救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮を取り巻く国際情勢−東京連続集会60報告1(2011/08/09)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2011.08.09-1)

 家族会の訴えの他、7月10日以降、家族会・救う会・拉致議連の他、政府拉
致問題担当副大臣拉致対策本部関係者が約1週間訪米し、米国で北朝鮮問題に関
わる要人多数と面会した。家族会の飯塚繁雄代表、増元照明事務局長と救う会の
島田洋一副会長が訪米報告。以下は7月29日に実施した連続集会60の概要で
ある。

【家族の思い】

■北朝鮮を取り巻く国際情勢−東京連続集会60報告

◆結果が見えないというのが残念

飯塚繁雄(田口八重子さん兄、家族会代表)

 みなさんこんにちは。この集会も相当長くやっているなと聞きました。何回や
ればいいのかといつも思ってしまいます。今年になって色々な方々から、「今年
は何か動きそうだ」と聞きます。確たる理由はないのですが、北朝鮮の方から仕
掛けてきてるなという感じが少しあります。

 我々がいつも言っている北朝鮮への制裁、国民の声、そして政府も何かやらな
ければならないという雰囲気を前よりは感じています。他方、不幸にも東日本大
震災が発生し、我々としても非常に心苦しいのですが、被災者の命、それと拉致
被害者の命、これは比較にはなりませんが同じ命の問題です。

 そしてこの問題は相当長くかかっていて、政府としても何とかしなければいけ
ないという気持ちはあるんでしょうが、具体的な動きとか、経過、結果が見えな
いというのが残念です。そういう中、あらゆる活動を力の続く限りやっています。
この集会や訪米、あるいは各地の活動を含めて、この問題は絶対に風化させては
いけないという雰囲気を感じますし、私たちとしても、国民や政府の意気込みが
落ちてしまっては絶対だめだという願いのもとで色々な活動をしています。

 この問題を解決させる基礎となる一番大きな力は国民の世論だと常々考えてい
ます。そして私たち家族にできることは何なのかということを考え合わせながら
活動していますが、やはり政府にお願いするしかない。我々がじかに北朝鮮に行っ
たりすることは絶対にできない中で、いくらお願いしてもなかなか結果が出ない
というのは非常に日々苦しい思いをしています。

 今年中に何か動きがあるだろうという期待のもとでさらなる活動をしていきた
いと思っています。

◆ルース米大使が自ら拉致現場を視察

横田滋(横田めぐみさん父、家族会前代表)

 みなさんこんばんは。一つだけ報告します。今月23日に新潟市で、アメリカ
の駐日大使のルースさんが篠田(新潟)市長と意見交換し、その時、篠田市長が
拉致問題について詳しく説明したところ、是非現場を見てみたいということで急
遽、翌24日に、めぐみが通った学校から海辺まで歩いて視察をしてくださいま
した。

 そして、「自分が今日拉致現場を視察して、拉致を現実のものと深く実感した
のでこの事件を風化させないようにつなげます」ということと、「米国は今後も
拉致問題をサポートし続けます」との心強い言葉をいただきました。そのことを
新潟では各紙がとりあげています。

 ルース大使は2009年に就任したのですが、新潟の拉致現場の視察は初めて
です。最初は2006年にシーファー大使が視察してくださって、そして早紀江
に、大統領に伝えますと言っておられましたが、それが大統領との面会につながっ
たのではないかと思います。今回は、こちらから頼んで視察していただいたわけ
ではなく、大使が自分の意思で来て下さったわけで、大きな効果があったのでは
ないかと思っています。

◆いつも今度こそと思いながら

横田早紀江(横田めぐみさん母)

 みなさまこんばんは。本当に長くご支援をいただいてありがとうございます。
毎年毎年、色々なことで行き詰ったり、希望をもってはまたくつがえされたりと
いうことの繰り返しのような拉致問題で、しかも国際的に非常に大きな問題になっ
てきました。

