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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

訪米報告と米朝首脳会談?東京連続集会報告3(2018/05/23)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2018.05.23)

■訪米報告と米朝首脳会談?東京連続集会報告3

西岡 生島さんがアピールされた原稿は特定失踪者問題調査会のメールニュース
(【調査会NEWS2718】30.4.25)で全文出ていますので参考にしてください。

 ここからは訪米を踏まえて今の状況をどう見るか。特に北朝鮮がジョン・ボル
トンさんのことを激しく非難しています。「あんな奴がいるなら米朝協議をやめ
てやるぞ」というような意味の外務第一次官の声明を出したりしています。

 今の状況の中で拉致問題をどう考えるかについて島田さんと討論したいと思い
ますが、実は今日、私たちがこの問題について教えてもらっている古森義久さん
がきてくださっています。入り口のところで突然お願いしたんですが、今アメリ
カ政府が拉致問題をどうとらえているかという点と、北朝鮮の声明とそれに対し
てトランプ大統領が昨日言ったことなどについてお話を聞きたいと思います。宜
しくお願いいたします(拍手)。

◆「13歳のやさしい少女」という言葉にこもる心

古森義久(ジャーナリスト)

 今回の訪米の成果というか総括みたいなことをまずご報告します。同じ日本人
が外国政府によって拉致されて40年、昼も夜も辛い思いをしている。これは日
本人にとって国民的課題だと思います。悲願とも言うべきものです。また日本に
とって国家的課題だとも思います。主権国家は国民の命と暮らしを守らなければ
ならない。しかもその国が民主的であればあるほど、国民によって作られた国家
なんだからなおさらやらなければならないということで、国家的課題です。国家
的責務と言えるかもしれない。

 今起きている状況というのは、日本人拉致事件の解決というのは、ついに国際
的な課題にもなったということだと思います。なぜそうかと言えば、家族会、救
う会、拉致議連の方々が国際的なアピールを続け、ついにトランプ政権が非常に
強い支持を与えるようになったということなんです。

 私自身が拉致問題に関わったのは、2001年でずい分前です。家族会・救う
会の方々が初めてアメリカに来られた。これまで関係者のアメリカとの直接的な
接触はまだなかったということです。

 その時点で私のワシントン駐在は長かったのですが、国民としてお手伝いをさ
せていただいた。時のブッシュ政権のどういう人にどう会えば、どんな効率が得
られるかというようなことをお話させていただいた。

 その時の状況を思えば、日本の中でも官民ともに問題に対する対応が十分では
なかった。その前には家族会の方々は、誹謗され、無視され、非常に苦しい思い
で、日本の権力・勢力の扱いを受けてきた。

 この人たちがアメリカに来て、ブッシュ政権がずっと前向きな対応をしてくれ
るので、意外で、驚いたということがありました。それからちょうど1年後、2
002年の初めに、ブッシュ大統領は一般教書演説というのをして、北朝鮮は
「悪の枢軸」だと断定した。

 これを当時の総書記の金正日が圧力に感じて、日本人5人を返した。やはりア
メリカの動きというのが大きいわけです。そのアメリカが今、日本人拉致につい
てかつてない真剣さで国際的に取り上げて解決しようとしている。

 「心が入っている」と報告された方がいらっしゃいましたが、私がそう思った
のは、細かい点でしたが、去年の9月トランプ大統領が国連で演説した時に、横
田めぐみさんに触れて、日本語で言うと、「13歳のやさしい少女」と言った。
日本ではやさしいとかかわいらしいと訳されていますが、「sweet」という言葉
を使ったんです。

 「sweet」というのは甘いという意味から始まって、やさしい、かわいらしい、
思いやりがあるという意味です。これは政治指導者が公の場で使う言葉ではない
んです。むしろ普通の人間が自然な気持ちを表す時に使う言葉が「sweet」だと
私は思っており、この言葉が胸に残ったんです。

