口を敢えて噴出させた以上、我々も相応の対応策を講じ、それにより招来するすべての結果を全的に日本政府に問うことになる」と言っていますが、具体的に何をするとは書いていません。
 3月28日には2本抗議声明が出ています。「朝日親善友好協会」、これは宋日昊が常務委員をやっているんです。私が北京に、平沢勝栄議員、松原仁議員と一緒に裏交渉に行ったことがあるんですが、その時出ていた宋日昊が持っていた名刺がこの協会の名刺でした。あと「朝日交流協会」というところが出しました。でも外務省とか労働党というところじゃない。
 その後、「朝鮮対外文化連絡協会」が出しました。これは日本から客が行った時などに接遇するところです。
 その中で目についたのは、「朝日親善友好協会」の声明では、「悪いのはアメリカだ」と言っているんですね。日本がそれに便乗した、と。「今日本の反動層は米国の狂気じみた反共和国策動に便乗する一方、日本社会の右翼化、ファッショ化を一層促進し、自らの軍事大国化野望の実現に有利な足場を築こうと画策している」と。
 朝鮮総連に対する取り調べはけしからんという声明の中で、「アメリカの反共和国策動に便乗している」と言っています。アメリカが悪く、日本はそれに便乗している、と。
 それから、「朝日交流協会」の声明でも、「法治国家という日本が米国に追随して、反共和国人権騒動の突撃隊になることにも満足せず、何の法律的妥当性や科学的根拠もなく、総連をいわゆる事件の容疑とみだりに結びつけてゴロツキ行為を働いたのは絶対に見逃すことはできない」と言っています。
 その特徴は、安倍晋三という名前を出さないんです。警察当局とか日本当局がけしからんと言っています。「安倍がけしからん」とは言わないんです。オバマ大統領や朴槿恵大統領は名指しで何回も批判されています。
 「厳格な法執行」を作ったのは第1次安倍政権からですし、まさに安倍さんは、「拉致問題と関係なく違法行為があれば安倍政権の間は厳しく取り締まる」と国会で言っているわけです。しかし、安倍という名前は出さない。そして「アメリカに便乗している」と言っている。
 もちろん「朝日交流協会」声明では、「今回の事件で朝日平壌宣言とストックホルム合意に取り返しのつかない否定的な結果がもたらされても、それに対する責任は全的に日本にある」と。仮定形で、「もたらされても」としか言っていません。
 その後、「労働新聞」や「民主朝鮮」という北朝鮮の新聞も評論として取り上げましたが、それ以上強いのは出ていません。
 これは2つ考えられると思います。1つは、家宅捜索令状が出たということは、総連が関与しているという疑いがあることだろうと北朝鮮側も分かるわけです。これ以上厳しいことをしたら逆に総連幹部逮捕というカードまで使うのではないかと思って様子を見ているのか。
 あるいは今の段階では日朝協議を切れない、まだ取りたいものが残っている。多分後者の要素の方が強いと思います。
 これは、人権問題について、国連総会そして安保理事会で、金正恩を国際刑事裁判所に訴追する問題が人権を議題として話し合われているわけですが、それについてヒステリックに反対している北朝鮮が、それを積極的に進めている安倍政権に対して名指しの批判をしていない。人権外交もアメリカのせいにしていることと同じパターンです。彼らの方が、今日本に対して弱い立場なんです。
 もちろん、彼らが被害者をずっと握っているわけですから、その被害者が一体今どういう生活をしているのか、我々には100%は分からないという根源的な人質救出作戦の弱みはありますが、「拉致問題は解決した。拉致のにおいもしない」と今言えなくなっていることです。


  
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