 ただ、子どもを返してくださいというそれだけのことですが、その中でも色々
なことが関わってくると非常に難しくて、どうしていいか分からない状態になり
ます。

 前にフジテレビにおられて神奈川県の知事になられた黒岩さんが、「アブダク
ション」という90分の映画を、是非全国の方に見ていただきたいと言ってくだ
さったことがありました。それを実行してくださるようになり、8月30日に黒
岩知事らの講演会の時に、「アブダクション」を見ていただくことがきまりまし
た。来年3月まで8回色々なところで上映されます。

 訪米でたくさんの方々にお力を貸していただきありがとうございました。前は
元気で飛行機に乗っていけたのですが、最近は歳で……。

 この頃北朝鮮の報道がありますが、中井さんが中国で会談をしたというニュー
スがありましたが、私たちは全然知りませんでした。何かあるのかなと思います
が、どういうことがあったか私たちは何も聞いていません。北朝鮮と話をするこ
とは大事なことです。平行して制裁はきちんとやり続けて、もっとやりますとい
う強い姿勢を見せていただきたいと思います。

 本当に一生懸命動いて下さる方が交渉で何か小さなことでもあればいいなあと
願っています。私たち家族会は、色々な方々の真ん中にぽかっと浮かんでいる島
のような状況で、不安で、本当かなあとか、残念だなあとか、いつも今度こそと
思いながら浮かんでいる危うい状態の中にいます。本当のことがまったく分から
ないので、いい知恵でもありましたら外務省や官邸に送ってほしいと思います。
これからも宜しくお願いいたします。

◆八重子さん情報にもどかしい思い

本間勝(田口八重子さん兄)

 みなさんこんばんは。拉致問題で色々な動きが出ています。今月私が感じたこ
とは、韓国の家族会の崔成龍さんの情報です。(田口)八重子の住所が移された、
と。それは金正恩の命令だと。そこには金英男さんが入っている、と。そして、
この情報ははっきりした情報ではないのかなあ、信じてもいいような情報ではな
いのかなあ、と思いました。

 気になるのは八重子が身体の具合を悪くして病院に入院している、と。そうい
う情報が確かであれば、私たちは八重子の救出を一刻も早めてもらいたい。せっ
かく兄弟に会える状態があるのに、相変わらず助け出せないのをもどかしく思い
ます。

 それと日本の政権の不安定さです。菅政権の退陣表明をした後の動きがだらだ
らと続いている。そういうことによってのマイナスが相当多くあると思います。
私たちは菅総理が献金問題で、北朝鮮系というとあれですが、あまり芳しくない
団体に多額の政治献金をしているというような話が、なぜ総理の政治資金管理団
体から出されるのか。本当に不審に思います。

 それに対して、早紀江さんは「何を信じていいのか分からない」と言われまし
たが、私たちは菅総理を信じてこの問題を早く解決してほしいと、面会の時に言っ
ているんですが、そんな問題がごろごろ出てくると、私たちは政府を信じている
のに政府がこんな状態だということで、忸怩たる思いです。

 北朝鮮が色々な形で今動き出していますから、兄が言ったように、今年こそは
という思いで闘って生きたいと思います。宜しくお願いいたします。

◆参議院の予算委員会で参考人として証言

増元照明(増元るみ子さん弟、家族会事務局長)

 みなさんこんばんは。いつもありがとうございます。訪米の直後に、九州にす
ぐ帰る予定だったのですが、台風で2日ほど帰るのが遅れました。ちょうどその
間に、参議院の予算委員会の参考人招致で証言する機会ができました。これも天
がこういう場を作ってくれたのではないかという思いがします。

 本来ならば東京にいないのに台風のために遅れて出席することができた。そし
てそこで言うことができたということで、天が何かを突き動かしているのではな
いかと思いました。時折、この拉致問題に携わっていると、そういうことがよく
あります。

 いい方向に流れていってほしいと思いますが、今本間さんがおっしゃったよう
に総理を信じたいのですが、私は菅政権をさほど信用しておりません。しかし、
結局は政府、総理自身が動いてくれなければ問題が解決しないのは事実です。だ
から私たちの訴えをどうにかして強めていかなければならないし、監視をしなが
ら間違った方向にいかないように誘導をしていかなければならないということが
あると思います。