 ですからトランプ大統領の演説の下書きを準備した側近の心に、私は「sweet」
という言葉があったのだろうと感じました。

◆かつてない好機だが、米朝決裂、「解決済み」を繰り返す等に備えを

 今回の訪米には色々な意味があったんですが、提起されなかったことについて
1つ上げると、今のトランプ政権には以前から日本側の努力にずっと理解し、共
鳴してくれた有力な人物たちがいるということです。

 例えば、これから皆さんが連日のようにテレビや新聞でその名前を聞くことに
なるジョン・ボルトンという大統領補佐官。国家安全保障担当で、北朝鮮が一番
嫌い、恐れている人物です。この人は共和党系の人で、民主党時代は政権の外に
いたんですが、日本からの家族会の代表団が行くと必ずあってくれる。そして熱
心に聴いてくれる。

 例えば増元さんとか飯塚さん、そして西岡さん、島田さんは何回も会っている。
非常に前向きな対応を示している。

 もう一人。上院議員を長年勤めた人で、サム・ブラウンバックという人がいま
す。10年くらい前に、上院の外交委員会という非常に重要な委員会の中の、東
アジア・太平洋小委員会というのがあって、その委員長でした。

 この人が日本人拉致問題を非常に熱心に取り上げてくれた。それだけでなく、
訪米団が行くと、すごく熱心に世話をしてくれて、上院議員の事務所というのは
重要な所なんですが、そこを訪米団に自由に使ってくださいと。また記者会見が
必要であれば、私が記者会見の場を作ります、と。この人物が上院議員をやめて、
カンザス州の州知事になって、ごく最近、トランプ政権に入ったんです。

 国務省の宗教の自由担当大使をしています。そこで北朝鮮と折衝することにな
る。大変心強い人です。

西岡 今回は5月4日の11時半に会いました。

古森 こういうバックアップがあって、トランプ大統領は金正恩と首脳会談をす
れば、正面から日本人拉致問題を取り上げ、解決を求めると思います。その時帰
国を求めると約束しています。

 今拉致問題はアメリカの協力の度合いという点でも、あるいは国際的な認知の
度合いという点でも、かつてない解決への好機、チャンスを迎えたということで
す。

 ただし、この問題を見てきた人間として2つ提起したいんですが、みなさんが
おっしゃっているように日本人拉致問題は日本が解決しなければいけない。これ
は当然です。

 例えば、トランプ・金正恩会談が開かれないという事態になった時どうするか。
あるいは開かれても、そしてトランプさんがはっきりと日本人拉致問題の帰国を
求めても、もし金正恩が今までの北朝鮮の対応を繰り返した時、「解決済み」と
言う場合ですが、こういう時日本としてどうするか。これは当然考えておかなけ
ればならないシナリオだと思います。

◆日本の中で「拉致はなかった」という人がまた出てくる

 第2点目は、拉致問題というのが、過去からの日本のゆがみを映し出してきた
ということです。反省です。皆さん苦労されてきている。行方不明となった愛す
る家族が間違いなく北朝鮮に連れて行かれたことが明確になった時点でも、はっ
きり言って、自民党も外務相もそれを認めようとしなかった。金正日よりもっと
ひどいのはマスコミだったかもしれない。学者や文化人は、「そんなものはない」
とずっと言っていた。

 北朝鮮による拉致事件なんかないんだということを言うどころか、拉致されま
したと主張する人たちにレッテルを貼って、特定の政治団体とか、朝鮮民族は大
変だったと言う。こういうことが日本であったということです。

 国際社会に対する日本の対応について、またそういうものが出てきそうなこと
が体質としてあるわけです。これは拉致問題を考える時、絶対知っておかなけれ
ばならないことだと思います。

◆北朝鮮の「悪魔のパターン」

 次に今の状況ですが、北朝鮮がこういう時どういう言動をとるか。一種のパター
ンがあります。拉致問題に協力してくれるアメリカ人で北朝鮮の専門家のチャッ
ク・ダウン図という人がいて、アメリカを代表して北朝鮮と水面下の交渉をやっ
た人です。

