救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

最近の北朝鮮情勢と拉致問題 東京連続集会84 全報告



◆「北朝鮮とアメリカ政府との間に実質的な対話は現在全くない」

島田洋一副会長(福井県立大学教授) あと北朝鮮問題専門家にも色々会ってきました。ヘリテージ財団にブルース・クリングナーという専門家がいますが、彼が強調していたのは、「北朝鮮に対する制裁はまだまだやれる余地がたくさんある。実際彼が細かくリストアップすると、イランやジンバブエのような国に対してアメリカがやっている制裁よりも、北朝鮮に行っている制裁のレベルは弱い。だから金融制裁を中心にもっと圧力をかけないといけない」ということでした。
 その直後に国務省に行って、ソン・キム対北朝鮮政策特別代表とボブ・キング北朝鮮人権担当大使の二人に会いました。彼らは、全く逆で、「北朝鮮というのは世界で最も厳しい制裁を課せられている国だ」と強調していました。「だから追加制裁の余地はないし、再び北朝鮮をテロ支援国に指定しても効果がない」と言っていました。
 「逆の意見もありますよ」と言うと、「北朝鮮はイラン等とは違って国際的な金融システムから完全にはずれているので、システム上制裁しようと思っても効かない」と言っていました。
 今ガンになっている一つはバンク・オブ・チャイナ、中国の4番目の規模の銀行です。ここは前から北朝鮮との怪しい関係が言われていました。
 バンコ・デルタ・アジアに制裁をした時も、これは直接担当した人から聞いたことですが、バンコ・デルタ・アジアとバンク・オブ・チャイナの2つに制裁をかけたいという案を上にあげたところ、財務長官などから「バンク・オブ・チャイナを制裁するとはね返りがなり大きいからバンコ・デルタ・アジアだけにして、バンク・オブ・チャイナについては意識しているよというメッセージを発するくらいにしろ」ということだったとのことです。
 だから中国の4番目の銀行に制裁発動できるかどうか。これはアメリカだけでなく、日本政治の意思も試される問題だと思いますが、そこをやれば、バンコ・デルタ・アジアの場合も特定の金融機関に対する制裁自体が極めて大きかったというよりも、見せしめ効果が大きかったのですから、他の銀行に対して北朝鮮と取引したら同じことをやられるよというメッセージ、つまり各金融機関にアメリカがおどしをかけたんです。
 それを考えると、バンク・オブ・チャイナにある程度の制裁をかけて、バンク・オブ・チャイナですらアメリカはやるんだ、あなたのところも北朝鮮と取引をしたら大変なことになるよ、ということで、バンコ・デルタ・アジアの時よりもっと大きな効果が期待できると僕らは思いますが、クリングナー氏は、「全くそう思う」と言っていました。
 ビクター・チャという元NSC(国家安全保障会議)の日本朝鮮部長にも会いました。北朝鮮問題の専門家としてよくメディアに出てくる人です。彼は最近、CSIS(戦略国際問題研究所)というシンクタンクにいるんですが、国連の特別報告者を3人も呼んで、大きな北朝鮮人権問題のシンポジウムをつい最近やりましたが、北朝鮮側から、「中止しないと爆破する」という脅しをかなり受けた。
 やはりこの人権問題、特に金正恩の個人名を取り上げることが国連の場でも出てきているので、北朝鮮も非常に神経質になっています。人権問題が極めて大きな武器になるとビクター・チャ氏は言っていました。
 彼が言ったことで面白かったのは、金正恩に関しては、「労働新聞などで写真が非常に見にくく写っている」と。つまり、威厳を損なうような写真が出るということです。「これは金正日時代にはなかったことなので、金正恩の周囲が金正恩に対して牽制とか勝手なことをしていると、地位がどうなるか分からないよというメッセージかも分からない」と言っていました。
 彼は北朝鮮問題では、現在の政府が何をやっているか非常に詳しく知っている人ですが、「北朝鮮とアメリカ政府との間に実質的な対話は現在全くない」ということです。「オバマ政権はイラン問題、そして中東のテロ問題やキューバ問題等に忙殺されて、北朝鮮問題に積極的に取り組もうという姿勢がない」と。
 実際に交渉すれば、イラン問題を見ていても、オバマ政権はどんどん譲る方向に行くでしょうから、交渉がないというのは消極的な意味で、まだましかなと思います。早く共和党政権になってほしいのですが、まだ2年近く先になるのが問題です。
 最後に、アリソン・フッカーというNSCの日本部長に会い、朝鮮部長も同席していました。フッカー氏は国務省で北朝鮮の核問題の情報収集に当たってきた人で、北朝鮮が核兵器の小型化とミサイル搭載に成功しているのかを聞いたところ、「アメリカ情報部において統一見解は現在ない。色々な意見がある。しかし、北朝鮮が成功したという可能性をにらんで対応策を考えておかないといけない」という官僚的答弁をしていました。ともかく統一見解はないとはっきり言っていました。
 今回色々な人に会いましたが、期待できるのはやはり共和党系の議員やシンクタンク、有力ブレーンで、連携を強めていくしかないということを感じました。以上です(拍手)。


  
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