 予算委員会の席上であのような言葉になったのは、2004年に家族会バッシ
ングがあり、あのような場所であまり総理の批判もできないし、かといって今回
の献金問題に関しては一言いっておかなければと思って、あのような言葉になり
ました。もっと整理しておけばと。いいたいことの3分の2くらいしか言えなかっ
た面がありました。

 一つ言いたかったことは、菅総理が、「9人、10人返せ、ばかり言ってもフェ
アではない」と言った辻元清美さんをボランティア担当補佐官にしたことです。
本当にこういう方を信用し要職につけるというのは訳が分からない。さらに、五
百旗頭(いおきべ)さんという、「拉致なんて小さな問題にこだわるのは、日本
外交として恥ずかしい」と言った方を、復興構想会議の座長にしている。そうい
う方たちを要職に据えるような方が、果たして信頼できるのかということも申し
上げたかったのですが。

 五百旗頭さんに関しては島田さんがブログに書いていますが、私はそのブログ
を読んでいなかったものですから、今回初めてそのようなひどい人が防衛大学校
の校長であるという事実を知り、明日議連の総会がありますのでその問題を提起
したいと思っています。

 国民の命がかかった問題を軽々に扱う人が、今回の震災復興構想会議で、まと
もな会議をまとめる力量があるのかということではなく、心があるのかというこ
とを私は問いたいんです。日本人の命は一人でも重要なものであるし、政府とし
て守らなければならないものであるにも関わらず、根底に、「日本外交の恥だ」
とまで言った人を復興構想会議の議長に据えた総理の思惑というか意思が計り知
れない。

 だからこそ資金管理団体からあのようなお金が「市民の会」に流れている。法
律からいえば、法律にのっとってやっているんでしょうが、心情的に果たして日
本国民の気持ちを汲み取ったものなのかどうかということは、本人が考えていた
だかなければならないと思っています。

 そんなことで我々は不信感を植え付けられて、私たちは(削除)何を信頼して
いけばいいのか。本当に家族を取戻してくれることができるのだろうか、と思い
ます。私も参考人招致の際に委員会内で聞いていましたが、のらりくらりと答弁
をはぐらかして明確にしない。責任逃れだと私は思いますが、もし本当に総理が
信念でやっているのだったら明確に答えるべきです。「こういう理由で献金しま
した。それが日本にとっていかに重要なことなのか」を言えばいいのに、相変わ
らずごまかしている。

 山谷えり子さんが最後に言っていましたが、昨年12月10日、総理が、自衛
隊を動かすことも考えなければならないと言ったのに、すぐ言い訳をされたこと
に関しても、なぜそうなったのかを明確にしていただかなければならないと困る
んです。

 私はずっと、2002年9月17日以降、9年という長い年月の間で、病気に
なっているかもしれない、災害に巻き込まれているかもしれない、そして北朝鮮
の劣悪な医療技術の中で、被害者が本当に小さな病気でも命を落とす可能性をぬ
ぐいきれないと思っています。

 だからこそ早期に救出しなければならないと思っているにも関わらず未だに日
本が独自で彼らを救出する方法さえ持ち得ていないということが非常に残念です。
これは自民党政権からずっとそうなんですけれども、だから私たちの国が拉致問
題を最優先課題にしているという言葉が、非常に詭弁に聞こえてしまう毎日です。

 中井大臣が宋日昊と会談を持ったという話ですが、これは家族会・救う会で政
府に申し入れた「北朝鮮に調査委員会の立上げを即させよ」ということに応じた
ものなのかもしれません。噂によれば、(総理が)関係各省庁に対して、「どう
にかしなさい」という話をされたということですので、この動きもその一環なの
かも知れませんが、宋日昊というのはやはり問題があるのではないかと思ってい
ます。

 宋日昊は対日交渉の担当をやっています。それが担当大使に格上げされたので
すが、彼の路線でやると、「5人生存8人死亡」を覆すことはしないでしょうし、
くつがえされることは彼の命に関わる問題ですからそれはできないでしょう。