 この人が北朝鮮の交渉をさんざん見てきて、「北朝鮮の交渉術」という本を書
いています。この中で彼が言っているのは2つ。奇しくも今の状況に当てはまる
なと思いますが、1つは、彼が言う「悪魔のパターン」というのがあって、北朝
鮮は交渉する相手に対してまず楽観させる。その次に、「えっ」というようなこ
とをやって幻滅させる。そこからずるずると時間をかけて失望させる。そしてや
がては、もっといいことがあるんじゃないかなと思わせて楽観させる。

 楽観→幻滅→失望→楽観を繰り返すそうです。今は楽観か、もしかしたら幻滅
に変わる最初の頃かもしれない。

 もう一つの手口は、北朝鮮は大きな公式の会談があるぞというと、必ずその直
前のプロセスで色々な工作をして、自分たちに有利な状況を獲得しようとする。
事前工作の謀略です。

 例えば今のマスコミの報道を見ても、「米朝関係筋」とか、正体不明の情報源
を根拠として、「北朝鮮は既に自国の核兵器の全廃を、アメリカが求める通りの
方式で行うことに同意した」という情報を流す。

 ところが何日かするとすれとまた違うことが出てくる。揺さぶりが大きくなる。
我々が気をつけなければならないことがたくさんあるんですが、一つは言葉の使
い方の操作が上手です。

 彼らが言うところの、「朝鮮半島の非核化」、これを受け入れたと南北首脳会
談等で言っています。文在寅が金正恩に言ったとか。そうすると北朝鮮が自分の
核の全廃に合意したのかというと、それは違うんです。

 アメリカや日本が求めるのは「北朝鮮の非核化」なんです。「朝鮮半島の非核
化」と「北朝鮮の非核化」は全然違う。「朝鮮半島の非核化」には韓国も入って
いる。韓国の領土内には今核兵器はありません。かつてアメリカが戦術核兵器を
配備していた時期があります。それよりもっと大きな要素として、アメリカと韓
国は同盟国ですから核抑止がある。アメリカの核兵器によって最悪の事態、核が
軍事衝突に持ち込まれるような状態、あるいは相手が「核兵器を使うぞ」と威嚇
したような場合には、アメリカが核兵器を使用することができる。これを「拡大
抑止」と言っています。核の傘です。

 実は日本も核の傘に一応入っているんです。これが本当に危険な時に、本当に
機能するのかということが別の議論としてあるんですが、米韓同盟があって、在
韓米軍があり、最悪の場合にはアメリカの核が使われる。

 ところで北朝鮮は、金正恩のおじいさんの時代から、「朝鮮半島非核化」とい
う時は、米韓同盟における在韓米軍の核抑止、これを廃止すべきと言ってきてい
る。これは当然アメリカとしては受け入れられない。

◆北朝鮮の体制は保障するとトランプ大統領

 今北朝鮮は、「北朝鮮の核廃棄」とは言っていない。ここでジョン・ボルトン
さんが出てきて、「リビア方式」の核廃棄と言っています。2003年に、リビ
アにはカダフィという独裁者、これこそ独裁者という顔をした人がいて、核兵器
を開発しようとしていた。この時アメリカはそれを止めたんですね。

 この時はブッシュ政権で、ジョン・ボルトンさんもこれに深く関わっていたん
です。「リビア方式」というのは、まず国内のどこに行ってもかまわないという
査察と検証です。リビアはまだ最終的な核開発の段階までいっていなかったんで
すが、その寸前にあった。それに関する施設や機材、技術者まで全部押さえて、
そして最初は飛行機で、後では船でリビアから出したんです。そしてアメリカの
テネシー州の軍事研究所に持っていって、そこで研究した上で破壊、破棄をした。

 これが「リビア方式」なんです。ボルトンさんは、これをやるぞと言った。そ
れに対して北朝鮮が反発したわけです。トランプさんが出てきて、必ずしも適用
しないと言った。

 その理由は、カダフィが核兵器を放棄して独裁を続けたけれど、6,7年後に
テロでやられた。自分の国の国民につかまって殺された。だから体制保障じゃな
かったんです。核兵器を放棄した後体制が崩壊した。