 ましてや、宋日昊の北朝鮮での地位を考えると、あの人と中井さんが会って、
果たして(拉致問題の)どこが進展するのかという危惧があります。また時間の
浪費とか、結局はごまかされてしまうのではないかと思っています。もっと上の
人と交渉する条件を作っていかなければならない。宋日昊とやっていたんでは、
また同じようなことの繰り返しになると思います。

 ですから中井さんが宋日昊と会って、それを足掛かりにして合意するために会
おうとしているのであれば、評価しなければならないですが、現時点では、それ
がまだ分からないので、危険性を訴えていくしかないのかなと思っています。

 今年中に解決してもらうためには、もう動いていかなければならない。その動
きを早めてもらわなければならないという思いは強いです。ですから交渉のため
の交渉ではなく、解決のための交渉をするために、国は強い意思と解決への強い
気持ちを持ってやっていただきたいと思っています。

【訪米報告】

◆食糧支援をしたがっていた国務省

飯塚 私からは包括的な報告をいたします。この訪米は当初から計画していまし
た。まず、実現可能かどうか、5月に増元照明事務局長が訪米しました。

 今回訪米したのは、家族会が私と増元照明事務局長、救う会が島田副会長、拉
致議連からは平沼会長等7人も同行され、政府から東祥三副大臣(拉致問題担当)
が参加して、要路に訴えてきました。また、対策本部事務局や現地大使館が相当
頑張って日程を作っていただきました。大変お世話になりました。

 大人数での訪米は、これはこれなりに大きな意味があったと思います。日本は、
拉致問題についてあきらめるわけにはいかないし、さらなる活動をしなければな
らないというイメージを与えることができたと思います。

 米国の議会、政府関係、シンクタンクの方19名に会うことができました。そ
の中で、印象的だった話をさせていただきますが、総じて米国の方々は、日本と
ともにこの問題を共有してやっていくという姿勢はどの時点でも変わりません。
しかし、具体的な方法については、国務省関係とその他とは少しズレがあると感
じました。

 国務省は、全体的な流れを見ながら、自国の利益にどうつながるかを判断基準
としているようで、北朝鮮への食糧支援については、まだ決まってはいませんが、
どうも支援したいような雰囲気が感じられました。

 しかし、色々な所で、北朝鮮に支援すべきでないとの意見がかなり広がってい
るようです。共和党の先生からは、「北朝鮮への支援はもってのほか」、「前回
テロ支援国指定を解除したのは間違い」との意見が多く聞かれました。

◆正式な国の派遣ならと努力を約束してくれたイノウエ上院議員

 印象に残っているのは、日系の議員で、古くから活躍しているダニエル・イノ
ウエ上院議員で、相当の権力や情報を持っている86歳の人です。その方が言わ
れたことが非常に印象的でした。

 彼は、1977年に北朝鮮に行ったことがあるそうです。そして拉致の話を出した。
しかし、「そんなことはない」と軽くあしらわれたそうです。(日本政府に通知
したが)「当時日本政府は、情報もくれないし、解決しようという関心も全くな
かった」と言っていました。それを見て、これは大したことはないという気持ち
になったそうです。

 そして、「あなたがたは、正式な国の派遣ですか」と聞かれました。今回は東
副大臣が同行されましたので、国を代表して来ましたと表明されました。すると
彼は、「この問題は私も知っているが、日本から正式に解決に向けての協力をお
願いするとの依頼を受けたことがない」と言っていましたが、今回は我々の要請
をきちんと受け止めてくれました。

 しかも、「色々な経過をすべて報告してください」という話の中で、これを具
体的にどう動かすかを既に考えている感じでした。この方にもっと早く会ってい
ればよかったという印象を受けましたが、(歳出)委員長という立場から、「米
国議会の然るべき委員会で拉致問題についてもっと論議をすべき」として、もっ
と横に広げていきたいという話をいただきました。

 具体的な動きが出てくるのか、日本政府との関係がさらに密になるのかも期待
したい。現地では、「日本政府と綿密な連携を取りたい」という話があちこちで
聞こえました。

 今回の訪米をきっかけに、具体的なお願いをしてきました。それについて即フォ
ローしていかないと、一過性のものに終わることは避けたいと思います。

 もう一人印象的だったのは、皆さんもご存知のイリアナ・ロスレイティネン下
院外交委員長です。この方は前から拉致問題をきちっと捕えて自分なりに考えた
動きをしていただいています。特に、北朝鮮に対する制裁法案を4月に提出し、
この法案が通るための下準備として多くの人に協力のお願いをしているようです。

 この方は、北朝鮮へのテロ支援国指定解除は誤りだったと言っており、先日チャッ
ク・ダウンズ氏が出した「Taken!」という国際拉致調査報告書をかなりの下院
議員とスタッフに配布し、さらなる理解を得たいという動きをしていただいてい
ます。

 食糧支援については、「国務省と考えが大きく違う。北朝鮮には強い姿勢で臨
まなければならない」という立場です。また、「北朝鮮には強い圧力をかけなけ
れば意味がない」、「国務省は、食糧を提供すれば米国を愛してくれるという大
きなスピリットを持っているようです。しかし、食糧は困っている人には届かな
い。軍のために使われるか金日成の祝賀行事に使われる」と言っていました。さ
らに、「この支援は北朝鮮の体制強化に貢献してしまう恐れがある」と。これら
は私たちの考えと全く一致していると思いました。

 さらに、「日本に招待したい」との提案について、「是非行きたい」という即
答をいただき、その場で秘書に日程調整の指示をしていました。すごくやること
が早いですね。多分12月の人権週間の時になると思いますが、日本に来て、あ
らゆる人と会ったり、報道を含めて、もっとこの問題の重要性が広まるのではな
いかと思います。当然国会を挙げて招待するわけですから、それなりの人には当
然会ってもらえるし、もしかしたら国会で演説をするようなこともあるかもしれ
ませんが。

 今回の米国に対しての主な要請は、まず北朝鮮に安易な食糧支援はしてくれる
なということ、北朝鮮をテロ支援国に再指定してほしいということです。

 松原仁議員からは、食糧支援の実態をつぶさに説明して、必ずしも国民に口に
は入らないことについて納得をしてくれましたが、それがどのくらい実際の形に
なってくるかを期待しています。

 今回は、アメリカの国会議員等の横の広がりが感じられました。これまでは、
面会した人が、協力するという話でしたが、それを他の議員にも広げていくと言っ
ていました。その点でよかったと思います。

 また、この訪米を機会に色々な動きや情報について、日本政府がと綿密なフォ
ローができるかどうか。それを強くお願いしてきました。大変な日程でしたが、
色々な人に会えて、色々な話をして、拉致問題についてかなりのアピールとお願
いができたと思いました。一定の成果があったと思います。

◆最終的には日本が独自で解決する気概と意思を

増元 今回の日程は大変で、これまでの訪米の中でも一番疲れるものでした。1
人6人を訪ね、飯塚さんも大変だったと思います。最後まで平沼先生もお元気で
3泊4日で帰られたことを思うと本当にありがたいと思います。平沼先生が今後
日本を背負って立つのが一番いいのかなと思います。

 国務省はやはり北朝鮮との交渉を進めたいのだなと感じました。ロバート・キ
ング北朝鮮人権問題担当特使も、カート・キャンベル国務次官補(東アジア・太平
洋担当)も、食糧支援については「決まっていない」と言いつつ、「仮にやると
すると妊産婦、乳幼児」という条件を付けると言っていました。「仮にやるとす
ると」と3回くらい言っていましたので、これはやるつもりで考えているなと感
じました。

 今週、(北朝鮮の)金桂冠(キム・ゲガン)外務次官がニューヨークに招かれ
たということですから、アメリカとしては話し合いの中で食糧支援をするのでは
ないかとの感じがあります。

 マイケル・グリーンさん(戦略国際問題研究所日本部長、元国家安全保障会議
アジア上級部長)は、オバマ政権に対する保守派の大きな圧力の中でやると、政
権批判に結びつくこともあるので「やらないんじゃないか」と言っていましたが、
私は「やるんじゃないか」と思いました。