 トランプさんが言ったのは、「北朝鮮が完全に核兵器を放棄したら体制を保障
しますよ」と。生き残りを保証する、と。だから本当の意味で「リビア方式」で
はないと言った。

 今北朝鮮は、ボルトンだけがトランプ大統領の意見と違って、先走りをして無
謀なことを言っているという印象を全世界に広めようとしている。できればボル
トンを失脚させるところまで持っていきたいと必死になっているわけです。

 もしかするとボルトンとトランプが組んで、片方は厳しいことを言い、片方は
いやいやそうでもないんだよ、と言っているのかもしれない。

 日本の安全保障については、敢えて言えば朝日新聞は、「トランプが今米朝会
談に前のめりになっている」と書いた。前のめりになっているのは金正恩なんで
す。会談を求めてきたのは金正恩だということは、あまりにも明白な事実です。

◆アメリカが怖いから出てきた北朝鮮

 金正恩がなぜあれほどアメリカに敵対的な行動をとるのか。「核で海の底に沈
める」等と言っていた。国際社会から悪魔のように見られていた人が、一夜にし
て平和の天使みたいになってしまった。

 これはアメリカの官民ともに信用していません。今までの言動パターンを見た
らこれは信じられない。

 ではなぜ首脳会談をしたいというところまで折れてきたのか。これを一言で説
明すると、これはアメリカの北朝鮮問題専門家の間では「恐怖」と見ています。
恐れる。このままだと経済制裁で国家が生きていけなくなり、軍事攻撃で自分も
抹殺される。その恐怖から米朝会談を提案した、と。ですから前のめりになって
いるのは金正恩なんです。

 こうした駆け引きが行われているところで、北朝鮮は色々なことをやるけれど
も、私自身は北朝鮮が米朝首脳会談に応じる確率の方が高いと見ています。もち
ろんそれは分かりません。金正恩の心の中は読めないから。どうなってもおかし
くないぐらいに思っていればいい。

 ただ、我々はアメリカの同盟国として、トランプ政権の方針が揺らがないで明
確に存在する方がいい。それは断固として北朝鮮の核兵器保有は認めない、許さ
ない。そのためには軍事手段を含むあらゆる手段でそれを阻止する。ただ、軍事
的手段はできるだけ使いたくない。それを避けるためには経済制裁をこれからも
どんどん強めていく。しかし、最後の手段として軍事攻撃というのはあり得るん
だということです。

 その目的が満たされない。例えば北朝鮮が、朝鮮半島の非核化をあいまいにし
ながらも、「非核化しますよ」と言った。そうしたらその段階でアメリカが経済
制裁を緩める。あるいは外交承認をする。体制の保証をすると言って段階的にギ
ブ・アンド・テイクでやっていく。

 日本の一部の専門家も言っていますが、核兵器は出口放棄です。「非核化しま
すよ」と言ってるだけで、実際そういう行動をとらない。色々なやりとりをして
米朝が和解をして、和解が終わった段階で、その出口で北朝鮮が核を放棄すれば
いいんだということです。

 これは一見もっともらしく見えるけれども2つの要素がある。つまり非常に危
険だということです。結局北朝鮮の核保有を容認してしまう。幸い今のトランプ
政権は出口論は絶対認めない。認めないという決意を揺るがさないからこそ北朝
鮮が今出てきている。そしてトランプさんは罵りに近い言い方で、「前の大統領
は全然だめだった。俺は違うやり方をする」と。

 そしてトランプ政権の存立の基盤に関わるような、「ここまでは許容するけれ
どもこれ以上は絶対しない」という線があって、今の北朝鮮が日本の世論も含め
て国際社会に訴えようとしている北朝鮮の言動、方針とは違うものがあるわけで、
絶対に許容しない、と。そんな感じです。

 トランプさんが言っていることは簡単です。「もし、私が望むことを金正恩が
しないんだったら途中で席を立つ」ということです。以上です(拍手)。

西岡 ありがとうございました。よかったら、このまま討論に参加してください。

(4につづく)

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