 ビル・バーンズ次期国務副長官(上院による承認審査中)にお会いした時、
「アメリカは拉致を忘れない」と言いました。ブッシュ政権の後期の頃も皆、
「アメリカは拉致を忘れない」と言っていましたが、テロ支援国指定を解除して
しまいました。

 だから、「拉致を忘れない」という言葉は、私にとっては聞きたくない言葉で
した。積極的に拉致を解決するためにやりましょうではなく、「拉致を忘れない」
ということでしたので、国務省の姿勢は問題があるのかなと今でも思いますた。

 クリントンさんは、次期オバマ政権下では国務長官を続ける気はないというこ
とでしたので、あと1年で大統領選挙が始まるとそれ一色になってしまい、短い
期間の中でクリントンさんが何らかの成果を得たいとすると、対北外交でライス
元国務長官が陥った、成果を挙げたいという焦りを見せる可能性もある。

 それが今回の金桂冠の招致であり、彼女が対北外交で何らかのステイタスを生
むと考えているのかなというのは私の個人的な考えです。そうなると危ないなと
思ってます。

 今回は国会議員が7名と政府から東副大臣と本部の官僚が数名来ましたので、
多くの方が直接、アメリカの国務省や議会関係者に会うということは、日本が拉
致問題というワンイシューだけで政府、議会、民間が一体となってアメリカの政
府、議会に何らかのインパクトを与えたのではないかと思います。

 我々が2008年11月に行った時、テロ支援国指定を解除しないでほしいと言った。
指定解除のメドがある程度たった時、福田総理が「日本政府としては容認する」
と言った。そして民主党政権の中枢にいる前原誠司元外務大臣、岡田幹事長が訪
米していて、岡田さんは否定しましたが、前原さんは政権交代前にアメリカの民
主党の方々と会って、「日本は今後拉致問題にこだわらないで北朝鮮と交渉をす
る」と言ってアメリカの次期政権担当者の方たちに「日本は姿勢が変わった」と
いう印象を与えた。これが今回の訪米で払拭できたのではないかと思います。

 ダニエル・イノウエさんの、「これは日本としての正式な要請でしょうか」と
の問いにもそれがあったのではないかと思います。イノウエさんは、「これが日
本の正式な要請ということであれば話しやすくなる」とおっしゃっていました。
そうなると政府はこれまで要請に来なかったのかなという面もありますが、イノ
ウエさんは今歳出委員長で、アメリカの国家予算を決める委員会の委員長という
立場なので、CIAとか色々な情報機関が情報を上げてくるそうです。

 韓国政府は北朝鮮の情報に関しては、非常に敏感に反応するので、アメリカの
中でも主だった人しか得ることにできない情報を、韓国政府の人が聞きにきたら、
ある程度話をしていると、しかし日本政府は北朝鮮問題に全く関心がない、自分
が得られる情報を話していないということです。日本が関心がなければ、自分か
ら積極的にやる必要もないと。アメリカが独自に得た情報ですから、簡単に拡散
することはできませんので、日本政府が情報がほしいという姿勢を見せればいい
のにねえ、とおっしゃったことを記憶しています。

 自民党政権からずっとそうなんでしょうが、本心で情報を得ようという姿勢が
なかったらアメリカに対して正式に、拉致問題の解決で協力を要請し、情報の提
供を要請してこなかったのかなと疑念が起きました。

 それも今回政府の副大臣が行ってくださったので、今後これも解消されるので
はないかと思います。それで、今後米国政府の協力を得ることができるようになっ
たのではないかという感じを強くしました。

 議会に関しては、共和党の方たちは北朝鮮に対して厳しい姿勢を取るという立
場で我々に好意的に話をしてくれましたし、やってくれると思います。従って民
主党の国会議員が上院、下院でどれほど動くかということが一つ問題です。お会
いした中で、ジム・ウェブ上院議員は、今度駐韓大使に指名されているソン・キ
ム前米6者協議担当特使に、上院の承認に関する公聴会の中で、「北朝鮮による
拉致問題をあなたはどう考えているか」について先日質問したということでした。
直接お会いして話した成果だっただろうと思います。

 ソン・キム氏は、北朝鮮に対し拉致問題も提起する必要があると答えたという
ことです。今後米政府が、拉致問題解決のために、積極的に動いてほしいと思い
ますが、国務省はあくまで国務省であるということを私たちは認識していかなけ
ればならないし、絶対に日本が解決しなければならない問題であるということも
政府が認識して動かなければならないと思います。

 協力、連携は必要ですが最終的には日本が独自で解決する気概と意思を持たな
ければならないのではないでしょうか。

 今回疲れましたが、様々な手ごたえを感じて帰ってきました。

◆米日の対北宥和派と強硬派

島田 家族会・救う会はこれまで何回も訪米していますが、夏の訪米は初めてで
す。しかも、ワシントンは7月初旬が一番暑い時期で、大変ハードなスケジュー
ルのなか肉体を酷使し、夜の反省会もしませんでした。西岡さんがいなかったせ
いもありますが、ほとんど酒を飲まず日々の活動に努める結果となりました。

 日本もアメリカも対北朝鮮政策に関し、一枚岩ではない。北朝鮮に援助しつつ
話し合いで核問題、人権問題を解決していこうという誤った考えの人たち、それ
に対し、あの政権は圧力を掛けねば動かないし、究極的には体制打倒を目指して
追い込まねばならないと考える人たち、および中間的な人たちや常にぶれる人た
ちがいる。

 今回会った中では、例えばドナルド・ラムズフェルド元国防長官、「国際拉致
報告書」の編集責任者チャック・ダウンズ氏、スザンヌ・ショルティ北朝鮮自由
連合代表などは、揺るぎないハードライナーです。

 これに対し、国務省ラインはおおむね宥和派です。国務省にももちろん、しっ
かりした考えの人はいますが、交渉に予算や権限がついてくるため、組織の体質
として交渉が自己目的化しやすい。宥和に流れる傾向があると思います。

 メディアでも、例えばニューヨーク・タイムズなどは、露骨に「北朝鮮に食糧
支援を」と主張しています。この食糧支援は6者協議に関係する問題ですので、
あとで改めて取り上げたいと思います。

 宥和派の動きで気になるのは、国務省ナンバー3の国務次官にウェンディ・シャー
マンが就くことです。彼女はクリントン政権時代に、北朝鮮政策調整官になり宥
和政策を主導した一人です。国務省では、国務長官の下に副長官が2人、国務次
官が6人いて、カート・キャンベルら次官補が続くという構造になります。

 在米日本大使館幹部の話では、「シャーマンが北朝鮮政策でどれだけ影響力を
発揮するか、キャンベルとの権限分担がどうなるかまだ分からない」とのことで
した。注視していく必要があります。

 シャーマン氏に関しては、安倍晋三元首相から興味深い経験談を聞いたことが
あります。まだ自民党政権の時代、安倍さんが来日したシャーマンと会った。シャー
マンが言うには、「拉致問題に展望はあるのか。アメリカなら自国民が拉致され
れば海兵隊を送って力で取戻す。日本は軍事力を使えないという。では話し合い
しかない。話し合いとなれば、妥協や譲歩、取引がつきものだ」。

 安倍さんは、悔しいけれども当たっている面ありだったというのです。今ここ
でのポイントはシャーマン自身の姿勢です。「軍事力で取戻す」という部分に力
点があるのではない。彼女はそうした強攻策に反対で、ジミー・カーター同様、
援助を送って金正日の気持ちを和らげ、妥協や取引を通じて核問題などの解決に
つなげたい、つなげることができるという発想の人です。

 そういう人物が仮に国務省内で影響力を強めた場合、対抗勢力になりうるのは
ホワイトハウス、議会、世論等々でしょう。

 日本では、外務省は国務省と寄り添いがちなので、官邸がアメリカに向けて強
く意思表示していかねばならない。しかし現在の官邸、すなわち菅さん周辺は、
宥和派というより基本的に素性が怪しい連中で占められている。増元さんがさき
ほど五百旗頭(いおきべ)防衛大学校長の発言を紹介されました。これは私が直
接聞いたものです。10年くらい前、私の後輩、中西寛京大教授の結婚披露宴、
控室でのこと、たまたま拉致問題が話題になり、私の斜め前あたりに座っていた
五百旗頭さんが、「拉致なんてあんな小さな問題にこだわるのは日本外交として
恥ずかしいよ。こっちは600万人も強制連行してるじゃない」と言いました。
正直な本音の吐露であり、ぜひ公の場で言ってもらいたい。左翼が拍手喝采する
でしょう。問題は五百旗頭という人が特におかしいわけではなく、こういう発想
の人が菅周辺に多い事実です。

 菅氏の訪朝はきわめて危険です。彼はまず、「600万人も強制連行してすみ
ません。謝罪します」と、多分そこから始めるでしょう。北朝鮮は、「何を言っ
ているんだ。600万じゃない。840万だ」と反発するはずです。北は国連な
どの場で、「日本は600万人の朝鮮人を強制連行、20万人の女性を性奴隷と
し、その大半を虐殺した」と主張してきましたが、日本政府がろくに反論しない
ので、数年前から840万にかさ上げしています。そろそろ1000万の大台に
載せてくるのではないか。小泉訪朝には安倍官房副長官が付いていて、その後の
巻き返しも可能となったが、菅訪朝には、環境左翼の福山副長官や極左親北の辻
元清美首相補佐官らまで付いて行きかねない。

 米国も、オバマ大統領がもともと宥和的である上、ヒラリー(クリントン)が
辞めた後の国務長官にバイデン副大統領が就くかも知れない。この人は上院議員
時代、対北宥和派の代表格でした。

 米議会において、まず注目されるのは、対北ハードライナーのロスレイティネ
ン下院外交委員長(共和)です。下院では共和党が多数を占めています。アメリ
カでは、予算に関しては上院と下院は権限が同じで、上院が予算案を承認しても
下院が認めないと成立しない。

 ロスレイティネンさんが出している4月1日付けの法案には、「日本人等の拉
致問題の解決なしに、アメリカ政府が米朝国交正常化をした場合、議会は北朝鮮
に米国大使館、領事館、連絡事務所などを設ける予算は認めがたい」と予算面か
ら政権を縛る内容になっています。また、「この法の施行と同時に、国務長官は
北朝鮮を再びテロ支援国に指定しなければならない」という条項もあります。

 この法案は突然出てきたわけではない。家族会・救う会・議連が何度も訪米し、
ロスレイティネンさんとも2度会って意見交換してきました。この法案は、過去
の活動の成果の一つだと思いますが、今回の訪米も含む日本からの働きかけを強
めて、法案審議を促進させたいものです。

 一方、上院では民主党が多数を占めています。民主党の有力議員との意思疎通
も欠かせない。今回面談したダニエル・イノウエ上院歳出委員長はその一人です。

 歳出委員長は予算の箇所付けに強い権限を持っています。イノウエ議員は数年
前、北朝鮮への重油提供に、北の約束不履行を理由に待ったを掛ける動きをした
こともありました。彼が拉致問題で同僚議員に働きかけ、またロスレイティネン
下院外交委員長らと連携を強めるよう、日本からの更なる働きかけが必要だと思
います。

(2につづく)

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■菅首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]https://www.kantei.go.jp/k/iken/im/goiken_ssl.html?guid=ON

葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 菅 直人殿

■救う会全国協議会ニュース

発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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国民大集会「もう我慢できない。今年こそ結果を!」
「もう我慢できない。今年こそ結果を!」。2月2日に家族会・救う会合同会議で決めた今年の運動方針です。 拉致被害者家族の高齢化が進み、「生きている間に被害者に会えないかもしれない」という言葉が出るようになっています。経過はすべて説明して頂くことはないと思います。しかし、今年中にぜひ結果を出して欲しいということが、家族会・救う会そして心ある日本人の心の底からの叫びだと思います
2014年4月27日午後2時午後5時 日比谷公会堂
東京都
千代田区
日比谷公園1-3